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作品 刑罰に処せられたマルシュアス

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ヘレニズム時代のギリシア美術(前3-前1世紀)

刑罰に処せられたマルシュアス

© 2006 Musée du Louvre / Daniel Lebée et Carine Deambrosis

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ヘレニズム時代のギリシア美術(前3-前1世紀)

執筆:
Astier Marie-Bénédicte, Lepetoukha Charlotte

マルシュアスの刑罰は、悲壮に対するヘレニズム美術の嗜好を証明している。このセイレノス(サテュロスの種族)は、アポロンよりも優れた演奏家であると自負していた。音楽コンクールで敗れた彼は、スキタイ人の奴隷により生皮をはがされる刑を宣告された。彼は、木の幹に吊るされ、恐ろしい刑罰を受けるのを待っている。この場面は前3世紀末の原作に着想を得ている。

刑罰を受けるセイレノス

この大型の彫刻はディオニソスの行列の同伴者であるサイレンを表現している。その野蛮な要素は、尖った耳、もじゃもじゃの髪、腰の窪みに位置する尾により示されている。手首が木の幹につながれたその両腕は、その腹部が窪み、肋骨を突き出した、引き伸ばされた体の重みを担っている。年齢が刻まれた顔は、不安と苦痛に襲われた様子を見せている。

マルシュアスの懲罰

この作品の中には、マルシュアスの刑罰を想起させる要素が見受けられる。アテナが捨てたフルートを拾い、巧みに演奏するようになったこのセイレノスは、音楽コンクールにてアポロンに厚かましくも挑戦した。ムーサたちは、アポロンの勝利を宣言し、この神はマルシュアスに、スキタイ人の奴隷による生皮はぎの刑を宣告し、その自尊心をとがめた。複数の複製品や浮彫は、これらが影響を受けた、この主題を物語ったオリジナルの作品群の存在とその人気を証明している。これらのものは、その構成を再現する事を可能にする。木に吊るされたマルシュアスに加え、左側には、皮はぎに使用する刃物を研ぐ、うずくまり、頭部をセイレノスの方に向けた一人の奴隷を想像しなければならない。セイレノスはまた、この奴隷の方に視線を向けている。右側にはおそらく立っているアポロンがいたと推定される。

ペルガモンの悲壮感

この作品は前3世紀後期に小アジアのペルガモンにて制作されたヘレニズム時代の原作のローマン・コピーである。マルシュアスの伝説は、既に前5世紀の芸術家たちに人気があった。ルーヴル美術館に保管されているMa2208 のアテナを表現したミュロンの作品群もそれにあたる。そこには、この場面の前に当たる音楽コンクールの挿話と悲劇的な結末を描かれている。ヘレニズム時代の作家の方は、刑罰の前の短い一瞬を選択した。それは受刑者と体刑執行人が最後の視線を交わす瞬間、そして緊張が頂点に達する瞬間である。この劇的な雰囲気はペルガモン派の悲壮への好みに合致している。この主題は、この場面を脚色し、悲壮感を強調する、苦痛により変形した体のでこぼこした表面の影の動きをもつ、肉体や表情の習作の題材に過ぎない。この彫刻はまた、巧みにギリシア彫刻の全ての研究の逆をついている。ギリシア彫刻はクーロス像から前5世紀のコントラポストを含む、立った姿勢の体を確立した後、筋肉の影響を研究した。この作品のなかで彫刻家は、吊るされた体を表現しながら、マルシュアスを重力とバランスより開放する。男性裸体はこの作品中では完全に新しいものとなっている。それは最早たくましさではなく、引き伸ばされた肉体のため生じた筋肉の激化が研究対象である。

出典

- BORBEIN A. H., "Die Statue des hängenden Marsyas", in Verlag des Kunstgeschichtlichen seminars, Hans Herter zum 75. Geburtstag, 1974, p. 37-52, fig. 9-12.

- WEIS A., The Hanging Marsyas and its copies, Rome, 1992, p. 185-187, n 32, fig. 17, 19 et 32.

- SISMONDO-RIDGWAY B., Hellenistic Sculpture, t. II, The University of Wisconsin Press, 2000, pp. 283-285.

作品データ

  • 刑罰に処せられたマルシュアス

    ローマ皇帝時代の作品(紀元1‐2世紀)

    ローマ(イタリア)のディオクレティアヌス浴場

  • 大理石、丸彫

    現存する高さ1.26m、全体の高さ2.56m

  • 旧ボルゲーゼ・コレクション、1807年購入

    Inventaire MR 267 (n° usuel Ma 542)

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    シュリー翼
    1階
    カリアティード(女像柱)の間
    展示室17

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

木の上部、マルシュアスのいくつかの体の部分、雄ヤギの頭部は、修復品