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作品 ミイラの屍衣と胸甲面

古代エジプト美術部門 : 宗教と葬祭信仰

ミイラの屍衣と胸甲面

© 2000 Musée du Louvre / Georges Poncet

古代エジプト美術
宗教と葬祭信仰

執筆:
Aubert Marie-France

このミイラの覆いは、頭部と胸部をぴったり包み込む、背もたれが付いた胸甲面(胸部まで覆う仮面)と、遺体の下部と足部を包む、五つの断片からなる屍衣で構成されている。ミイラの覆いは、その美しさと洗練された技術において卓越しており、独特な装飾と図像には、ラー神と同一化された死者の姿を永遠に守る呪術的な役割があった。ファイユームの肖像と同時代に作られたもので、ファラオ時代の葬祭伝統の根強さを示している。

胸甲面

胸甲面は、死者の上半身の肖像である。ふさふさ生えた黒っぽい髪と渦を巻いた髭は、金色に輝く肌を引き立てている。目を保護するかのように眉毛をわずかにしかめ、ガラスがはめ込まれた目は生き生きとしている。首の筋肉が盛り上がっており、のど仏が突き出している。顔は、白、黄色、青の縞模様の入ったネメス頭巾で縁取られている。爪が描かれている左手は胸部に置かれ、右手には永遠なる生命を象徴するアンク記号を握っている。
背もたれの装飾は、三部からなる側面に、エジプト風の縁取り装飾が二重に施され、上部の縁飾りは黒く細い帯の上に白い星が描かれ、夜空を表している。中央には、ビーズ網細工が施された薔薇色の屍衣とひだのついた白いコートを身にまとい、(チェニ)冠を戴く死者が、ソカル神の姿で立っている。縦に書かれたヒエログリフは、具体的に神の名を挙げて「・・・神の御言葉」という慣用句で始まっているので、死者を囲んでいる神々の名を知ることができる。右には、アヌビス神とホルス神を従えたイシス女神が、左には、シュウ神とアトゥム神を引き連れたネフティス女神が見える。神々が、死者に復活を約束する白い布を捧げている場面を表し、描かれた人物は浅く浮彫にされている。

列をなして進む神々

屍衣に描かれた装飾は、棺の装飾を模倣したもので、右から左へと場面が連なっている。最初の図像は、心臓計量の場面である。ホルス神とアヌビス神が、黒く描かれた死者とその心臓が載せられた天秤皿をつるす鎖を握っている。ナオス(一種の祠)の形をした台に、西方の国の「むさぶり食うもの」が乗っているのが見える。次の場面では、トト神とホルス神は、若い裸体で表された死者を清めている。次いで、死者は、アトゥム神とホルス神に導かれてオシリス神の前に進み、アヌビス神が水と香をオシリス神の祭壇に供えている様子が描かれている。この場面には欠落箇所がある。
左側の最初の場面にも欠落している箇所があり、完全な姿を留めていない。ここでは、ホルス神がミイラ姿の死者(消失)に水と香を捧げ、イシス女神とネフティス女神が嘆き悲しんでいる様子が描かれている。次いで、神々が列をなして進む場面では、トト神、シュウ神、アヌビス神、ホルス神、アトゥム神が、この幸福な者の新居となる、墓のある神殿の方に向って進んでいる。この新居は、閂で閉められた高い木戸が二つの塔門の間に挟まれた図で表されている。この戸の上にとまっている、鳥の姿をした死者の魂は、死者と共に日の下に姿を現すことができる時を待っている。最後に、給水所に立てかけられたシャドーフの柄にとまっている鳥の姿をした魂の助けを借りて、至福の死者が水を汲んでいる様子が描かれている。 

冥界への旅を容易にする図像

屍衣の中央部の装飾は縦に構成されている。冥界で、ラー神を守る蛇メヘンが両側にどくろを解いている。上方には、ハヤブサの姿をしたベヘデト神のホルスが、永遠なる加護を象徴するシェン記号を両脚の爪でつかんでいる図像が見える。その頭部の両側には、「偉大なる神、天空の主」という同じ銘文がヒエログリフで縦に書かれている。幾つかの湾曲した段には、青地にパピルスの包葉と、白地にバラ色の睡蓮が装飾として交互に配置されている。
一方、足を覆う部分の屍衣は、きわめて重要であった。足部に描かれる図像は冥界で起きあがるために必要であると考えられていたためである。この図像では、ベヘデト神の加護の下で、死者から分離した鳥の姿をした魂が、天空の女神ヌウトから注がれる水を受け取るために手を差しだしている。ミイラの足の下には、死者がナオス(祠の一種)の中にオシリス神の姿で立っている様子が描かれ、ナオスの上には、両側に何匹かのウラエウスと中央にアンク記号がついたフリーズが乗っている。そして、オシリス神の頭部の両側に記された二行のヒエログリフには、「偉大なる神、オシリス神が宣う御言葉」と書かれている。

出典

- AUBERT M.-F., « Portrait d ‘un mort divinisé en Osiris Sokaris », in La revue du Louvre, 5, 2000, p. 13 à 16 .

- PARLASCA K., SEEMANN H., Augenblicke, Mumienporträts un ägyptische Grabkunst aus römischer Zeit, catalogue de l’exposition, Francfort, Schirn Kunsthalle, 30 janvier-11 avril 1999, n° 206.

作品データ

  • ミイラの屍衣と胸甲面

    後2世紀

    エジプト、トゥナ・エル=ジェベル出土

  • 胸甲面:化粧漆喰、彩色、金箔が施されたカルトナージュ屍衣:亜麻布にデトランプ

    胸甲面:高さ50cm、幅32cm、長さ61.5cm屍衣の五つの断片:幅45.5cm、長さ137.2cm幅33cm、長さ105.4cm幅45.5cm、長さ134.7cm幅50cm、長さ60cm幅40cm、長さ60cm

  • 胸甲面:2000年にルーヴル友の会から寄贈屍衣:2000年にルシアン・ヴィオラから寄贈

    E 32634 a, E 32634 b

  • 古代エジプト美術

    ドゥノン翼
    地上階
    ローマ支配時代のエジプト 葬礼美術
    展示室A

来館情報

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