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作品 ワニの頭を持つセベク(ソベク)の小彫像

古代エジプト美術部門 : 宗教と葬祭信仰

ワニの頭を持つセベク(ソベク)の小彫像

© 2005 Musée du Louvre / Christian Décamps

古代エジプト美術
宗教と葬祭信仰

執筆:
Chloé Ragazzoli

末期王朝時代(前664-前332年)には、人々は加護を求める神々に、ブロンズ製の神像や動物の姿で表された神像を捧げるようになった。台座に刻まれた献辞から、この美しい小彫像がシェデト・クロコディロポリスのセベク神を表していることが分かる。ファイユーム地方を特に好んだこの神は、ワニの恐ろしい姿で具現化され、エジプト全土で熱烈に崇拝されていた。

ファイユームに定住する普遍的な神

ワニは、ナルメル王の印璽に描かれている事からもわかるように、エジプトではかなり昔から崇拝されていた。ワニ信仰の人気は、おそらく相反する補足的な二面性にあると考えられる。セト神と同一視され不幸をもたらす生き物であると同時に、シェデトの町のセベク神を称える大讃歌にも記されているように、神話的な絶大な力をもって幸福をもたらす創造物でもあった。この美しい彫像もセベク神を称えている。ファイユーム地方の中心には、ナイル川の支流を水資源とする大きな湖があり、そこは昔からワニの神の聖地であったため、シェデトの町はギリシア人によってクロコディロポリスと改名された。むろん、セベクはナイル川沿いの他の神殿でも崇拝されていた。

混合の創造物

歩く姿のセベクは部分的に人間の形をしている。このように人間の体とワニの頭を持ち合わせた混合体は、現世を越えた創造物であることを示している。極めて異質な二体のつなぎ目は肩までとどく長い鬘で隠されており、裸の上半身に裸足のセベク神は腰の上まで覆う腰衣をまとい、腰衣は臀部の曲線を引き立てている。「プシェント」と呼ばれる二重王冠をかぶり、額にはウラエウスが掲げられ、王家の持物(人物を同定するための象徴的なもの)を身につけている。手のひらには穴が開いていて、本来は左手には杖を,右手には王笏を握っていたはずだがこれらの装身具は消失してしまった。この彫像はセベクを表していると同時に、シェデトの町のもう一柱の神であるホルス神をも表していたため、王の持物が与えられたと考えられる。
細かい彫り、よく見える筋肉、水滴のような形の臍(へそ)、銀めっきが施された爪はこの作品の質の良さを表している。この時代に隆盛したブロンズ像芸術は、過去長期間にわたって培われてきたエジプト彫刻の技術を継承している。

奉献物の年代と出所を特定する手懸り

このようなブロンズ製小彫像は、コレクションの一部であることが多く、出所を特定するのは難しい。しかしながら、この作品の場合は、末期王朝時代によく普及していた慣行にならった、巡礼の際に捧げられた奉献物なので、ファイユームが出所であることはほぼ確実である。実際、この台座の碑文には神と奉献者の名前も入っている。碑文によると、奉献物は「シェデトのセベク神、シェデトに住むホルス神、永遠なる主、生命と健康に恵まれし神のために、家の女主人ムウトマケトとパディアセトの息子、アンクプサメテクという美しい名を持つパイウから」贈られたと刻まれている。「美しき名」とはあだ名のことで、プサメテクは、この王朝の二人のファラオの名でもある。ある研究から、これらの名はプサメテク2世治世下の典型的な名前であったことが証明されたため、この作品の年代は紀元前595-589年頃のものと特定できる。

出典

- YOYOTTE J., Les Trésors des Pharaons, Genève, 1968, p. 202-203.

- AUBERT J. F., AUBERT L., Bronzes et Or égyptiens, Paris, 2001.

作品データ

  • ワニの頭を持つセベク(ソベク)の小彫像

    末期王朝時代、第26王朝、プサメティコス(プサメテク)2世治世下(前595-前586年)

  • ブロンズ

    高さ29.80cm、奥行き18cm

  • 1899年に購入

    E 10782

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    神々と魔術
    展示室18

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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