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作品 不死鳥のモザイク

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

不死鳥のモザイク

© 1982 RMN / Christian Jean / Jean Schormans

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
C. Lepetoukha

この作品は、シリアのダフネにある個人の邸宅の、広大な中庭の床を装飾していたモザイクの縮小版である。この装飾は東方ローマ世界の芸術家が、様々な異なる影響を会得していたことを証明している。それはローマ帝国独特の主題、不死鳥に、ササン朝ペルシア王国のレパートリーに由来するアイベックスの柄を加えた装飾である。5世紀に制作されたこのモザイクは、古代芸術の最後の証のひとつである。

希少な作品

この石敷のモザイクは、5世紀に改装された、広大なヘレニズム時代の邸宅の、吹き抜けの中庭を装飾していたものである。この作品の原型は、より広い面積(12.35 x 10.20m)を覆っていた。ルーヴル美術館は、そこから保存状態の最も良い箇所を使って再編成した、縮小版を展示している。中央には、灰から再生する伝説の鳥、不死鳥が一面のバラに囲まれている。当初このバラは7500個存在した。鳥の頭には後光がさし、その光はバラに注ぎ、光の当たり具合によって花の色に微妙な変化を与えている。この装飾は、モザイクの縁取りを成す、リボンで結ばれた翼の上で頭をつき合わす、アイベックスが構成するフリーズにより完成する。多彩な色彩と図案は、複数の職人が制作に参加したことを示す。

王室の図像

不死鳥は、ローマの皇室図像のなかで高く評価されていた主題であった。不滅の象徴であるこの図像は、帝国の永続性と権力の持続性を意味する。それは一人の皇帝が死去すると、もう一人が継承することを表す。しかしこの図像が個人邸宅という枠のなかで同様の意味を持っていたと断言するのは難しい。一対の翼の上に乗ったアイベックスは、むしろササン朝ペルシア王国の美術より借用されている。この柄は、商業路のおかげで地中海世界に普及していた、織物や食器類を頻繁に装飾していた。それに、この作品の全体的な構図は東洋の絨毯を想い浮かばせる。しかしながら東洋の影響のみでは、これら「モザイクの絨毯」の存在を説明するには足らない。これらは、より概説的な意味の発展、すなわち住居面積の拡大化の中で登場するようになった。というのも広大な中庭装飾にある程度の統一性を確保するためには、叙述的な場面を描くよりも、むしろ柄を無限に繰り返す方がより容易であった。このモザイクは、帝国間に存在したと思われる文化交流や、職人の多彩な影響を総括する力量を示している。対になったアイべックスの配置は、ローマ世界から発祥した。

古代からの伝承

反復する網状の装飾からなる構図は、地中海の東部にて5世紀に出現した。それはアンティオキアで発見された他のモザイクにも見られる。テッセラが鱗状の円弓の形で配置された技術もまた5世紀の特徴である。その形はモザイクの最も高い耐久性を保証し、装飾効果を得ることができる。一方、敷石の下で発見されたテオドシウス2世(在位408-450年)の硬貨は、このモザイクが5世紀前半以降に設置されたことを示している。また右下部のアイベックスの柄が少し異なることから、いくつかの修復が行われたことが分かるが、それは526年の地震の後のものと思われる。このことからこの作品はおそらく500年ころのものだと考えられる。このモザイクは、古典文化が西ローマ帝国の滅亡後も保持され続けた、オリエント世界における古代美術の残存品である。

出典

- LASSUS J., « La Mosaïque du Phénix provenant des fouilles d’Antioche », in Monuments Piot, 36, Paris, 1938, pp. 81-122.

- MOREY C. R., The Mosaics of Antioch, Londres, New York, Toronto, 1938, pp. 43-45.

- STILLWELL R., Antioch-on-the-Orontes, The Excavation 1933-1936, II, Princeton, Londres, The Hague, 1938, n°56, p. 187.

- BARATTE F, Catalogue des mosaïques romaines et paléochrétiennes du Musée du Louvre, Paris, 1978, n°44, pp. 92-97.

-  DUNBABIN K. M. D., Mosaic of the Greek and Roman World, Cambridge University Press, 1999, pp. 176-180.

- Aurea Roma – dalla città pagana alla città cristiana, 22 déc. 2000 – 20 avril 2001, catalogue d'exposition, Pallazzo delle  Esposizioni, Rome, n° 141, pp. 140-141.

作品データ

  • 不死鳥のモザイク

    紀元後500年頃

    ダフネ、オロンテス河畔のアンティオキア近郊(現アンタキヤ)トルコ

    ダフネ(シリア)

  • モザイク(大理石、石灰岩)

    縦6m、横4.25m

  • 帰属、1936年フランス国立美術館連合発掘

    N° d'entrée MND 1948 (n° usuel Ma 3442)

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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