Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>壺をかつぐ乙女のスプーン

作品 壺をかつぐ乙女のスプーン

古代エジプト美術部門 : 日常生活の品々

壺をかつぐ乙女のスプーン

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
日常生活の品々

執筆:
Pierrat-Bonnefois Geneviève

装飾が施された繊細なこのスプーンは、大きさと保存状態において卓越しており、青く塗られた顔料もよく保存されている。輪郭は小さい木の板から切り取り、一方、図像の細部は浅浮彫で表されている。壺をかつぐ召使いを表しているが、壺の部分はスプーン状の入れ物になっていて、壷を模った蓋が、まだついたまま残っている。この作品は、主題に完璧に一致している。

荷を運ぶ召使い

乙女は重い荷をかついでいるのにもかかわらず微笑みを浮かべ、わずかに前屈みになって歩きづらそうに見える。肩まで覆う幅の広い首飾りを除けば全裸で、脚を飾っていたと思われる宝飾物は今日では消失してしまっている。耳飾りはまだ残っており、太く編んだ髪の下に見えている。渦巻き模様の取っ手と脚がついたクラテル(壷の一種)を右肩にかつぎ、左手には袋を持っている。乙女の裸体は、運んでいる品々の豊かな装飾とは対照的である。クラテルと袋は、この時代の芸術品に偏在する植物のモチーフで覆われ、この乙女が乗っている台座にもスイレンの花びらのモチーフが見られる。壷の部分は、ほぞで回転する蓋になっていて、その下にスプーン状に彫られた入れ物が隠されている。構図のバランスと保存状態は完璧である。

彫刻が施されたスプーン

この作品は芸術的センスにあふれている。スプーンの中では特に大きく、細長く伸びた乙女のシルエットから、ラメセス朝時代初頭のものであると思われる。エジプト美術において大方がそうであるように、スプーンについても、一つとして同じものは存在しない。スプーンの装飾に使われている人物は女性が多く、田園、踊りや音楽をテーマにした場面に配置されている。この作例ように使用人をモチーフにしていることも多いが、実在する人物や神のように、身分が明かされている対象は使われない。登場人物の行動も、神に関連する儀式とは無縁で、銘文も記されていない。花、綿密に彫られた花束、動いている動物、縛られている野性の鳥獣類などが描かれたスプーンもある。このレパートリーは、西洋美術で言えば、風俗画や静物画に当たり、世界中の美術館で展示されることの多いジャンルである。 

謎に包まれた用途

この作品の用途については、まだ何も解明されていない。蓋付きのスプーン状入れ物は、浅く彫られているので、化粧用スプーンとして使用されたのではないかと思われていた。しかし、それならば、化粧品の油性物質や色の跡が残存しているはずだが、木は完全に清潔な状態で、頑丈にできていない取っ手にはしみも付いていなければ使用した形跡もない。
綿密に彫られた花束や、縛られた野性の鳥獣類は、神への供え物を意味するモチーフである。このようなモチーフが転じて、人から人への贈り物にも適用されるようになったのではないかと考えられる。新王国時代の上流階級の空想世界を反映した魅力的なモチーフの体系ともよく一致しているようだ。このようなスプーンは、ファイユーム地方のメディネト・エル=グローブ王宮の貴婦人たちの墓などで発見された。

出典

J. VANDIER D'ABBADIE, Musée du Louvre Département des Antiquités Egyptiennes - Catalogue des objets de toilette égyptiens, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1972, p. 20-21, notice 30.

作品データ

  • 壺をかつぐ乙女のスプーン

    新王国時代、第18王朝末期あるいは第19王朝初期(前1350年-前1250年)

  • イナゴマメの木、蓋はギョリュウの木に彫りと青い顔料で彩色(エジプトブルー)

    高さ:31.50cm、幅:7cm

  • 1886年、ティエール・コレクションより購入

    E 8025 bis

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    装い:装身具、衣服、体の手入れ
    展示室9

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する