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作品 戦う戦士

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ヘレニズム時代のギリシア美術(前3-前1世紀)

戦う戦士

© 2006 Musée du Louvre / Daniel Lebée et Carine Deambrosis

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ヘレニズム時代のギリシア美術(前3-前1世紀)

執筆:
Astier Marie-Bénédicte

17世紀よりその名が示すイタリアのコレクションに保管されていた、ボルゲーゼの剣闘士は、実際には戦う戦士を表現したものである。木の幹にエフェソスのアガシアス、ドシテオスの息子とサインがされたこの作品は、前4世紀の偉大なるブロンズ鋳金師、リシュポスの研究を引用している。しかしながら筋肉の強調には、ペルガモンの様式の跡が見える。アガシアスは、ヘレニズム時代の悲壮感をそこに混合しながら、リシュポスの運動選手のような英雄的姿をよみがえさせる事に成功した。

ボルゲーゼ・コレクションの戦士

17世紀初頭に発見された時から、ボルゲーゼの剣闘士は、動きのある男性裸体の美的な見本と称賛され、近代そして現代の芸術家により何度もデッサンされ、模られ、脚色された。この彫像は、ローマの南、アンツィオ(古代アンティウム)にて、スキピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の指揮下行われた発掘の際に発見された。この作品は1611年直前に彼のコレクションに加わった。ニコラ・コルディエは、この作品に右腕を付け加え補完する修復を行った。1808年この大理石彫刻は、ナポレオン1世が、彼の義理の兄弟であるカミロ・ボルゲーゼ公のコレクションを購入したため、イタリアからルーヴル美術館に移された。この作品はその左腕にある盾を固定する腕章から、戦う戦士と判断される前、長期にわたり剣闘士と誤解されていた。ギリシア人はこの円形劇場の競技を知らなかったため、これが剣闘士であることは不可能である。この英雄は、防御と攻撃をかわす動きをとるなか、前方に上半身を傾けた勢いで横に傾いている。その盾の後ろで身を守る剣闘士は、反撃の態勢をとり、剣を握り、騎士とも思われるその攻撃者の方に荒々しく顔を向けている。

リュシポスのブロンズ像に着想を得た作品

木の幹にエフェソスのアガシアス、ドシテオスの息子とサインされたこの作品は、そのギリシア美術のなかの位置づけについて議論を巻き起こした。この作品は前100年頃に制作された。しかし戦士のその縦長の輪郭、意図的に縮小した頭の均整、筋肉のモデリングの力強さは、前4世紀の偉大なブロンズ鋳金師シキュオンのリュシポスの研究を想起させる。この剣闘士はまた、リュシポス、またはクラシック時代末の模倣者のうちの一人により制作されたブロンズ像より、ローマ人の発注者のため制作されたヘレニズム時代の複製であるとも考えられる。木の存在はこの意見に照合されるようである。この作品はおそらく支柱無しで作られたブロンズ製の作品から、より壊れやすい素材である大理石にて制作された作品の安定性を充実させる必要性を明らかにしている。

ヘレニズム時代の研究の跡

しかしながら失われた原作の忠実な複製品以上のこの彫像は、アガシアスが導入したその時代の革新を含んだ、クラシック時代の原作の自由な再現ように解釈がされるべきであろう。この作品は、特にペルガモンのバロック的作品の動性のなかに見られる、ヘレニズム時代末の美的研究に属している。戦士を三次元の空間に留める構成の大胆さと、鑑賞者にあらゆる角度から彫像を鑑賞させる仕組みは、ヘレニズム美術では多く見られた。過度に輪郭の取られた筋肉の加工と、大きな斜線にて形成された動きの荒々しさは、前2世紀初頭にペルガモンに建てられた神々と巨人たちの祭壇のフリーズの跡を残している。顔の悲壮感の加工は、そこに注がれた労力の激しさを目立たせている。

出典

- LAUGIER L., "Le Gladiateur Borghèse", in Feuillet pédagogique du Musée du Louvre, 3, Paris, 2001, n 51.

- D'après l'antique, musée du Louvre, Paris, 2000, p. 151, n 1, p. 276-295, p. 391-395.

- HAMIAUX M., Les sculptures grecques, II, Paris, 1998, p. 50-54, n 60.

- KALVERAM K., Die Antikensammlung des kardinals Scipione Borghese, Worms, p. 208-210, n 94, fig. 108-109.

- HASKELL (Fr.), PENNY (N.), Pour l'amour de l'antique, la statuaire gréco-romaine et le goût européen, 1500-1900, Paris, 1988, p. 240-244, n 113.

作品データ

  • エフェソスのアガシアス、ドシテオスの息子

    戦う戦士

    前100年頃

    イタリアの古代アンティウム、アンツィオにて発見

    小アジア(?)、ギリシア(?)

  • ペンテリコ産大理石(アッティカ)、丸彫

    高さ1.99m

  • 旧ボルゲーゼ・コレクション、1807年購入

    通称「ボルゲーゼの剣闘士」

    Inventaire MR 224 (n° usuel Ma 527)

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    ドゥノン翼
    1階
    ギャラリー・ダリュ ボルゲーゼの剣闘士
    展示室B

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

木の幹に彫られたサイン