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作品 ムーサの石棺

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

ムーサの石棺

© 1993 RMN / Hervé Lewandowski

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Marie-Bénédicte Astier

長い間、芸術家たちの間で称賛されてきた、この石棺の装飾は2世紀から4世紀の間のローマ葬祭美術の中で表現された、教養ある人間の理想を描いたものだ。9人のムーサはそれぞれを識別する象徴が与えられている。前4世紀のギリシアで実在した信仰によると、ムーサからの着想により支えられた芸術と文学活動は、あの世での死者の通過の助けになり魂の救済を保証する。

近代芸術家の霊感源

ムーサの石棺はずいぶん昔から、すでに芸術家から寵愛を受けていた。コルレイン卿選集の中に複写されているアクイラの版画は18世紀、19世紀の間、この作品の名声を高めるのに大いに貢献した。しかしこの石棺は現代画家や詩人にとっても霊感源であった。ピエール・ヴュイヤールは1911年にパリのオルセー美術館に保管されている《図書館》を発表し、ポール・クローデルは『五大賛歌』の中でムーサを第一番目に取り上げている。

装飾:ムーサの葬祭的解釈

紀元2世紀初頭、土葬は火葬に取って代わった。ローマでは当初、1世紀の墓碑用祭壇のモチーフから取った花飾り、そして次に歴史的場面を描いた浮彫彫刻された石棺が普及した。いくつかのものは故人の生前を描いている。おそらくこの作品の蓋に描かれた、ドレープを背景とした宴会の例がそうであろう。しかし大半の場合職人は、選ばれた神話の主題と故人の信仰を暗に結びつけながらギリシア神話を取り入れている。この石棺の装飾は、2世紀から4世紀の間ローマ葬祭美術のなかに表現された理想が描かれている。それはギリシア語ではムシコス・アネールといわれる、教養ある人間の理想であり、ソクラテスやヘシオドス(又はホメロスとも見える)肖像にて側面に表されている。紀元前4世紀よりギリシアに実在した信仰によると、文学と哲学をたしなむこと、言い換えればムーサと日常的に関わることは、魂の救済と不死を保証していた。ゼウスとムネモシュネ(仏語:メモワール。「記憶」の意。)の娘である、9人のムーサが棺に表されている。彼女たちはそれぞれにお互いを識別する象徴が与えられている。左から順に、叙事詩のムーサ、カリオペは巻物を持ち、喜劇のムーサ、タレイアは喜劇の仮面を手にしている。舞踏のムーサ、テルプシコラは3人目の女性であろう。叙情詩のムーサ、エウテルペは双管フルート(アウロス?)を手に持っている。頌歌のムーサ、ポリュヒュムニアは岩に肘をつき、歴史のムーサ、クレイオは書字板を手にしている。恋愛詩のムーサ、エラトはキタラを掲げ、天文学のムーサ、ウラニアの足元には地球儀が描かれている。最後に悲劇のムーサ、メルポメネは悲劇の仮面を頭に被せている。

ギリシア美術からの影響

紀元2世紀中頃に制作されたこの石棺はおそらく、ギリシア文化とのつながりを表明する事を望んだ学識あるローマ人に奉げられたものだろう。というのもこの作品の装飾要素はギリシア美術より借用されている。フリーズの配列、無地の背景、ムーサの控えめな姿勢は前5世紀から4世紀の古典美術を想起させる。穿孔機のさりげない使用や丁寧に磨かれた表面の丸みを帯びた立体感などから、この大理石加工はそれをより印象づけている。これら若い女性の縦長の体の線と彫の深さより示唆される彫刻に近い姿は、ヘレニズム美術をも思い出させる。

出典

Fr. Baratte, C. Metzger, Musée du Louvre. Catalogue de sarcophages en pierre d'époques romaine et paléochrétienne, Paris, Editions de la Réunion des musées nationaux, 1985, pp. 171-175, n 84

J. Marcadé, "Deux reliefs romains de l'époque impériale. Problèmes d'iconographie", in Revue du Louvre, 5/6, 1985, pp. 345-347

M. Wegner, Die Musensarkophage, Berlin, Mann, 1966, n 75, p. 36-37 et passim, pl. 3, 5-6, 13a, 135, 143a et b

作品データ

  • ムーサの石棺

    紀元150-160年

    18世紀初頭ローマのオスティア街道にあるヴィーニャ・モンチァッティにて発見

    ローマ

  • ペンテリコン産大理石(アッティカ)、高浮彫と浅浮彫

    高さ0.92m、幅2.06m、奥行き0.68m

  • 旧アルバーニ枢機卿コレクション、後にカピトリーノ美術館収蔵、ナポレオン接収品、1815年アントニオ・カノーヴァ作《ナポレオンの巨像》 と交換目録番号MR 880(常用番号Ma 475)

    Inventaire MR 880 (n° usuel Ma 475)

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    ドゥノン翼
    1階
    ローマ美術:属州総督の反乱(紀元68年)から2世紀末まで
    展示室25

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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

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