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作品 書記座像

古代エジプト美術部門 : 先王朝時代末期から中王国時代末期(前3800-前1710年頃)

書記座像

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
先王朝時代末期から中王国時代末期(前3800-前1710年頃)

執筆:
Labbé-Toutée Sophie, Ziegler Christiane.

書記の座像を知らない人はいないだろう。古代エジプト美術部門の2階に展示されているこの書記座像は、誰の肖像であったか名が知られていないものの、最も有名なものである。この人物の名前、称号、生きていた正確な時代については何も分っていない。それにもかかわらず、この像は見学に訪れる人々に、深い感動を与える。

書記特有のポーズ

『書記座像』という名称で有名なルーヴル美術館の書記は、あぐらをかいて座っている。右脚を左脚の前に交差させ、両膝でぴんと張られた白い腰衣を台の代わりにし、左手で一部が広げられたパピルスを持っている。右手には筆を握っていたが、今日では消失してしまっている。
最も印象的なのは顔の取り扱い方であるが、とりわけ目の象嵌細工は丹念に作られている。これは赤い石目模様の入った白いマグネサイトの塊の中に水晶を嵌め込んで作られたものである。水晶は、軽度な円錐台形をなしているものと思われ、前部が丹念に研磨され、後部は、虹彩の色を出すために有機物質の層に覆われ、おそらく接着剤の役目も果たしているのではないかと推測されている。このように作られた眼球は、銅製の大きな二本の爪留の枠の中にはめ込まれ、後ろで眼窩と溶接されている。眉毛は黒い線で素描され、手、指、爪は、驚くほどの繊細さで彫られている。肥大した胸の乳首は木製の楔二本で表されている。この彫像には、1998年に修復が施されたが、表面に塗られていた蝋の厚い層をいくらか取り除くに留められ、これにより、極めて良く保存された古代の多彩色が以前より鮮明に浮き出るようになった。

名が分かっていない人物

書記が座っている半円形の台座は、ルーヴル美術館の第22展示室に展示されているセトカ王子の彫像の台座のように、かつては、名と称号が記されたさらに大きな台座に嵌め込まれていたと考えられている。しかし、その台座は消失してしまっており、またこの彫像の発見時の状況からも、この人物についての情報は何も得られていない。
この彫像の発見者である、考古学者オーギュスト・マリエットによると、この書記像は1850年11月19日にサッカラにあるセラペウムのスフィンクスの参道北側で発見されたようだ。しかし残念なことに、この発掘は彼の死後に発表され、発掘日記は紛失し、記録文書はフランスとエジプトに四散してしまっていたために、正確な出土場所は特定されていない。
いずれにせよ、荒らされ、かき乱されてしまった発掘現場には、この人物の身元を特定できるような手がかりは何一つ残されていなかった。ある者は、この書記像と同時に発見された彫像の持ち主と同じ人物であると証明しようとした。様々な人物の名が挙げられたが、最も有力な説は、ペヘルネフェルという人物とする説である。一般的ではない薄い唇、上半身の肉付き、肥大した胸などの様式を根拠としてこの説を裏付けることができる。ペヘルネフェルの彫像は、第4王朝のものと確定されているため、書記座像のモデルがペヘルネフェルであるとすると、しばしば第6王朝のものとされてきたルーヴルの書記座像は、実は第6王朝より早い時期のものではないかとする説の補足的な論拠になりうる。この説を裏付けるもう一つの論拠として、「書く」姿の書記像がむしろ第4王朝から第5王朝初期にかけて作られていたのに対し、その後の時代では、「読む」姿の書記像が大半を占めていたことが挙げられる。

仕事中の書記

エジプトの彫像において、仕事中の書記が表されている彫像は稀である。このようなポーズは、王像に全く見かけられないものの、第4王朝のジェドエフラー(ディドゥフリ)王の息子達の彫像に見られるように、元来、王の息子や孫など王族が取るポーズであったのではないかと推測されている。

出典

- BOUQUILLON Anne, "La couleur et les pigments", in Techne 4, 1996, p. 55, fig. 6.

- L'Art égyptien au temps des pyramides, Catalogue de l'exposition, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1999, pp. 383-384.

- ZIEGLER Christiane, Le Scribe "accroupi", collection solo, Paris, 2002, n 20.

- ZIEGLER Christiane,  Les Statues égyptiennes de l'Ancien Empire, Département des Antiquités égyptiennes, Musée du Louvre, Paris 1997, n 58, pp. 204-208.

作品データ

  • 書記座像

    第4あるいは第5王朝?(前2600-前2350年)

    エジプト、サッカラ、セラペウムのスフィンクス参道北出土

  • 石灰岩の彫刻に彩色目の象嵌細工、水晶、マグネサイト(炭酸マグネシウム)、ヒ素含有銅乳首、木

    高さ53.70cm、幅44cm、奥行き35cm

  • 1854年、発掘の分配分としてエジプト政府から寄贈

    E 3023

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    2階
    古王国時代 紀元前2700‐紀元前2200年頃 書記坐像
    展示室22

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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