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作品 動物の絨毯

イスラム美術部門 : 近代イスラム帝国

動物の絨毯

© Musée du Louvre / Ali Meyer

イスラム美術
近代イスラム帝国

執筆:
Gayraud Christine

イランは絹の絨毯で有名であった。その初期では、外国の王や皇帝への、王からの外交的贈答品として用いられた。シャー・ターマスプ(1524−1576年)は、オスマン帝国のスルタン、セリム2世の即位を祝って贈っている。また17世紀にはシャー・アッバース1世が、首都をイスファハーンに遷し、ここに主に商業的意図で、新しい製作所を開設して、絹の絨毯の生産を増強した。

伝統的な絹の絨毯の製産地、カーシャーン

この小型の絨毯は、ヴィロードとなる結び目だけでなく、経糸と横糸で構成されている地も、全て絹でできている。これは、絹織物と絹の絨毯で有名なカーシャーンで制作されたもので、ここでは、ものによっては、金糸、銀糸の錦織になった絨毯も制作されている。古文書によれば、ポーランド王、ジグムント・ヴァザは、1602年、アルメニア人の御用商人を「大都市カーシャーン」に送り、「天幕、絹織物、その他、金糸と絹の絨毯」、したがって、金糸の錦織になったものを注文させた、とある。
このようにして、カーシャーンの絹の絨毯が保存されている例がある。ルーヴル美術館の絨毯のように錦織ではないが、16世紀末から17世紀初頭に制作された絨毯は、現在、大型のもの三点と、小型のもの十四点が、ひとつの作品群を形成している。この中の十点には、中央にメダイヨン(円形もしくは多弁形の枠組装飾)があって、それは17世紀の絨毯に特有の装飾配置の初期のものである。

玉虫色に輝く絹を求める熾烈な戦い

地色が赤であるカーシャーンの小型の絨毯の大部分のものとは違って、この絨毯の稀なインジゴの青は光を反射して多彩な輝きをみせる。小動物、犬と野兎は花の茂みの中で、静かに戯れている。一方、鹿は、後肢で立つ牝獅子の存在に落ち着きを失っているようだ。一瞬止まった動きの中に、容赦ない決闘の激しさが、虎と鹿、また、牡獅子と牛、二頭の麒麟、麒麟と鹿の間に感じられる。一見すると、勝手気ままに配置されたようにみえる動物達は巧妙な構図に従っている。東西南北に配された戦いの図が、最も重要なものである。
奇妙な麒麟は、装飾効果が最も高い。この架空の動物は、中国から輸入された絹織物や磁器を通して知られた、中国の架空動物図像集から採ったものである。外観は、猫科か、鹿科の形態をとり、様々な架空の特徴を兼ね揃えている。前脚の間接から細い炎が放射されて、尻尾は巻毛のようになっている。二頭の鹿に似た麒麟の毛並みは、夢幻的である。
すべての美術、すくなくとも、最も権威のある作品は、書物芸術の帝国工房の監督下にあった。この「ペイテル」(蒐集家の名)の絨毯の下絵は帝国細密画工房の装飾家の手になると推定される。事実、同じ図案が別のカーシャーンの絨毯でみられる。ちょうど左右が逆になっていることもある。これらの動物の図柄、鹿、野兎、麒麟は、イランの写本(ルーヴル美術館目録番号OA 7140)でみられるような象牙色やナイト・ブルー、またイランの写本の特徴的なパステル・トーンの余白によく表わされているモチーフである。動物達は、金で描かれて、花や草木の間にいる。

両義性

縁取りには、花開いた牡丹の花の芯に、獅子の頭がついている。こうして、この花とこの動物との密接な関係を表わしている。植物と動物という二つの違った生物界に属するものが混じり合って、場合によっては、共生するというのが、回教美術の傾向のひとつであり(ルーヴル美術館目録番号OA 6023)、この傾向はイスラム美術の歴史の中で何度も現れるものである(OA 7880、OA 7883)。

出典

- Arabesques et jardins de paradis, collections françaises d'art islamique, catalogue d'exposition, Paris, musée du Louvre, 16 octobre 1989-15 janvier 1990, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1989-1990, n 140.

- BERNUS-TAYLOR Marthe, JAIL Cécile (sous la dir. de), L'étrange et le merveilleux en terres d'Islam, catalogue d'exposition, Paris, musée du Louvre, 23 avril-23 juillet 2001, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 2001, n 65.

- BEATTIE MAY H., Carpets of central Persia, Sheffield, World of Islam Festival, 1976, pl. 3, pp. 38-39.

- DIMAND Mailey, "Silk rugs", in Oriental rugs in the Metropolitan Museum, New York, 1973, pp. 54-63.

- ERDMANN Kurt, Oriental Carpets, 1962, Universe Books, pl. 21.

- The Eastern carpet in the Western world from the 15th to the 17 th centuries, catalogue d'exposition, Londres, Hayward Gallery, 20 mai-10 juillet 1983, Arts council of Great Britain, 1983.

- WALKER Daniel, "Oriental Art", in Summer, vol. XLI, n 2, 1995.

作品データ

  • 動物の絨毯

    16世紀

    カーシャーン、イラン

  • 絹、左右非対称のペルシア結び(セーナ結び)

    縦1.24m、横1.09m

  • 1914年、ジョアニー・ペイテル寄贈

    OA 6741

  • イスラム美術

    リシュリュー翼
    地上階
    ティムール朝 1370‐1506年 サファヴィー朝 1501‐1736年 カジャール朝 1779‐1924年 ムガル朝 1526‐1858年
    展示室11

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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