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聖体皿

© 1997 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

工芸品
初期中世

執筆:
Barbier Muriel

この聖体皿はビザンティンの作品で、コンスタンティノポリスで制作された。金地にエマイユ・クロワゾネ〔有線七宝〕 で「最後の晩餐」を描いたメダイヨンと、エマイユ・ド・プリック〔有線七宝の一種で線の細いもの〕の小さな装飾板で飾られている。この聖体皿は、9世紀末から10世紀初めにコンスタンティノポリスで活躍した宮廷付き工房の代表作品である。おそらく13世紀に 、十字軍がコンスタンティノポリスの宮殿か教会から略奪したものであろう。

紅縞瑪瑙の聖体皿

収集家アドルフ・ストックレは、スペインの修道会擁護で知られるマドリードのピダル家からこの聖体皿を入手した。そもそも、マドリードのあるドミニコ会修道院が所蔵していたものであろう。本作品は、紅縞瑪瑙の小さな凹面の杯を、鍍金した銀製の繊細な金具にはめたものである。また小型なところを見ると、個人の礼拝堂で使用されていたものと思われる。数珠状の飾りと、宝石のカボション〔半球形に研磨したもの〕6つとエマイユ・ド・プリックの装飾板3つをあしらった縁飾りで縁取られている。この杯は色といい形といい、おそらく古代末期の作品である。ビザンティンの金銀細工師は古代に彫られた石を再利用することが多かったが、この行為には古代美術への崇拝が現れている。こうした崇拝は西欧の職人たちにも共通しており、古代の作品を用いた蛇紋石の聖体皿(作品番号MR415)はその証である。

エマイユをほどこした中央のメダイヨン

聖体皿の中央にあるメダイヨンは、極めて緻密に描かれた「最後の晩餐」で飾られる。使徒たちが半月形の食卓につき、キリストはその一番端にいる。群青色の食卓には杯が4つあり、その1つには魚が載っている。ユダが魚に手を伸ばしているが、これはキリストの受難を想起させる瞬間である。ここでキリストは、一番に皿へ手を出した裏切り者を告発する。(マタイによる福音書26章21節、ルカによる福音書22章21節)。この図像はビザンティンでよく用いられていた。古代から使われており、イコノクラスム〔偶像破壊運動〕末期の9世紀に再び現れる。このメダイヨンは、全体にエマイユをほどこす技法で制作されたものとして並外れている。力強く、最小限の線のみに抑えられた仕切り、丸い目、鮮やかな色彩、不透明エナメルと半透明エナメルの使用といったことから、このメダイヨンは、イコノクラスム以後のビザンティンでは最古のエマイユ作品群のうちに数えられる。ヴェネツィアのサン・マルコ寺院宝物室が所蔵する別のアラバスター製の聖体皿も、中央にメダイヨンがある。また「最後の晩餐のメダイヨン」は、やはりサン・マルコ寺院宝物室所蔵の皇帝レオーン6世(在位886-912年)の奉納用王冠を飾るメダイヨンにかなり近い。

エマイユ・ド・プリック

鍍金した銀の縁の部分には、エマイユ・ド・プリックの装飾板が取り付けられている。この技法は、中央メダイヨンに用いられたものとは大きく異なり、1300年ごろにパリで発達した。ということは、この小型装飾板については制作環境も時代もかなり異なる。緑の半透明の地に不透明の小さな円、ハート形、三葉形で仕切りが入っているが、これはゴシック期のパリで金銀細工に用いられた、特徴的なエマイユ・ド・プリック装飾である。同時代かそれ以前に、カボションが金銀細工作品によく使われたように、エマイユ・ド・プリックはヨーロッパ全体で広く用いられていた。3つのエマイユ・ド・プリックは、ビザンティンのエマイユ細工と置き換えられたに違いない。つまり、聖体皿はすでにそのころ、十字軍の手でコンスタンティノポリスの宮殿か教会から略奪され、西ヨーロッパにもたらされていたということになる。

出典

- DURAND, J., Patène,  L’objet d’art de la saison, n°7, janvier-mars 1999.

- DURAND, J., La Revue du Louvre, n°4, 1998, p 17-20.

作品データ

  • 聖体皿

    9世紀末または10世紀初

    コンスタンティノポリス

    ビザンティン帝国、コンスタンティノポリス

  • 紅縞瑪瑙、銀に金鍍金、銅、金地にエマイユ・クロワゾネ〔有線七宝〕

    直径12.6cm

  • 1998年ミシェル・ダヴィッド=ヴェイル氏の分担金と、ドル=レール、ヴィクトル・パヴィー、リュザルシュ・ダゼ、カルル・ドレフュスおよびエリソン各氏の遺産をもって収蔵

    《ストックレの聖体皿》

    OA 11878

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    シャルルマーニュ
    展示室1

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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