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作品 小鉢

イスラム美術部門 : 正統カリフ時代

小鉢

© 2008 Musée du Louvre / Raphaël Chipault

イスラム美術
正統カリフ時代

執筆:
Beaujean-Deschamps Rachel

この小鉢のルビー色と赤が主な色調の装飾は、ほんの少数の作品でしかみられないもので、その内の幾つかは、サーマッラでみつかったものである。この作品は、多色ラスター彩の陶器の色彩の豊富さを伝える、非常にいい例である。これらの作品は、アッバース朝の黄金期である9世紀に大流行した。

ラスター彩

この小鉢は、ルビー色と赤の色調であるが、黄色と緑も少々加わって、地は白である。赤の色は多色ラスター彩の作品では、あまりみられない。普通は褐色と黄色とが多く、時に緑が混じることもある。この小鉢では、多色ラスター彩の作品の特徴である植物文様に幾何文様が混じったモチーフがみられる。ここでは、花束は鉢の内側に描かれ、裏側には二列の赤い線がある。アッバース朝時代の単彩のラスター彩では、逆に具象図案が最も多い。
金属のラスター彩の技法はアッバース朝の時代に現れた。8世紀、まず最初に、この技法はガラス工芸でみられる。最初の例はガラス片で、記された銘文から、エジプトで制作されたことがわかる。技法は同じではあるが、結果は違っている。というのは、金属の酸化物は、ガラスの場合、第二番目の焼成で、表面に薄い膜となって密着するかわりに、ガラスの中に浸透して、ガラス自体を脆くしている。色は、したがって、ガラスの中にある。
ラスター彩の初期には、多色のラスター彩が好まれた。その後、9世紀以降に、制作がもっと簡単な単彩のものが、より好まれるようになる。ラスター彩の技法は、イスラム世界では、大好評であった。この技法によって、金や銀に相等する光の反射をもつ食器の、より安価な製産を、表向きには、可能にした。実際には、これらの陶器の製造には、高価な貴金属の使用(金属の酸化物と錫)を必要とし、また、これを制作するには、これらの材質と二度の焼成の技術に熟練した、非常に高度な陶工の工房を要したわけではある。

ラスター彩の装飾のある陶器の制作

ラスター彩の技法は、大都市の中心地で行われた。その複雑な製造法は、それぞれの工房が秘密にして、それは守られていた。この制作には、二度の焼成が必要である。一度目は、酸素のある大気で、粘土質か珪石質の素地と白色不透明釉を焼く。その後、絵付けをするが、絵具は銅や銀の酸化物で、媒染剤として、酢を混ぜている。二度目の焼成は、還元状態で行う。釉薬は柔らかくなり、金属の酸化物は、酸素を奪われて、金属の薄い膜となって釉薬に定着する。この装飾がうまく成功するかどうかは、窯の火の廻りによる。火が強すぎると「溺れる」し、弱すぎると「定着しない」。窯から出した時には、煤で黒くなっている。磨いて、玉虫色に輝く装飾を出す。

出典

- Arts de l'Islam des origines à 1700 dans les collections publiques françaises, Paris, Orangerie des Tuileries, 1971.

- L'Islam dans les collections nationales, Paris, Grand Palais, 1977.

- SOUSTIEL Jean, La Céramique islamique, Genève, Office du Livre, 1985.

- CAIGER-SMITH Alan, Lustre Pottery, tradition and innovation in Islam and the Western world, Londres, Faber and Faber, 1985.

- ALLAN James W., Islamic ceramics, Londres, Ashmolean Christie's handbooks, 1991.

- Céramique de l'Orient musulman : technique et évolution, Paris, Palais de Tokyo, 1979-1980.

- World ceramic heritage, The West, exposition, Corée du Sud, 2001.

作品データ

  • 小鉢

    9世紀

    イラク

  • 粘土質陶器、失透性釉薬上、多色ラスター彩

    直径13.8cm

  • 1914年取得

    OA 6700

  • イスラム美術

    リシュリュー翼
    地上階
    アッバース朝 8‐10世紀
    展示室2

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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