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作品 壁画の破片

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

壁画の破片

© R.M.N./G. Blot - C. Jean

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Astier Marie-Bénédicte

この壁画の破片はポンペイのヴェスタルの家にて、部屋の壁に絵画のようにはめ込まれた、室内装飾の一部である。ナポリの地方に被害をもたらしたヴェズヴィオ火山の噴火の直前の70年から79年に制作されたこの壁面は、ポンペイ第四様式のフレスコ画に値する。二人のニンフに囲まれた川の神は、ナイル川とテヴェレ川の擬人化により知られた姿勢で、半臥状態で横たわっている。おそらくこれはポンペイを流れるサルノ川を表しているのか。

ポンペイの邸宅の装飾

この壁画の破片は、1785年、ポンペイにあるヴェスタルの家の発掘の際に発見されたものである。1825年ナポリの王フランチェスコ1世はこの壁画をルイ18世に贈り、そしてそれはルーヴル美術館のローマ美術品コレクションに加わった。この壁画は、ポンペイとヘルクラネウムなどの都市を埋め尽くし、ナポリ近辺を破壊するヴェズヴィオ火山の大規模な噴火の数年前にあたる、70年から79年頃に制作された。住民の日常生活を凍結させたこの悲劇は、結果的に、特に屋敷を飾る壁画や家具などを近代まで保存する事になった。このパネルは、部屋の壁面に絵画のようにはめ込まれ、おそらく壁の南側の部分を装飾していたと考えられる。

サルノ川(?)と二人のニンフ

無地の背景の前には三人の人物が表現されている。上半身裸の二人のニンフは、水が湧き、細い筋となり溢れ出る大型水盤を両手で支えている。二人は、川の神を表す伝統的な図像に従い描かれた髭を生やした男を囲んでいる。岩に背をもたれ下半身を床に寝かせた姿のこの人物は、左手には大量の水が流れる逆さにされた壺、左手には葦を手にしている。その姿勢と象徴は、ローマを流れる川、テヴェレ川の擬人化も同様にそこに由来する、アレクサンドリアの工房で制作されたナイル川を擬人化した作品に多少の着想を得ている。一般的にナイル川は、羽を生やした小人の精プッティ(キューピッド)、ワニ、又はスフィンクスに伴われている。テヴェレ川に関しては、舵と葦を手にしているか、ルーヴル美術館に保管されている彫刻作品(Ma 593)のように、オールと豊饒の角を手にしている。この壁画破片の川の神はその髭にもかかわらずサルノ川と判断できるかもしれない。この川はポンペイの領土を流れ、その都市で頻繁に描かれているが、その多くは髭のない姿である。そうであれば両脇のニンフは、サンタ・マリア・デッラ・フォーチェにあるサルノ川の源泉の擬人化であると考えられる。しかし詳しい地形指標、そして他に比較しえる同等の美術作品がないため、この人物は他の別な川の擬人化像と考える事もできる。

ポンペイ第四様式

ほとんど無地の背景に三人の人物を並列するのは、1879年から1882年にアウグスト・マウにより提唱されたポンペイ壁画の分類によると、ポンペイ第四様式の特徴である。人物の彫刻的様相はこの時代の古典主義の趣向を反映している。そのまとまりのなさから、この構図はいくらかの形式主義がまかり通っていたことをも証言している。この種の壁画は、60年から79年の災害が起こるまでの間、特にカンパニア地方の邸宅で普及していた。第四様式は、非現実的建築遠近法、神話を描いた絵、バロック的要素の強い幻想的な装飾に重きを置いている。これよりも小規模な作品も制作されており、この壁画の破片もそうであったと考えられるように、中央の人物は花や幾何学模様により縁取られた大きな絵の中に孤立させて描かれる。

出典

- TINH T. Tam, Catalogue des peintures romaines (Latium et Campanie) du Musée du Louvre, Paris, 1974, n 10, pp. 35-36.

- Pompéi, catalogue d'exposition, Petit Palais, Paris, 1973, n 207.

作品データ

  • 壁画の破片

    紀元後70年から79年頃

    ポンペイ(イタリア)、ヴェスタルの家

  • 壁画、モルタル

    幅1.78 m、高さ0.92 m

  • 1825年寄贈

    《川の神と二人のニンフ》

    N° d'entrée CC 70 (n° usuel P 2)

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

来館情報

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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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