Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>ホルスの誕生

ホルスの誕生

© 2006 Musée du Louvre / Raphaël Chipault

古代オリエント美術
メソポタミア

執筆:
Chevalier

彫刻が施され金箔で加筆されたこの小さな象牙細工の小板は、裏面にある四つのほぞ穴と接合時に目印に使われた二つのアラム文字の存在が示すように、豪華な装飾調度品に利用されたものである。蓮華の花の上でホルス神を連想させた主題は、エジプトの図像目録から借用されている。この主題は、ここではホルス神が二人の有翼精霊に両側から挟まれ、非常に自由に解釈されている。この場面は、他にも12枚の装飾板に表わされている。

アルスラン・タッシュの象牙細工

アラム人の都市ハダトゥは、広大な円形城壁によって特徴づけられる現在のアルスラン・タッシュであり、前8世紀後半にアッシリアに隷属されてそこへ大宮殿が建てられた。発掘当時、この建物東部からもう少し小さい宮殿が掘り出された。そこの部屋番号14を採掘している時に、掘削人が見事な象牙細工の一群を発掘した。この発見から建造物に象牙の建物という名がつけられ、少なくともそれが実在していた末期には、豪華な家具などを保管する調度品保管所として使用されていたと考えられる。
出土された百個以上におよぶ象牙小板は、おそらく王座や一台または数台の寝台の木製調度品の装飾として使われていたもので、旧約聖書の節(列王上第十章18節とアモスの書第6章4節)にそれらことが記載されているのが窺える。この家具は、アッシリアの地方総監の官邸から出土したにもかかわらず、まったくアッシリア風のものでない。実際それは、アッシリアの統治者の征服時にアラム人やフェニキア人の王宮から収奪された戦利品であるからだ。
象牙板のいくつかは、前723年、ティグラト=ピレセル三世に占領されたアラム国の首都であったダマスカス産の可能性がある。事実、前9世紀に年代推定できる一枚の小板には、イスラエルのエヒウの敵であるダマスカスの王ハザエルの銘がある。しかし、パレスティナのサマリアやアッシリアのコルサバードで出土した象牙細工との比較から、この象牙を前九世紀末に年代推定する傾向があったようだ。

図像のテーマ

ホルスの誕生の小板のように、これら多数の象牙自体は、図像表現の支持材として使われおり、そのテーマに関しては、エジプトの影響を受けたかあるいはそこから借用されているが、シリア・フェニキアの美術目録に同化されている。その中では、牡羊の頭をしたスフィンクスまたは人頭スフィンクスはおそらく聖書のケルビムを表現しており、両側からパピルスの茎をはさむ精霊は、上下エジプトを象徴化した植物を関係づけるナイル川の神々のテーマから連想されている。他にも、エジプト風の髪型をした窓辺に姿を現わす女性が描かれていて、おそらく通行人に呼びかけるアスタルテ女神に着想を得ており、それには間違いなく死者が墓窓から太陽神に拝んでいるエジプトの葬儀のテーマを思わせるものがある。
またいくつかの小板には、通り過がりの鹿や子牛に乳をやる牝牛など動物を表す場面で飾られているが、そのテーマは二千年紀のメソポタミアで登場してアラム王国時代で発達したものである。最後に他にもさらに珍しいものとして、シリアの高官を表現しているものがある。
一千年紀メソポタミアの主な主都で発見された出土品と同じように、地方都市ハダトゥでのそれらは、アッシリアの征服者たちのシリア・フェニキア地方の象牙細工対する熱狂を立証している。   

出典

- THUREAU-DANGIN François, BARROIS Augustin-Georges, DOSSIN Georges, DUNAND Maurice, Arslan Tash, 1931, pl. XIX-21.

作品データ

  • ホルスの誕生

    紀元前8世紀末

    アルスラン=タシュ(旧ハダトゥ)

    シリア

  • 象牙彫刻と金箔張り

    高さ8.50cm、幅9.90cm、厚み1.20cm

  • 1928年6月 テュロー・ダンジャンとバロア発掘

    AO 11470

  • 古代オリエント美術

    リシュリュー翼
    1階
    メソポタミア:シリア北部 アッシリア ティル・バルシプ、アルスラン・タッシュ、ニムルド、ニネヴェ
    展示室6

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する

作品の補足情報

解説の作品 AO 11465