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作品 男性の胸甲面

古代エジプト美術部門 : ローマ支配時代のエジプト(前30年-紀元392年)

男性の胸甲面

© 2007 Musée du Louvre / Georges Poncet

古代エジプト美術
ローマ支配時代のエジプト(前30年-紀元392年)

執筆:
Cortopassi Roberta

死者の胸像は、粗織りの布に彩色され、壁龕(へきがん)の形に切り取られ、イエローオーカーに塗られた地から浮き上がっている。唯一浮彫になっている頭部は、亜麻布を固めたものに化粧漆喰が施されている。花飾りで仕切られた上半身の下には、ソカル神の船が二匹のジャッカルに守られている光景が描かれている。このタイプの胸甲面(胸まで覆うミイラマスク)は、葬祭伝統が進化した最終段階のものを表している。

男性の肖像画

三角形の顔は、きわめて高い浮彫に彫られ、鮮明な色で彩色されている。一方、黒い顎ひげや口ひげには立体感が表れていない。厚く化粧された瞼と太い眉毛は濃い色斑をなし、視線を引き立てている。皮膚は濃いオーカー色で描かれ、頬は紫オーカーで塗られた二つの円で表されている。黒髪の巻き毛は浮彫で表現されているが、先端の小さな巻き毛は、画布に塗られたバックの上に簡単に彩色されている。頭に戴いた冠にはギンバイカの葉と宝石のカボション(半球状に整えた宝石又はガラス)が交互に丁寧に描かれている。首の周りには、大きなナオス(祠堂)の形をした首飾りをつけており、ペンダントは、金を象徴するために黄色で塗られている。

衣装と装飾品

男性は貫頭衣を二枚着用しており、下は黒いクラヴィ(縦長の細い装飾用帯)で、上は赤紫のクラヴィで装飾されている。上の貫頭衣のクラヴィの両側に黄色の点線が入っているが、これはエジプトのネクロポリスで発掘された全てのコプトの貫頭衣に見られるもので、織り目が房で終わる装飾的な帯をなしている。長袖の先端には房がつけられている。片方の肩は、赤紫色のまんじ形のモチーフで装飾されたコートで覆われている。オリエントを起源とするこのモチーフは、太陽を象徴し、ローマ支配時代のコートの装飾によく見かけるものである。衣装のひだは、濃い色の線で描かれており、素描で表された手は濃いオーカーの線で縁取られ、爪は白く塗られている。指輪を二個はめた左手にオシリス神の「無罪の冠」を持ち、右手には取っ手がついている杯を握っている。白地の長方形をなす胸甲の下部は、胸像部と花飾りの模様で分離され、メンフィスの埋葬の神ソカルの船が描かれその両側に来世の鍵を首にかけたジャッカルが座っているのが見える。

墓として再利用された礼拝堂

このタイプの胸甲面が、ハトシェプスト女王(紀元前1479年-紀元前1457年)のアヌビス神殿の礼拝堂で約15点発見された。というのも、ローマ支配時代ではこの礼拝堂は、地下埋葬室として再利用されていたからだ。胸甲面はミイラを包む屍衣と紐で縫って繋がれた。この作例では、頭頂と下部に紐がまだ付いているのが見える。そしてミイラは、テラコッタの「棺」に納められた。発見された胸甲面の図像はほとんど同様なもので、男女とも花飾りと杯を持ち、カボションがついた冠をつけ、長方形の下部は大部分がソカル神の舟で占められている。ただし、宝飾品と衣装は多種多様で、とりわけ女性のものは変化に富んでいる。鮮やかな色と著しい特徴のある顔をした胸甲面は、エジプト異教徒の葬祭慣行の最後の証である。

出典

- ABERT M.-F., CORTOPASSI R., Portraits de l’Egypte romaine, Catalogue de l’exposition Paris, musée du Louvre, 5 octobre 1998-4 janvier 1999, Paris, 1998, n° 26.

- DESTI M., Les Portraits funéraires égyptiens d’époque romaine du Musée des Beaux-arts, Bulletin des musées de Dijon 3, 1997, p. 25, fig. 3.

- GRIMM G., Die Römischen Mumienmasken aus Ägypten, Wiesbaden, 1974, p. 95, 143, 190.

- PARLASCA K., Mumienporträts und Verwandte Denkmäler, Wiesbaden, 1966, p. 208, pl. 52,4 ;

- RIGGS C., Roman period mummy masks from Deir el-Bahari, The Journal of Egyptian Archaeology 86, 2000, p. 125, 128, 131, 135, 143 ;

作品データ

  • 男性の胸甲面

    3世紀末-4世紀初頭

    1893-1894年、デル・エル=バハリ(ディール・アル=バハリ)、ナヴィルの発掘により出土

  • 亜麻布、化粧漆喰、彩色

    縦:90cm、横:32cm

  • エジプト調査財団より寄贈、1948年にギメ美術館から移転

    E 20359

  • 古代エジプト美術

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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