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小箱

© 2000 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

工芸品
ルネサンス

執筆:
Muriel Barbier

この小さな真珠層の化粧板に全体を覆われた、骨組みが金鍍金の銀でできた小箱は、フランス王の第一金銀細工師、ピエール・マゴの作品である。この作品は、おそらく王家の一員のために制作されたのであろう。これは、現在知られている16世紀の金銀細工品が数少ないこと、そしてここで使われている技法や素材の豊富さから、フランスの金銀細工芸術の進化のなかで特別な要となる作品である。

真珠層の使用

この小箱は表面全体に、うろこ状で、鋲を打った小さな真珠層が、心板の上に張りめぐらされている。正面では、角のとがった先端を下にして重ねられた、四角い形の小装飾板がある、蓋の周囲を除いては、その真珠層の形状は魚のうろこを連想させる。真珠層の使用は当時の流行を表わしており、それは王室の帳簿からも伝え知ることができる。この種の品々は、インドの北西のスーラトやグジャラートで制作されたものを、ヨーロッパに輸入し、そこで貴金属や貴石の骨組みで装飾が加えられた。それらインドの工房では、真珠層で覆われたあらゆる種類の品が制作されていた。例えばテーブル、箱類、ろうそく立て、そしてここに見られるような小箱である。ウィーンの美術史美術館が同様の品を数点保存しているが、その他にもカリス(聖杯)や瓶、大皿も所蔵している。金鍍金銀の骨組みをもつ、ルーヴルの作品に非常によく似た真珠層の小箱が、マントヴァの司教区博物館に保存されており、それはピエール・マンゴの作であると推定されている。

異なる技法を組み合わせた作品

この小箱の金鍍金銀の骨組みは、フランソワ1世の時代のフランスの金銀細工芸術のまさしく集体成である。金箔を貼った銀は、融解した状態で、透かし状に目打ちをして細工され、エナメルや貴石、沈み彫りの鮮やかな多彩により完成されている。小箱は、鷲の爪の下の、球体の脚の上に乗せられている。4つの角には刳り形の手すり子状の小円柱が施され、全体の構造を形づくっている。マンサード屋根(2段勾配)の形をした蓋には、彫金、分割された取っ手が付いている。それぞれの角には金鍍金銀の刳り形が付いており、唐草かシュロの葉模様のフリーズが施されていたり、またカボション(切り子にカットせず凸面状に磨いた宝石)の石に飾られていたりする。蓋の角には、めのうでできた4つの球体がある。そして、4つの面には、ほうろう加工の、高浮き彫りの彫金で表わされた人物の胸像のメダイヨンが施されている。

フランスの「ルネサンス初期」に特徴的な作品

この作品の様式的な着想は、フランソワ1世の時代を代表するものである。そこに見られる模様は、イタリアの建築から借用したものである。例えば角に離れて施された手すり子、胸像を表わしたメダイヨン(これは特に同時期の家具に見られる要素)、そして蓋の傾斜した面などである。建築物の構造に典拠を求めているという点では、特に錠前の小さな子供の顔や、4つの角に見られる裸のプット(キューピッド)にも言及せねばならない。一方、鷲の爪をもつ足は、ルーヴルに保存されている《聖霊騎士団の宝物庫》のなかの、いくつかの作品のもつ足に似ている。ルネサンス期のフランスの金銀細工芸術は、そのほとんどが17世紀にフランスで行われた融解の犠牲になってしまい、今は失われてしまったため、この小箱は当時の王家、又は王族の金銀細工品の貴重な例なのである。

出典

- MABILLE G., Une nouvelle œuvre de la Renaissance au Louvre le coffret de nacre de Pierre Mangot, La Revue du Louvre et des Musées de France, N°4-2000, p 13-14.

- BIMBENET-PRIVAT M., Les Orfèvres parisiens de la Renaissance 1506-1620, Paris, 1992, p 244-245.

- TOESCA I., Silver in the time of François Ier, Apollo, octobre, 1969, XC, p 292-297.

- TOESCA I., Un coffret parisien du XVIe siècle, Gazette des Beaux Arts, t 66, 1965, p 309-312.

作品データ

  • ピエール・マンゴ

    小箱

    1532-1533年

    パリ

  • 釘打ちの真珠層の化粧張りで覆った心板組み立て部分:金鍍金とほうろうを施した銀、貴石(めのう、ガーネット)

    高さ29cm、幅40cm、奥行き

  • 2000年に収得

    OA 11936

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    アンリ3世
    展示室27

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

検証印(組み立て部分に2度押印):P.M.王冠を頂いた白百合の紋、粒紋が2つ、ゴシック体の文字「M」、「P.J」と王冠を頂いた文字「D」、1532年12月と1533年12月のパリの同業組合幹事会の検証印