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作品 代官エビフ・イルの像

古代オリエント美術部門 : メソポタミア

代官エビフ・イルの像

© Musée du Louvre, dist. RMN / Raphaël Chipault

古代オリエント美術
メソポタミア

執筆:
Iselin Claire

多数の信者は彼らの肖像である彫像をマリの神殿に安置させ、そのようにして神の前で彼らの祈願を永続させる。これらの男女礼拝像は、多くの場合両手をしっかり組み合わせ、カウナケスと呼ばれるスカートのような腰巻を巻いている。仕上げの質感、保存状態、また表現力に富んだ様式からして、代官エビ・イルの像は明らかに卓越した傑作である。

マリの彫刻の代表作品

1993年から、シリアでアンドレ・パロによって着手された発掘で、紀元前3千年紀中頃に年代測定される異なる神々に捧げた神殿(イシュタル、イシュタラト、ニニザザなど)を明るみにした。代官エビフ・イルの像は、マリで最初に発掘された男性的なイシュタル女神を祀った神殿で発見された。この神殿から同時代の王ラムギ・マリを表わす他の彫像が出土し、その碑文からテル・ハリリが古代マリ遺跡であったことが判明される。
エビフ・イルは、かご製の腰掛に座り、上半身は裸で、羊か山羊の皮または動物のふさふさした毛に似せた織物でできた長い房のある長いスカート、カウナケスをはいている。このカウナケスは、男女共に着用されていた。エビフ・イルがはくカウナケスの羊毛皮のような房の処理と、この衣服の後ろに尾があることから、動物の毛皮であることが確認されており、ここでは、それが類まれな写実性でもって表現されている。この人物は、頭が剃髪され、おそらく別素材の中にはめ込まれたに違いない長い髭を誇らしげに見せる。 単に眼だけが、結晶片岩の台座にはめ込まれた貝殻とラピス・ラズリの象眼細工を保存し、全体が天然アスファルトで固定されている。ラピス・ラズリはもともとアフガニスタンのもので、古来の近東における長距離間の樹立関係を裏づける。不透明のアラバスターを完璧に磨いて作られたこの作品は、実にモデルの上半身に繊細な印象を与える。像の後ろには、 「エビフ・イルの像、代官、男性のイシュタル(イシュタル、戦士の女神)彼が捧げた」と作品の身元を確認ができる碑文がある。

礼拝者像

この小さい礼拝者像は祈願者像とも呼ばれ、個人の守護神の加護を願い神殿に安置される定めにあった。両手を組み合わせる姿勢は、極頻繁に現われ、祈りをしている姿に解釈されていており、おそらく神殿での敬神の行為を永続させることを目指していたであろう。人物は、神殿に納められた饗宴図が描かれている貫通孔のある浮彫と同じように、ときには手に杯をもつこともある。このタイプの小像は、初期王朝時代(とりわけ第2期と第3期の紀元前2800~2340年頃)に初めて登場し後代まで永続して、テローの多数のグデア王の像(ルーヴル美術館)はこの現象を明らかに示している。礼拝者像の表現には類作があるにもかかわらず、いずれも同じ図式を反映している。これらは、男女の信者をかたどり大半は石製であるが、中には金属製の例もある。これらの高さは、数センチから1メートル以上と異なり、エビ・イルの像は、52センチである。人物は、立像または坐像で表わされている。
いくつかの像に碑文が刻まれていることから、表わされた人物の身元確認とその役職を再現させることが可能である。マリにおいて、これらの碑文は男性のみで女性は匿名のままである。これらの男女は、国家や宮廷の重職(代官、仕官、土地台帳官、書記、献酌官など)に就いていたか、または聖職(マリの女性彫像に表現されている女神官のような)に属していたか、または社会の裕福な層に属する人物(商人)などのように社会の上流階級に属していたであろう。

出典

- PARROT A., " Les Fouilles de Mari, première campagne (hiver 1933- 1934)", in Syria, XVI, Paris, P. Geuthner, 1935, pp. 25-27, fig. 8, pl. VIII.

- PARROT A., Mission archéologique de Mari, I, Le Temple d'Ishtar, Institut français d'archéologie du Proche-Orient, Paris, 1956 (Bibliothèque archéologique et historique, LXV), p. 70, pl. XXVIII-XXIX.

- STROMMENGER E., Hirmer M., Cinq millénaires d'art mésopotamien : de 5000 avant J.-C. à Alexandre le Grand, Flammarion, Paris, 1964, fig. 88-89, p.71, pl. XX.

- SPYCKET A., La Statuaire du Proche-Orient ancien, Leyde, E. J. Brill, 1981, (Handbuch der orientalistik, kunst und archäologie), p. 97, n 279, pl. 64.

- Guide du visiteur : Les Antiquités orientales, 1993.

作品データ

  • 代官エビフ・イルの像

    初期王朝時代、前2400年頃

    マリ、イシュタル神殿(シリア)

  • 石膏、ラピス・ラズリ、貝殻

    高さ52.50cm、幅20.60cm、奥行き30cm

  • 1934-1935年、A・パロ発掘

    AO 17551

  • 古代オリエント美術

    リシュリュー翼
    1階
    古代メソポタミア:マリ メソポタミア文化の伝播
    展示室1b

来館情報

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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

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