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作品 幼児の裸体小像

古代エジプト美術部門 : 先王朝時代末期から中王国時代末期(前3800-前1710年頃)

幼児の裸体小像

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
先王朝時代末期から中王国時代末期(前3800-前1710年頃)

執筆:
Ragazzoli Chloé

古代エジプトでは、象の牙やカバの歯といった象牙質の素材がよく用いられていた。先王朝時代からすでに、短刀からゲームの駒にいたるまで、様々な品が象牙質に彫られていたにもかかわらず、この男の子の彫像は極めて稀な作例で、これに類似する彫像は他に知られていない。そのため、やむを得ず、石材あるいは木材に家族と一緒に彫られた幼児の小像と比較しなければならない。

古王国時代の小像

この小像は、1852年に当美術館がドクター・クロのコレクションから入手したもので、出土場所は不明である。しかしながら、その様式からいくつかの手がかりを得ることができる。例えば、幼児の小像では極めて稀にしか見られない波状の線を描く髪は、第5王朝末期(紀元前2500年-2350年)のいくつかの群像で確認されている。

幼児期の描写

この幼い男の子は、カバの下あごの犬歯に彫られたもので、おそらく歯の髄室が両脚の間の空間を決定していると思われる。子供は歩行の姿で表され、人差し指を下唇に当てて、それ以外の指を折り曲げている。左腕は体に沿って自然に下げられ、手は開いた状態になっている。裸体で表されていることと、口に指を当てていることが子供であることを示す二つのしるしである。身体は、短い首、丸々と太った腹部、丸い臍、そして古王国時代では極めて珍しい腰部の小さな窪みの見事な描写などから、ふっくらと丸みを帯びた幼児の体を想起させる。一方顔の扱い方に関しては、第6王朝時代の作品に見られる写実主義を連想させるものがあるが、平たい頭、頬がふっくらした顔、高めの位置に配置された大きな目、平べったい鼻、厚く突き出している唇の大きな口などは、小人を表したいくつかの肖像も連想させる。肉付けは簡潔であるものの、爪は丁寧に彫り上げられており、また性器の正確な描写から、この男の子は割礼を受けていないことが分かる。髪の毛と目は黒色に塗られて引き立てられている。

珍しい作品の謎

この幼児の小像は、古代エジプト人にとって息子を持つことが家庭的にも社会的にも重要であったことを示している可能性もある。社会的に認められるかどうかだけでなく、冥界での生命を約束されるかどうかも男児の出生次第であった。葬祭の儀式を執り行い、供え物を捧げるのは息子の役目であったからだ。しかし、この肖像は、家族と一緒の群像に属さない幼児一人をテーマにしていることや横におさげを1本だけ残して剃髪にする幼児に特徴的な髪型をしていないことからみても、極めて独創的な作品であると言える。一見して、神の幼少時代を明示する特徴は何もない。そこで、発見時の状況が分かっていないこのような孤立した作品が誰を表しているのかという問題、要するに一般的な幼児を描いたものなのか、あるいはある特定の幼児を表現したものなのかという疑問が浮上してくる。エジプトのファラオ王朝時代を通じて、亡くなった幼い子のために建造した葬祭記念物やこの作品のように子供を表した彫像は知られていない。この彫像がはめ込まれていた台座は今日消失してしまっているが、この疑問を解き明かしてくれる銘文がそこに刻まれていたかも知れない。

出典

- ANDREU G., RUTSCHOWSCAYA M.-H., ZIEGLER C., L'Égypte ancienne au Louvre, Paris, Hachette, 1997, pp. 70-71.

- ZIEGLER C.,  "A Propos de quelques ivoires de l'Ancien Empire conservés au musée du Louvre", in GRIMAL Nicolas (dir.), Les Critères de datation stylistique à l'Ancien Empire, Bibliothèque d'Étude 120, Paris, 1998, pp. 407-419.

- ZIEGLER C., Catalogue des stèles, peintures et reliefs égyptiens de l'Ancien Empire et de la Première période intermédiaire : vers 2686-2040 av. J.-C., Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1990, pp. 168-170.

作品データ

  • 幼児の裸体小像

    古王国時代、第6王朝?(前2350-前2200年)

  • 象牙質(カバの犬歯)、彩色

    高さ14.20cm

  • 1852年、ドクター・クロ・コレクションから購入

    E 322

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    2階
    古王国時代 紀元前2700‐紀元前2200年頃 書記坐像
    展示室22

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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