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作品 庭園での憩い

イスラム美術部門 : 近代イスラム帝国

庭園での憩い

© 2007 Musée du Louvre / Claire Tabbagh

イスラム美術
近代イスラム帝国

執筆:
Françis Richard

この絵は、バグダッドで、16世紀末に制作されたとされている。当時、この都市は、オスマン・トルコの支配下にあった。植物の繁茂した庭園の中に、大勢の人がいて、その中心に、日傘を差し掛けられている重要人物がいる。人々の内には、戦闘技を見ている者、食事の準備をしている者がいる。これは、写本の巻頭の頁で、見開きになった二頁の内の一頁である。この頁のあとに、幾何文様やアラベスク文様のある、見開きの「絨毯の頁」がくる。

大判の写本

この絵は、写本の巻頭、見開きの二頁の内の一頁であった。裏面には、その後にくる、幾何文様やアラベスク文様のミニアテュールで飾られた、見開きの装飾頁「絨毯の頁」の一頁がある。この「絨毯の頁」の装飾の様式は、1570年から1580年に、シラーズで制作されていたものに非常に近い。アーモンド形のメダイヨンの枠内には、文字装飾があり、それは、文芸作品の写本の始めるに際しての賛辞の文句の始めの部分が入っている。しかし、使われている言葉からは、残念ながら、この後のあった筈の写本された作品が何だったか、はっきり分からない(おそらく、フィルダウシーの『王書』ではないだろうか)。縁取りの装飾については、修復を試みたが、大部分は失われたままである。この大判の写本は、おそらく王侯の注文によるものである。
バグダッドとその地方(エヤーレト)は、1534年から1623年まで継続して、オスマン・トルコの支配下にあった。その総督のひとり、キュシュク・ハサン・パシャは、1598年から1603年頃に、ミニアテュールで飾られた写本を制作させていたことで知られている。また、シラーズで修行したシラーズの画家が、招聘されて、このバグダッドの総督の宮廷で、働いていたらしい。事実、この写本は、ファールス地方の首都であるシラーズの画壇のもつ特徴的な様式で表現されている。ただし、この種の作品では、人物の頭に巻いたターバンは、この作品でもわかるように、オスマン・トルコのターバンの巻き方で、顔は長く、普通のシラーズ画家による人物像(ルーヴル美術館目録番号OA 7100a)とは違っている。それに反して、服装、姿態、自然の表現法は、16世紀後半のシラーズ派の画風である。同様に、小さい人物像の存在も、まさにシラーズ派の特色である。ところが、背景の豊かな庭園に棕櫚葉がみえるのは、バグダッドならではの特色である。

複雑な構図

写本の巻頭を飾る、見開きの二頁の主題は、写本の内容とは、普通、何の関係もない。よくみられる主題は、王侯の生活場面である。ここでは、下段の円形アーチで、場面が構成され、見開きのもう片方の頁、右にある頁に応答するように設えられている。中央の人物は、従者を率いており、貴人のための贈物を捧げる士官を従えた使節の代表である。この大使一行の到着は、特別なものとして表現されている。それは木に登った見物人がいることでわかる仕組みになっている。さらには、イラン中世の教養物語、サアディーの薔薇園(グリスターン)の逸話のひとつを暗示していると思われる場面もある。それは、王侯の仁慈についての段で、若くて力に満ちた闘士と年老いたが経験の豊かな闘士との間の戦いの記述の一節である。この作品の中では、物見高い人々の輪が、二人の闘士を取り囲み、衛兵のひとりは、野次馬が近づき過ぎないように、離そうとしている。これらの場面の背景には、川の向こうで、木の枝に吊るした子羊の肉を切り分けている者達と、宴会の料理を準備したり、大鍋の煮込み料理の番をする者達が表わされている。

出典

- Arabesques et jardins de paradis, collections françaises d'art islamique, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1989, n° 163, p. 215
- MILSTEIN R., Miniature Painting in Ottoman Baghdad, Costa Mesa, 1990
- Splendeurs persanes, manuscrits du XIIe au XVIIe siècle, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1997, n° 96 p. 146

作品データ

  • 庭園での憩い

    16世紀末

    イラク、バグダッド(?)

  • 紙、グワッシュ、金彩

    細密画:縦30cm、横19.5cm頁:縦34.5cm、横21cm

  • 1916年、ジョルジュ・マルトー遺贈、旧ジョルジュ・マルトー・コレクション

    OA 7101

  • イスラム美術

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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