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作品 女性の胸甲面(ミイラマスク)

古代エジプト美術部門 : ローマ支配時代のエジプト(前30年-紀元392年)

女性の胸甲面(ミイラマスク)

© R.M.N./Les frères Chuzeville

古代エジプト美術
ローマ支配時代のエジプト(前30年-紀元392年)

執筆:
Cortopassi Roberta

これは、若い女性の肖像である。肉付きのよい繊細な顔立ちは、丁寧にかたどられ彩色されている。髪型は質素で、赤紫色のクラヴィ(縦長の細い帯)が入った青い貫頭衣と、首の後ろまで覆うコートを着用している。数多く身につけた宝飾品には重量感があり、かつては金箔が施されていた。右手にはオシリス神の「無罪の冠」を握っており、左手には、イシス・デメテルの崇拝と関連のある麦の穂とケシを持っている。

女性の仮面

顔は肉付きが良く、小さな窪みのあるあごは二重あごになっている。目は彩色され、化粧漆喰の窪みは瞳孔を示している。髪は真中で分けられ、後ろで一つにまとめられて三つ編みにされ、渦巻きに丸めてヘアーピン1本で留めてある。他の2本のヘアーピンは今日では消失してしまったが、元々は、残っているピンの近くにあった。赤紫色のクラヴィが入った青い貫頭衣は、小さく尖った胸の形を強調している。首の後ろを覆い、肩に垂れ下がったコートには、暗色のL字形モチーフの装飾が施されている。両手を開いたまま腹部の上に置き、右手には、バラの花びらでできた、オシリス神の「無罪の冠」を携えており、一方左手の下には、イシス女神と同化されたデメテル崇拝と関連があるケシと麦の穂が(かつては金箔が施されていた)描かれている。

豊かな宝飾品

この女性は多くの宝飾品で身を飾っている。宝飾品は全て浮彫に彫られ、かつては金箔が貼られていたが、今では剥げ落ちて、下塗りの黄土色の地が見えている。バラ色の肌の上に映し出された金の宝飾品の影と反射された光は、すべて赤い線で描かれ、宝飾品を際ださせている。耳飾りは、葡萄の房の形をしていて、水平の棒に留められている。首は、二連のチェーンと、丸い輪が3個つり下げられた真珠の首飾りで飾られている。左手には3個の指輪をはめ、うち一個は二連指輪で、中指と薬指が繋がっている。各手首には重く硬いブレスレットを各々2個ずつ、つけているが、うち一個は消失してしまっている。頭部の裏側には、故人が、胸の上で両腕を交差させ、笏と殻竿を持ったオシリス神の姿で描かれている。このオシリス神(故人)の両側には、ステラもしくはラベルを想わせる長方形状のものが描かれていて、そこにはギリシア語と思われる文字が書かれている。各長方形の下には黒い蛇が描かれており、一匹は部分的に残存しているが、もう一匹は傷みが激しい。

年代特定の手がかり

この胸甲面は、厳格で地味な顔つきと、豊かな宝飾品のコントラストを特徴とする。これらの宝飾品は、まさしく、その時代に流行した型の見本のコレクションと言える。たとえば、二本の指を繋ぐ二連指輪は、発見された宝飾品の考古学的コレクションのモデルのひとつと一致している。
コートに見られる「L」字型装飾模様のモチーフが何を象徴しているのかは、いまだに謎である。しかしながら、この模様は、考古学的な発掘現場で出土したコートの断片だけではなく、ローマ支配時代の壁画にも、「L」字型模様や卍型模様、あるいは「H」字型模様で飾られたコートを着用している人物が数多く描かれている。
胸部に対し垂直に起き上がった頭は、年代決定の手がかりで、比較的後期の年代であることを示している。

出典

- AUBERT M.-F., CORTOPASSI R., Portraits de l’Egypte romaine, catalogue de l’exposition Paris, musée du Louvre, 5 octobre 1998-4 janvier 1999, Paris, 1998, n° 42.

- MICHALOWSKI K., L’Art de l’ancienne Egypte, Paris,1968, p. 338, fig. 139.

- PAVLOV V., Portraits égyptiens, Catalogue de l’exposition Moscou, , 1967, p. 21, fig. 21 (en russe).

- WALKER S., BIERBRIER M., Ancient Faces. Mummy portraits from Roman Egypt, Catalogue de l’exposition Londres, British Museum, 1997, n° 164 ;

- WALKER S. (éd.), Ancient Faces. Mummy portraits from Roman Egypt, Catalogue de l’exposition New York, Metropolitan Museum of Art, 15 février-7 mai 2000, n° 92.

- Koptische Kunst Christentum am Nil, Catalogue de l’exposition Essen, Villa Hügel, 3 mai-15 août 1963, n° 40.

- Art copte, Catalogue de l’exposition, Paris, Petit Palais, 17 juin-15 septembre 1964, n° 18.

- Un siècle de fouilles françaises en Egypte 1880-1980, Catalogue de l’exposition, Paris, musée d’Art et d’Essai-Palais de Tokyo, 21 mai-15 octobre 1981, n° 341.

Portraits au Louvre, Catalogue de l’exposition Tokyo, musée d’Art occidental, 18 septembre-1er décembre 1991, n° 22.

作品データ

  • 女性の胸甲面(ミイラマスク)

    後3世紀

    アンティノポリス出土、A.ガイエにより発掘

  • 化粧漆喰に彩色、金箔

    高さ33cm、長さ61cm、幅23cm

  • 1948年、ギメ美術館から移転

    E 21360

  • 古代エジプト美術

    ドゥノン翼
    地上階
    ローマ支配時代のエジプト 葬礼美術
    展示室A

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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