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作品 ホルエムヘブの指輪

古代エジプト美術部門 : 新王国時代(前1550-前1069年頃)

ホルエムヘブの指輪

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
新王国時代(前1550-前1069年頃)

執筆:
Patricia Rigault

指輪の形をした純金の印章は、その大きさ、及び出来ばえにおいて卓越している。指輪の輪に当たる部分は、極めて分厚く、その両端に伏込み枠を固定する装置が備えられ、螺旋状装飾がくくり付けられている。一方、長方形の伏込み枠は、回転できるように整えられ、4面には、深い彫りの装飾が施されている。各面には、ワニ、サソリ、ライオン、そして、第18王朝の最後の王、ホルエムヘブの即位名が刻まれている。

指輪の用途

この指輪は、大きさから見て、装身具ではなく、むしろ印章で封じる時に、印璽として使用されていたものと思われる。指輪のモチーフの彫りが極めて深いことから、この仮説を裏づけることができるだろう。このような指輪タイプの印章は、中王国時代に現れ、新王国時代になってきわめて良く普及した。

特殊な図像

長方形の長い側面には、カルトゥーシュ(王名を囲む長楕円形の枠)の中に、ホルエムヘブの即位名(ジェセルケペルウラー・セテプエンラー)が刻まれている。その向い側には、王の権力を象徴する威厳にあふれたライオンが彫られ、ヒエログリフで「ネブ・ケペシュ」と書かれている。「ネブ・ケペシュ」は、勇ましい君主という意味で、その他の記念物にもよく見かけられる王に付与される形容語句である。小さい側面には、サソリとワニが描かれている。図像がこのように王名と組み合わされる例は良く見られ、いくつかの解釈が可能であると思われる。秩序の保証人であるファラオが、害を及ぼす図像を取り押さえることを表したり、ライオンやワニは王を象徴し、サソリと同様に魔よけとして効力があると考えられていた。このような組み合わせの印章で書面を封じておけば、王の掟に背いて開けようとする者を思い止ませるのに役立ったに違いない。ここに挙げられた動物は、後に「ワニの上のホルスのステラ」に見られるようになる。

ホルエムヘブ王と第18王朝末期

ホルエムヘブ王の治世は、輝かしい繁栄を遂げた第18王朝を締めくくったばかりであった。ホルエムヘブの素性や初期の経歴は、謎に包まれた部分が比較的多いものの、有名なトゥトアンクアメン(ツタンカーメン)治世下では、軍人として目覚しい出世を遂げている。アイの短命な君臨の後、ホルエムヘブが継いで戴冠し、エジプトの運命を握ぎることになる。アマルナ時代にアメンへテプ4世が行った改革の後、混乱したエジプトに秩序を復興させる時期であった。ホルエムヘブはアマルナ時代の建造物を急いで解体させ、カルナクのアメン・ラーの神殿など自らの建造物にそのブロックを再利用した。アマルナ時代に作られたものを記憶から完全に抹消させることに専念し、先代の名を消し去り、自分の名に書き換えさせることも憚らなかった。世継ぎに恵まれなかったため、同じく軍人出身のラメセスを後継者に任命し、ラメセスは第19王朝の始祖となった。ホルエムヘブがまだいっかいの軍人であった時に、サッカラに広大な墓を建立させていたが、その後、王になって、身分相応に王家の谷に立派な墓を掘らせている。

出典

- Les Pharaons, catalogue d'exposition, 2002, p. 61, 442, notice 137.

- ETIENNE M., Heika, catalogue d'exposition, 2000, p. 65.

- DELANGE E., Petits guides des grands musées, Les bijoux de l'Antiquité egyptienne, 1990, p. 15.

作品データ

  • ホルエムヘブの指輪

    新王国時代、第18王朝、ホルエムヘブ治世下、紀元前1323‐1295年

  • 金、深い彫り

    直径3.85cm

  • 1835年購入

    N 747

  • 古代エジプト美術

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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