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化粧用鏡

© 2005 Musée du Louvre / Peter Harholdt

工芸品
17世紀

執筆:
Muriel Barbier

化粧用具の流行はおそらく17世紀前半のフランス宮廷に現れ、その後ヨーロッパ、特にイギリスに広がったようである。ルーヴル美術館が所蔵するヨーク公夫人アン・ハイド(1637–1671年)の鏡は、17世紀の金銀細工を伝える重要な作品である。きわめて写実的な花模様で装飾されたこの作品は、作者不詳だが、ルイ13世と王妃アンヌ・ドートリシュの時代の豊かな装飾性の開花を示している。

高度に洗練された金銀細工

鏡は長方形で、マホガニーの心に金めっきした銀の装飾が施されている。枠は縁に花形装飾のある同形の8区画からなり、装飾としては艶消しの地に花の透彫と葉模様の打出がある。この8区画の接合部は、枠の角にはアン・ハイドの頭文字を溶接することで、また四辺の中央では大きな花形装飾によって、隠されている。枠の上部には半円形アーチを描く破風が乗っており、ここには3つの要素がまとめられている。王冠下のアン・ハイドの頭文字を月桂冠が囲み、その両側には艶消しの地に大きな葉の唐草模様が左右対称に配されている。葉と花の細部はきわめて丹念に表現されており、パリで活躍したこの逸名の金銀細工師の妙技を示している。

不明な点が多い注文の背景

アン・ハイド(1637–1671年)は、大法官クラレンドン伯とオレンジ公女メアリー・スチュアート付き女官との娘であった。1660年9月3日、ヨーク公、未来のイングランド王ジェームズ2世は彼女と秘かに結婚する。この結婚は皇太后アンリエット=マリー・ド・フランスの怒りを買い、夫妻の長子ケンブリッジ公チャールズが誕生して1661年1月に洗礼式を行うことになるまで、皇太后はアン・ハイドに会おうとしなかった。おそらくアン・ハイドに贈られた化粧用具セットの中心的な品であるこの鏡は、こうした背景のもとに制作された。化粧用具セットは若い女性が結婚する際に贈られるものであり、子供が誕生すると足りない品が補われることもあった。この鏡はヨーク公夫人の息子が洗礼を受ける機会に、家族の和解に伴って夫人に贈られたのかもしれない。注文時の詳しい背景は知られていないものの、皇太后がフランス出身であることが、金銀細工師を選ぶにあたっておそらく影響したものと思われる。

典型的な17世紀後半の化粧用大鏡

現存する化粧用鏡は数少なく、その中でもこのアン・ハイドの鏡は最古の品である。比較の対象になる作品はアンヌ・ドートリッシュの金の化粧用具セットだっただろうが、このクロード・バラン1世(1615年頃–1678年)の作品は失われてしまった。こうした化粧用の鏡は、燭台や香油壺、およびその他の様々な容器やあらゆる小物など、髪を整えて化粧するという意味の「トワレット」用具を含むセットの一部だった。フランス製の化粧用具は他にも3点現存する。ひとつはコペンハーゲンのローセンボア宮殿所蔵のもの、もうひとつはエディンバラ美術館所蔵のもの、3点目はチャッツワースにあるデヴォンシャー公爵コレクションにある。この3点目は、ヨーク公夫人の娘でオレンジ公妃、メアリー・スチュアート2世のものだった。同鏡は、形と花の装飾から、母であるヨーク公夫人アンの鏡の流れを汲むものだといえる。

出典

- BIMBENET-PRIVAT M., Les Orfèvres et l'orfèvrerie de Paris au XVIIe siècle, t. 2, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 2002, pp. 74-75

- Un Temps d'exubérance. Les Arts décoratifs sous Louis XIII et Anne d'Autriche, Catalogue d'exposition, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 2002, p. 272

作品データ

  • 化粧用鏡

    1660–1661年

    イギリス

    フランス、パリ

  • 1982年に取得

    高さ55.80cm、幅55cm

  • 鋳造、金めっき、打出、および上彫を施した銀、マホガニー、ガラス

    OA 10906

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    アンリ4世
    展示室31

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

刻印:親方(不明で不完全、判読不可)、市役所印:パリ、1660–1661年(冠の下にQ)、四隅と破風に頭文字ADDY。