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作品 眠るヘルマフロディトス

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ヘレニズム時代のギリシア美術(前3-前1世紀)

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ヘレニズム時代のギリシア美術(前3-前1世紀)

執筆:
Astier Marie-Bénédicte

ボルゲーゼ・コレクションの見事な傑作品であるこの彫刻は、両面性とヘルマフロディトスの官能的な曲線により、見るものを魅了し続けてきた。この人物は、17世紀ベルニーニにより制作されたマットレスの上で扇情的に眠っている。ニンフ、サルマキス申し入れを断り、彼女の体と一体になったヘルメスとアフロディーテの息子は、両性具有の生き物のように表現されている。この主題は、前2世紀の原作より着想を得ており、ヘレニズム時代末の演出への嗜好を反映している。

この作品の近代史

1608年ローマのディオクレティアヌスの浴場付近にて発見されたこの彫刻は、17世紀から18世紀のボルゲーゼ・コレクションのなかでも最も感銘を与えた傑作のうちに数えられる。1619年スキピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿は、バロック時代のイタリア人彫刻家ベルニーニに古代の彫像を寝かせるためのマットレスの制作を依頼した。同じ年にダヴィッド・ラリクは、ヘルマフロディトス自体の修復を手がけた。この作品は、1807年ナポレオンが彼の義理の兄弟に当たる、カミロ・ボルゲーゼ公から一連のボルゲーゼ・コレクションを購入した後、ルーヴル美術館に収集された。ルーヴル美術館のヘルマフロディトスは、最も有名であったが、他の3体の古代の複製彫刻がこの作品と比較される事もあった。ルーヴル美術館に保管してあるヴェッレトリのヘルマフロディトス、フィレンツェ、ウフィツィ美術館のもの、そして未だにローマのボルゲーゼのヴィラに保管してあるものがそれに当たる。

ヘルマフロディトスの主題

この主題はみだらなものではないが、常に多くの鑑賞者の好奇心をそそる。ヘルメスとアフロディーテの息子ヘルマフロディトスは、ニンフのサルマキスの好意を拒否した。この拒絶を理解できなかった彼女は、ゼウスに頼み彼らの体を永久的に結合してもらった。そのため男性性器と女性の官能的な形をもつ、両性具有の生き物のような奇妙な混合となった。ベルニーニが与えたマットレスの上に扇情的に横たわるこの人物は、眠っているが熟睡しているわけではない。体のゆがんだ形、やや持ち上げられた左足まで表れる緊張感は、夢を見ている状態を表現している。

ヘレニズム時代の嗜好の表れ

この作品は、前2世紀のギリシアの原作に着想を得たと思われるローマン・コピーである。大プリニウス(『博物誌』34巻80章)はポリュクレイトスのヘルマフロディトス・ノビリスについて言及したが、その描写がないためこの眠るヘルマフロディトスとの比較は不可能である。この主題は、ヘレニズム時代末にとても高く評価された、衰弱した裸体、意表を付く効果、劇的効果への嗜好を反映している。この作品は、2段階で鑑賞するようにできている。それは第一に、人物の女性らしさを助長する容貌の優美さと官能性に重きを成し、その姿勢のうねりにより賛美された体は、ヘレニズム時代の女性裸体の伝統に位置づけられる。その次に、彫像の裏側は、最も生々しい写実主義を用い、その両性的な要素を明らかにしながら人々の意表を付く。この対照と驚きの効果または、鑑賞者の感情をもてあそぶこの奇抜さへの嗜好は、ヘレニズム美術の演出の賜物である。この2つの性の空想的な組み合わせは、愛に対する哲学的、観念的な考えを描いた、半分遊戯的で半分官能的な生き物のように解釈されることもある。

出典

- Bernini Scultore. La Nascita del Barocco in Casa Borghese, 1998, p. 124-133, n 9.

- VISONA M., "Stefano Speranza : uno scultore fra Albani e Bernini", in Paragone, 46, 1995, p. 85-93.

- KALVERAM K., Die Antikensammlung des Kardinals Scipione Borghese, 1995, p. 231-233, n 134.

- ROANI-VILLANI R., "Precisazioni sull' Ermafrodito del Louvre e su alcune scultore appartenute al cardinal Del Monte", in Paragone, 44, 1993, p. 37-51.

- HASKELL F. & PENNY N., Pour l'Amour de l'art antique : la statuaire gréco-romaine et le goût européen 1500-1900, Paris, 1988, p. 253-255, n 118, fig. (ed. anglaise, Taste and the antique : the lure of classical sculpture 1500-1900, New Haven, 1981).

- DELCOURT M., Hermaphrodites : Recherches sur l'être double promoteur de la fertilité dans le monde classique, Bruxelles, 1966, p. 34.


作品データ

  • 眠るヘルマフロディトス

    ローマ皇帝時代の作品(紀元2世紀)

    1608年ローマのディオクレティアヌスの浴場付近にて発見

  • 大理石、丸彫

    高さ1.69m、奥行き0.89m

  • 旧ボルゲーゼ・コレクション、1807年購入

    Ma 231

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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