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作品 浅浮彫: ナイル川の魚、釣りの光景

古代エジプト美術部門 : 日常生活の品々

浅浮彫: ナイル川の魚、釣りの光景

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
日常生活の品々

執筆:
Pierrat-Bonnefois Geneviève

古王国時代のマスタバのこの断片には、蛙、カバ、ワニの他に、約10尾の魚が描かれている。沼地の世界を描いたもので、ここは、現実の生活において高貴な墓主が元気を取り戻す場であり、また精神的に本源に立ち返る場でもあった。

ある大場面の詳細部分

この断片は、墳墓礼拝堂の壁、より正確には古王国時代の名士たちの墓を覆うマスタバの壁から出土した。この場面の中心人物である墓主の姿は、左足を除いては消失しており、左足は小舟の前方を足場にしている。小舟は、後方にも続く喫水線を象徴する浮彫にされた線の上に浮かんでいる。Potamogeton lucens(ヒルムシロ科の水生属)と呼ばれるナイル川の水草に蛙が見える。青で塗られ、ジグザグの線が垂直に入っている部分は、水を表現している。舟の前方、喫水線の上部にも水が描かれ、生息する魚が垂直に上っているのが見える。作者は、このような変わった構図によって、魚を銛で仕留めている英雄の尊大な姿を表すことに成功している。墓主は、水面に向って身をかがめることなく、水平に武器を突き刺している。この場面の上部は消失しているが小さい銛だけが見える、おそらくもう一人の人物が握っていたものと思われる。

住人が密集した断片

水面の上に見えるものは、全て浮彫で彩色が施されている。水中に生息する動物は、カバとワニを除いては輪郭がきわめて浅く彫られ彩色されている。現代の観察者は、多種多様な生き物の縮尺率が無視されて描かれていることに驚くだろう。釣り人の足は不相応な大きさで表されており、また魚は、カバやワニと同じ大きさに描かれている。確かにエジプト芸術ではあるがままの描写を追及するものではなく、対象を並置させて描写する方法をとる。ここの総体的なメッセージは、行動が起こっている場所にいる動物の具象であって、いわゆる多種多様な生物が詳細に描かれ、丁寧に彩色されている博物学の挿絵のようなものである。その上珍しいことに、保存状態もきわめてよい。左から右に順を追って、ベフベイト・モルミルス、赤銅色をしたナマズそしてカバが二頭、ボラ、ワニの前にCitherinus latus(ナイルバーチ)、Malopterurus electricus(デンキナマズ)、ナイルスズキ、小舟の上には、左から右に、Tetrodon fahaka(マフグの一種)、ベフベイト・モルミルス、ウナギ、Synodontis batensoda(シノドンティス・バテンソダ)、Tilapia nilotica (ナイル・ティラピア)が描かれている。

沼地 多様な意味を持つ世界

ナイルの谷で耕作を始めたエジプト人は定住するようになり,沼地は、創生の時に生命が誕生した水界の残留であると思われていた。また、食糧を供給してくれる場所でもあった。というのも、魚は日頃の食物として大きな位置を占めていたからだ。それとは対照的に、釣りや狩りは、高官にとって涼しい心地よい環境で行われる贅沢な娯楽活動であった。この作品では、作者は、エジプト王の自然界支配を表す図像つまり王の公式な釣り場面の図を手本に模倣している。このような様々な理由から、このような場面がマスタバにあったことは、生命の源泉を表現しているといえる。

出典

- VANDIER J.,  "Un don des Amis du Louvre au département des Antiquités égyptiennes", in La Revue du Louvre et des Musées de France, 1969, tome 1, p. 1-6.

- ZIEGLER C.,  Musée du Louvre Département des Antiquités Egyptiennes - Catalogue des stèles, peintures et reliefs égyptiens de l'Ancien Empire et de la Première Période Intermédiaire (vers 2686-2040 avant J.-C.), Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1990, p. 41-42, 298-301, notice n 61.

作品データ

  • 浅浮彫: ナイル川の魚、釣りの光景

    古王国時代、第5王朝末期あるいは第6王朝初頭 (前2400年-前2300年頃)

    サッカラ出土(エジプト)

  • 浅浮彫、石灰岩、彩色

    高さ:最大0.55m、幅:最大1.57m、厚み:0.035m

  • 1969年、ル-ヴル友の会より寄贈

    E 26092

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    ナイル川
    展示室3

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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