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作品 断片的なクラテル

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : アルカイック時代のギリシア美術(前7-前6世紀)

断片的なクラテル

© 2009 RMN / Hervé Lewandowski

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
アルカイック時代のギリシア美術(前7-前6世紀)

執筆:
Kardianou-Michel Alexandra

その巨大な大きさから、このクラテルは断片的な状態でも人々の注意を引くものである。ワインと水を混ぜる、とても普及したこの容器は、紀元前850年から760年の間、その置かれた位置より墓の場所を知らせるもう一つの役割を果たした。把手の間の空間は、死者の側近者や泣き女たち、戦士などに囲まれた遺体が展示された場面が展開している。

ディピュロンの巨匠

幾何学様式美術は、通称「ディピュロン」と呼ばれる壺に最その期がうかがえる。それは初の埋葬記念物の形である。この巨大な記念建造物の傾向は、いたるところに存在し、それらの壺は時には人間の背の高さにまで達した。それらの壺の大きさと装飾は、その価値と死者の富を明確にしている。それは、女性にはアンフォラ、男性にはクラテルと区別された。紀元前750年頃アテナイにて作られたこれらの壺は、墓地の有力者の墓のうえに、セマ(ギリシア語で印という意味)として置かれた。それらは「二重扉(ディピュロン)」の近くの、「陶器」の領域にて発見された。「ディピュロンの巨匠」という習慣的な呼び名は、墓地に隣接した区間である「陶器」の領域にて紀元前770年から750年の間活動した、ギリシア世界で初の壺装飾の巨匠という事から命名された。この画家はまた陶工でもあるとも考えられ、その素描は、それらの壺の形に完全に適合している。五十数個の作品が彼に帰属され、そのなかの複数の作品が、アンフォラやクラテル、オイノコエなどの大型の壺である。

叙述的な場面

壺装飾の絵図が描かれた場面は、紀元前770年から700年の間の後期幾何学様式の間に出現した。それは、最も多くの場合、死者の展示(プロテシス)または、火葬や埋葬の場まで戦車で死体を誘導する行列(エケポラ)などの葬儀の場面である。航海や海戦、地上での戦いそして戦車の行進の場面もまた、画家が好んだ主題である。頻繁に生命輪廻を表す死の象徴である、陶土で加工された蛇が壺の口と把手、胴部を囲んでいる。この壺の胴部に描かれている場面は、死者が亡くなって二日目に行われる、プロテシスである。死者は豪華な寝台の上に置かれ、体を透けて見せる格子柄の白布に覆われている。彼は、寝台の周りで座わるか、ひざまずいた親近者や泣き女たちは、嘆き、手を頭の方へ上げている。死者の寝台を囲む戦車の上の戦士と、把手の下の戦艦は、幾何学的な装飾方式を補い、アテナイ人上流階級の軍隊への価値観を完全に表現している。

幾何学模様の破片

壺装飾の初の人物像は、輪郭の素描のみである。その顔は横顔で描かれ、その全体が一つ目で占められている。三角形の体は正面を向いている。単純な線で描かれた両腕は、頭の方へ持ち上げられ、それは葬儀または魂を運ぶ場面に特徴的な嘆きの仕草を表している。両脚は長く、腿は強調されている。画家は、目に見えるものを描いたのではない。その例として、戦車には四つの車輪が描かれている。そして死者は死体安置壇の上に寝かされ、それは正面を向いた状態で描かれている。死体を覆う布は幔幕のようにその上部に表現されている。場面の奥行きを表現する技術的困難は、情景の重なりにより代用されている。その方法は5世紀末に線的遠近法が発見されるまで使用された。このクラテルは、ディピュロンの巨匠の芸術の見事な例である。

出典

- DENOYELLE Martine, Chefs-d'oeuvre de la céramique grecque dans les collections du Louvre, Editions de la Réunion des musées nationaux, 1994, p. 18, n 4.

- MARMOIS Sophie, Les rites funéraires grecques à travers la céramique, feuillet pédagogique n 3/18.

- AHLBERG-CORNELL Gudrun, Prothesis and Ekphora in Greek Geometric Art, ed. Paul Aströms, 1971.

- BOAEDMAN John, Aux origines de la peinture sur vase en Grèce, Thames & Hudson, 1999.

作品データ

  • Maître du Dipylon (attribué au)

    断片的なクラテル

    ディピュロンの巨匠に帰属

    ディピュロンの墓地、アテネ(ギリシア)

    アテナイ(ギリシア)

  • 陶土、釉薬、線画、輪郭の素描

    現存する幅:58cm

  • 旧レイエ・コレクション、1884年購入

    A 517

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    シュリー翼
    2階
    ギャラリー・カンパーナI ギリシャ陶器 幾何学様式時代と東方化様式時代
    展示室40

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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

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