Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>二段式戸棚

二段式戸棚

© 1994 RMN / Daniel Arnaudet

工芸品
17世紀

執筆:
Barbier Muriel

この戸棚には比類ない名人芸による彫刻装飾がふんだんに施されており、上部と下部がそれぞれ独立して4つの開き戸があるという、ルネサンス期と17世紀前半のフランスの戸棚に特徴的な構造が現れている。浮彫はバルトロメウス・スプランゲルとマルテン・デ・ヴォスの版画をもとに制作された。こうしてこの戸棚は、版画を媒体としたフランスの芸術家とプラハの芸術家とのつながりを示している。

特徴的な形

戸棚上部は引っ込んでおり、彫刻を施され胸像柱で囲まれた2つの開き戸がある。その下には2つの引き出しがあり、向かい合ったタツノオトシゴのモチーフで飾られている。上部は武器飾りのフリーズで装飾され、その上には1617年という年代を記した近代風の頂部飾がある。下部は張り出しており、やはり彫刻を施された2つの開き戸がある。その上には唐草模様で飾った引き出し2つが横に並んでいる。非常に立体的できわめて建築的な構造は、17世紀初頭に制作された戸棚の特徴である。

剛毅と権力を表す図像

開き戸の浮彫はフランドルの版画に由来する。上部の構図は、バルトロメウス・スプランゲル(1546–1611年)の作品をもとにした2枚の版画に着想を得ている。左扉は、トルコとの戦いで神聖ローマ帝国軍を勝利に導く女神ベローナを表している。これはアムステルダムのヤン・ミュラーによる1600年の作品で、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の弟マティアス大公に献じられた。右扉は、無知に対する知恵の 勝利を表している。アントウェルペンのジル(アヒディウス)・サドラーの版画で、1600‐1609年頃に制作された。下部の浮彫は、マルテン・デ・ヴォスの作品をもとにしたアドリアン・コラーツの版画《惑星》連作に着想を得ている。それぞれの惑星は、それに相応する美徳と人生における年代との擬人像を伴っている。左は火星マルスで、「壮年」と「賢明」の擬人像とともに彫られている。右では木星ユピテルが「老人」と「記憶」の上、雲の中にいるのが見える。よくあることだが、彫刻家は付随するモチーフを省いている。これらの版画の主題は、権力者の剛毅と知恵への賛辞と解釈できる。ユピテルとマルスは、それぞれルドルフ2世とアンリ4世およびルイ13世、ベローナとマリー・ド・メディシスを表し、よってこの主題は神聖ローマ帝国にもフランス王家にもあてはまるものだった。

制作地について

版画の主題がマティアス大公とルドルフ2世への賛辞であるため、作品の制作地問題が浮かび上がる。外観全体や寄木細工がないことを考えると、南ドイツで制作されたとは思えない。説得力は乏しいながら、フランドルを制作地とする説も提示されている。この戸棚はパリで作られたものとはかなり異なり、その胸像はディジョンの指物師であり建築家であるユーグ・サンバンの図案を思わせる。フランシュ=コンテやブルゴーニュのみならず、アヴィニョンやトゥールーズの調度品にもよく似ている。フランス東部、おそらくリヨンかディジョンの工房で制作された可能性が高い。いずれにせよ本作品は、マルテン・デ・ヴォスとスプランゲルの版画が知れ渡っていたこと、17世紀初頭にプラハ派とフランスの芸術家の間につながりがあったことを証明するものである。

出典

Alcouffe Daniel, Dion-Tennenbaum Anne, Lefébure Amaury, Le Mobilier du musée du Louvre, t. 1, Paris, Éditions Faton, 1993, pp. 40-43.
Un Temps d'exubérance. Les arts décoratifs sous Louis XIII et Anne d'Autriche, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 2002, pp. 226-227.

作品データ

  • 二段式戸棚

    17世紀第1四半期

    フランス

    フランス、中央東部

  • 胡桃材

    高さ2.51m、幅1.85m、奥行き0.80m

  • 1828年に取得、ピエール・レヴォワル・コレクション旧在

    MR R 61

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    アルコナーティ・ヴィスコンティ
    展示室29

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する

作品の補足情報

DISCRETO (下段左扉に)