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作品 櫃、通称《アンヌ・ドートリシュの櫃》

工芸品部門 : 17世紀

櫃、通称《アンヌ・ドートリシュの櫃》

© Musée du Louvre / Objets d'Art

工芸品
17世紀

執筆:
Muriel Barbier

花模様を中心とする金の透かし彫りに覆われたこの櫃は、アンヌ・ドートリシュ(1601−1666年)の櫃と呼ばれている。この贅沢な作品は、確かに王室コレクション目録に記載されていた形跡はあるが、王妃の歿時の財産目録には見当たらない。よってこの櫃の来歴は依然として定かではない。それでも17世紀パリの金銀細工の、きわめて稀に見る豪奢な作例であることには間違いない。

金の線細工で飾られた櫃

この櫃は円盤状の台にのった獅子の足に四方を支えられている。蓋はやや膨らみ、両脇には金の持ち手がついている。前面には錠前がある。櫃は青のサテン地ですっかり覆われた木心からなり、もっぱら植物に着想を得た透かし彫り装飾が金の網の目ように張り巡らされている。花の中にはチューリップ、ひまわり、マリーゴールドが認められるが、これらの花々はふんだんにあしらわれた唐草模様や茎の間にバランスよく配置されている。この透かし彫り装飾を通して青いサテン地が見える。

花模様を主体とする様式

ここに彫られたきわめて写実的な花の装飾は、1660年代のパリの金銀細工作品を想起させる。しかしながら、幅広い鋸歯状の葉や大きな花には、金銀細工師フランソワ・ルフェーヴルの『花の図案集』の版画との類似が見られる。この図案集は、バルタザール・モンコルネの版画で1635年にパリで出版された。版画集は金銀細工師ロベルデイやドラバールのものに近い、より様式化された、より抽象的な花模様のレパートリーを含んでおり、1640‐1650年代の傾向に結びついている。この櫃は2つの傾向、すなわち1625‐1635年頃の写実的性を欠く植物の様式と、1660年代の自然主義的な花の様式の中間に位置している。これは同種の作品としては唯一の現存例であり、ルーヴル宮内で活動していたバラン、ドラバール、グラヴェといった金銀細工師の作品ではないかと考えられている。

不確かな来歴

この櫃の来歴については、多くの問いが投げかけられている。1830年、櫃内に作者不詳の紙片が見つかった。今日失われてしまったが、同紙片からこの櫃はマザランがアンヌ・ドートリッシュに贈ったものだという考えが広まった。この櫃は1791年の王室宝飾品目録に現れ、1784年の修繕見積書が存在する。1729年の王室調度品保管所の総目録にはまた別の記載がある。この櫃はアンヌ・ドートリッシュ歿後の財産目録には記載されていないため、これが同妃のものであったとは考えられない。しかし、ルイ14世が1660年の結婚に際して王妃マリー=テレーズに贈った可能性はある。また、1676年にルイ14世が自分の宝石(外交上の贈答用に王が貯えた宝石類で、細工のあるものもないものも含まれ、その量は着実に増えていた。)を収めるために注文したものにあたるかもしれない。こうした不明点はあるものの、ルーヴル美術館のこの櫃は、フランスの宮廷でかなり広まっていた線細工と金製品に対する嗜好を伝えている。

出典

- BIMBENET-PRIVAT Michèle, Les Orfèvres et l'orfèvrerie de Paris au XVIIe siècle. Volume 2. Les Oeuvres, Paris-Musées, Paris, 2002, p. 70-73.

- Un temps d'exubérance : les arts décoratifs sous Louis XIII et Anne d'Autriche, catalogue d'exposition, Editions de la Réunion des Musées nationaux, Paris, 2002, p. 267-269.

作品データ

  • 櫃、通称《アンヌ・ドートリシュの櫃》

    17世紀中頃

    アンヌ・ドートリッシュ?、1729年、王室コレクション目録に記載

    パリ(フランス)

  • 打出しと透かし彫りおよび線細工を施した金、青のサテン地で覆った木心

    高さ25.20cm、幅47.50cm、奥行き36.20cm

  • 王室コレクション旧在

    MS 159

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    エフィア城
    展示室32

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

脚裏のひとつに刻印:298