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戸棚
© 2010 RMN / Jean-Gilles Berizzi
工芸品
17世紀
アンドレ=シャルル・ブールは1672年よりルーヴル宮内に工房を与えられた。ブールはここで、自分の名がついた技法を完成に導いた。もっとも、この技法はブールが発明したわけではない。17世紀すでに、ブールの作品は大評判を呼び、王室調度品保管所に数多くの家具を納入している。この戸棚は彼の作とされる。戸棚は単一の本体からなる堂々としたものである。ブールはこの形の戸棚を作ろうとした最初の人物のひとりであり、本作品はルーヴル美術館の中でもとくに美しい家具に数えられる。
アンドレ=シャルル・ブールの箪笥
大扉が2枚で単一の本体からなる戸棚は、ブールが得意としたものである。18世紀初頭当時、これは新しい家具の形だった。それまでの戸棚は4枚の扉がある二段式のものだったからである。頭頂部は盛り上がっており、2つの錠前で開閉が可能である。本体についた大扉2枚は花の寄木細工で覆われ、そこにブール様式の象嵌と金めっきしたブロンズが組み合わされている。一方、下部は金めっきしたブロンズ製のライオンの鼻面で飾られ、かつては丸い脚にのっていた。この脚は、サンクト=ペテルブルクのエルミタージュ美術館が所蔵する、同じ家具職人による戸棚の脚に似ていたはずである。この戸棚の素描はパリの装飾美術館に保存されている。他にもブール作の、あるいはブール作とされる戸棚が数点知られている。その1点はブール様式の「表」および「裏」という象嵌を施したものであり、さらに一対を加え3点がルーヴル美術館に収蔵されている。
質の高い花の寄木細工
寄木細工は一般に、黒檀の地に浮き上がって見えるように作られる。ブールの数少ない他の家具のように、ここでは寄木細工が鼈甲の地に施されている。扉は花束を生けた壺で飾られている。壺はアカンサス葉のついた台座に置かれ、その周りを蝶と鳥が飛び回っている。戸棚側面の象嵌は、蝶をお供に枝にとまるオウムを表している。この象嵌はきわめて精巧で質の高いものである。多様な木材の色は現在やや色褪せてはいるが、鼈甲の地に華やかさを添えている。材料を熟知し、部品を巧みに刻んで制作したこの作品において、ブールの芸術は頂点に達している。
使用された技法
寄木細工の絵画の下に、ブール様式の象嵌による8つの区画があり、裏を青く着色した角の地に真鍮と錫の花形装飾が施されている。また家具の上下には、鼈甲の地に真鍮と錫を施すという同じ技法の象嵌によるパネルが飾られている。これらのパネルは、寄木細工のパネルよりも小型ながら、戸棚全体にを彩りと華やかさを添えている。扉の内側も黒檀とカイエンヌ産マホガニーの化粧板が張られ、錫が象嵌されている。金めっきしたブロンズの使用は、ブールの作品の中では多い方ではないが、蝶番の部分、寄木細工の枠および縁取りに認められる。蝶番はバラ模様で飾られるが、そこからアカンサス葉が伸び、ブール様式の象嵌による唐草模様と巧みに一体化している。これら金めっきしたブロンズの飾りは他の装飾と完璧に調和している。それでも、こうしたブロンズの飾が控え目で花の寄木細工の占める位置が大きいことから、この戸棚はブール作品の中では初期の作と位置づけられる。
出典
ALCOUFFE D., DION-TENNENBAUM A., LEFEBURE A., Le mobilier du musée du Louvre, t.I, Dijon, Editions Faton, 1993, p 70 - 79.PRADERE A., Les ébénistes français de Louis XV à la Révolution, Paris, Editions Le Chêne, 1989, p 67
作品データ
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アンドレ=シャルル・ブール
戸棚
1700年
パリ、チュイルリー宮、ゴグラ・コレクション旧在
フランス、パリ
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樫の骨組、黒檀とカイエンヌ産マホガニーの化粧張り、ブール様式の象嵌、真鍮、鼈甲と角、各色の木材を使った寄木細工、金めっきしたブロンズ
高さ2.55m、幅1.57m、奥行き0.58m
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1870年、国有調度品保管所より分与
OA 5516
来館情報
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)
休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
