Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>人物像を表した鉢

人物像を表した鉢

© 1990 RMN / Christian Larrieu

古代オリエント美術
イラン

執筆:
Agnès BENOIT

彩色土器は、イランの先史時代における芸術表現の主要な手段である。器形は簡素で多くの場合開いていて、遺跡によってまちまちであるが、スーサでは、彩文を施した3つの主要な食器類は、鉢、升(ます)、また船底型の甕(かめ)である。装飾文様は幾何学文と動物文が優先されて、人物像の表現は稀である。したがって、ここに紹介する鉢は他に類例を見ない。

イランの彩文土器

紀元前5千年紀と4千年紀初頭のイランの彩文土器は、その制作の質と装飾の多様性から異彩を放っている。轆轤(ろくろ)はまだ発明されていなく、壺は粘土の紐(ひも)をもとにして巻上げ手で成形された。褐色の装飾文様は、幾何学の図形と周囲の自然から借用したレパートリーを組み合わせ、植物か動物かを識別し難くなるくらい図案化させている。人間は、狩人の姿を除けば、稀にしか表現されていない。模様は当時の美術において、リズミカルな繰返しが叙述的な配慮より優位に立つので、一定の意匠がひとまとまりになって模様の基礎をなし、はっきり区切って何度も描かれている。

都市化当初のスーサにおける芸術

先史時代の美術に優先された支持材は、紛れもなく彩文土器である。この彩文土器が最も成果を収めたのは、メソポタミアの平原地帯に延びるスーサ平原の町スーサである。用いられた素地土(きじつち)は、通常明るい色でほんのわずかに緑がかり、その器面があまりにも薄いので時には「卵の殻」と名付けられ、それを「音を響かせる」くらいまで高熱で焼成される。おそらく大量殺戮(さつりく)の結果、副葬用食器類の最大の注文に対応しなければならなくなり、その時に製作されたジグザグ文で飾られた広口升の一連を除けば、それぞれの土器の装飾は唯一のものである。 

作品の説明

不規則な円周をしたこの鉢は、焼成の時に変形されたに違いない。中央にマルタ・クロス文で描かれた装飾の双方には、上下2段に「動物―櫛状」の意匠が配置されているが、あまりにも図案化されているため、どちらが頭か尾なのか見分けがつかない。それらは平行の線状に並ぶ羊毛に似た長い毛足で特徴づけられており、山羊の一種が肉のみならず、乳や毛にも利用されていた時代では故意に強調されている。山羊の群れは、この新しい需要に応えてえり分けられた。「動物―櫛」の図柄の両側に、同じく巧みに図案化された3羽の鳥と1匹の蠍(さそり)が姿を見せている。
上下に折れ曲がった3列の線のひとまとまりは、ある研究者によれば、それを灌漑用水路と解釈しているが、そのひとまとまりで定められた枠組み内に、おそらく耕作作業と関連するスコップのような形をしたふたつの象徴的図柄が現れる。非常に幾何学的な身体をした男のような人物は、両腕を広げて「動物の主人」のような様相を呈する。もしかすると彼は、農耕と牧畜を司る霊の擬人化であるかも知れない。生命を産むこの自然界では、それとは裏腹に、死は常に存在していた。というのは、死をもたらすために蠍が登場するからである。このスーサの彩文土器には人物像は4つしかないが、これが唯一の人物表現であるという私たちの仮説が正当化されるならば、他の人々とは違って、その人物が狩人であるということを前面に押し出すのではなく、むしろ野性動物が家畜化される性質のある原始時代の神話につながった存在であろう。

出典

- AMIET Pierre, Elam, Auvers-sur-Oise, Archée, 1966, n 15, p. 43.

- HOLE Frank, The royal City of Susa, catalogue de l'exposition, Metropolitan Museum, New York, 1992, n 2, p. 33.

作品データ

  • 人物像を表した鉢

    紀元前4200-3800年

    スーサ、アクロポリス遺丘、ネクロポリス(古代墓地)

  • 褐色彩文テラコッタ

    高さ10.6cm、直径22.3cm

  • 1908年、ジャック・ド・モルガン発掘

    Sb 3157

  • 古代オリエント美術

    リシュリュー翼
    1階
    イラン、スシアーナとイラン高原:紀元前5‐紀元前4千年紀、紀元前3千年紀初頭
    展示室7

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する