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壁画

© 2005 Musée du Louvre / Erich Lessing

古代オリエント美術
メソポタミア

執筆:
Iselin Claire

マリのアモリ人王宮の大きな独創性のひとつに、装飾画がある。多数の部屋と内庭に、絵画装飾の跡が残されている。ほとんどは装飾模様であるが、時には、人物像の装飾を施した大きな構図もある。復元することができた極めてもろい全体の中で、マリ王宮を連想させる構図の中央で、王がイシュタル女神を崇敬する「叙任式図」と呼ばれる有名な場面がある。

マリ王の叙任式

叙任式図は、紀元前2千年紀の近東において唯一の構図であり、フリーズ装飾の形をとらず、絵画の形をとっている。しかも、この絵は、中庭(室106)から王座の間(室65)に入る前にある、基壇の広間(室64)に開く大扉右に元々あった壁面に、未だに残されたまま発見された。中庭(室106)の南壁には、「生贄(いけにえ)の儀式を司る者」の絵で飾られていたが、その一破片がルーヴル美術館に展示されている(AO 19825)。叙任式図の主な主題は、ハンムラピ法典(Sb8)のような他の記念碑にも見受けられ、このような場合は、イシュタル神が王に権力の象徴である王杖と笏(しゃく)を差し出す。
横の左右両面には、仲介する女神ラマ、椰子の木、合成樹、監視台に登る架空の動物など補助的要素が左右対称に表されている。象徴の描写に関しては、王が王宮から確固たるものにしなければならない豊じょう,饒の証である(波浪、植物、ナツメ椰子が採られている場面)などを繰り返し表している。獅子を髄獣する戦士の様相を呈するイシュタルが真中に位置づけられ、彼女の平和と愛を象徴する鳩と釣り合わされている。人面牡牛像、グリフィン、またスフィンクスは、ホルサバードに見られるような新アッシリア王宮の門を守衛する巨像の先駆けとなる。

マリ王宮の内部空間の表現

この絵はそれを収める建築に同化され、上下二段の中央パネルには、一列に連なる公務用の部屋と天井のないスペースが描かれている。
実際に同類幅の一室から、大王宮の王座の間に通じていた。この部屋には、基壇が設けられていて、その足元から女神像一体が発見された。この彫像は、絵にあるように現実に水が湧き出る仕掛けがある壷をもっていた。
パネル上の像の2分化は、紋章模様のように、2像の輪郭を組織的に表す回転射影の図案形式によって説明することができる。2像の表現の間に空けられた空間から、王室の叙任式が行われる一番奥の部屋に向かって視野を延長させることができる。
側面の空間は広大な中庭(室106)を表わしているが、発掘によりその中央から、文献に語られている模造と見做されるヤシの木でできた帆柱の固定に使われる固縛装置が出土した。

近年に修復された作品

支持材の本質(日乾煉瓦壁の泥の地塗りの上に塗られる石灰または石膏の膜)や、セッコ画法(実際のフレスコ技法は、紀元前2千年紀初めにクレタ島で出現)、また、湿地帯での保存条件などから、これらがこの地域における絵画遺跡の保存に不適切であるとしか言えない。
その上、叙任式図の壁画は、紀元前1760年頃、バビロニアのハンムラピ王によって引き起こされた火災により、著しく色がくすみ、また、ぼかされてしまった。この火は、都市の記念建造物を全滅に導いたのであった。
この絵は、ルーヴル美術館の新しい展示準備のために洗浄され、先代の修復時に加筆された部分を除去されたばかりである。これまで、知ることもなかった細部のいくつか(湧き出る波上の魚、花網で飾られた王の長衣のすそ,裾)が再び現われ、また、ところどころの色が驚くほど鮮やかに再現された(牡牛の中の一頭は、鮮やかなオレンジ色に留まる)。                  

出典

- PARROT A., Mission archéologique de Mari, volumes I à IV, Institut français d'archéologie de Beyrouth, Bibliothèque archéologique et historique, Paris, Librairie orientaliste Paul Geuthner, 1956 à 1968.

- MARGUERON J.-Cl., Recherches sur les palais mésopotamiens de l'âge du Bronze, Institut français d'archéologie du Proche-Orient, Bibliothèque archéologique et historique, t. CVII, Paris, Librairie orientaliste Paul Geuthner, 1982.

- MARGUERON J.-Cl.,  DURAND J.-M. (éd.), M.A.R.I., Annales de recherches interdisciplinaires, 1 à 8, Paris, ERC, 1982-1997.

- MARGUERON J.-Cl., et PFIRSCH L., Le Proche-Orient et l'Egypte antiques, Hachette Supérieur, Paris, 1996.

- MARGUERON J.-Cl.,  Les Mésopotamiens, 2e édition, Paris, Picard, 2003.

- MULLER B., "La restauration de l'Investiture", in Dossiers d'archéologie, nov. 2003, pp. 42-43, n 288.

作品データ

  • 壁画

    紀元前2千年紀初頭

    マリ(シリア)、アモリ人の王宮

  • 白い漆喰上の壁画

    高さ1.75m、幅2.50m

  • 1935-1936年、A・パロ発掘

    叙任式図

    AO 19826

  • 古代オリエント美術

    リシュリュー翼
    1階
    メソポタミア:紀元前1千年紀‐紀元前2千年紀
    展示室3

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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