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聖母子像

© 2004 Musée du Louvre / Pierre Philibert

彫刻
中世のフランス

執筆:
Gaborit Jean-René

聖母は冠を頂いて座し、右膝には閉じた書物を置き、左手では立っている幼子を支える。様式から見て、本作品はロレーヌ地方で14世紀初めの約30年間に制作された彫刻群に含まれる。この作品群は、13世紀後半のフランス彫刻を手本にそれをふくよかな形で表現したもので、ときにはいくらか重苦しい印象を与える。幅広でやや平面的な顔と、指が短い手、そしてゆったりとした衣襞を特徴としている。

ティエボー・シッソンの聖母

ルーヴル美術館の聖母座像は、以前のコレクションの名をとって《ティエボー・シッソンの聖母》として知られている。本作品の表現は簡素だが、象徴性に富む。閉じた書物は聖母の敬虔さを示すとともに、キリストの到来で旧約聖書の予言が成就したことも想起させる。天球は、それを手にする幼子が世の王であることを象徴する。鳥は福音書外典の一節(イエスが粘土で鳥を作ると、奇跡によって鳥に生命が吹き込まれる)を典拠としているか、あるいは救世主によって救われる信者の魂を表しているのだろう。

来歴

ロレーヌ地方で14世紀初めの約30年間に制作された、様式的に見てはっきりとしたまとまりをなす彫刻群は、フランス(とくにシャンパーニュ地方の)彫刻の色濃い影響と、ライン川流域の美術との複雑な関係を物語っている。モーゼル川流域の街道が交流を促したため、この作品群とアーヘンやマインツ、さらにケルンの彫刻作品との間には、様式的にも図像学的にも類似が認められる。この聖母像に関していえば、アーヘン大聖堂の大理石小像と図像学的にかなり近く、どちらにも襞で覆われた腰掛、閉じた書物、そして幼子の持物(鳥と天球)が見られる。

像の美しさ

腰掛けた聖母と、聖母の左膝あるいは脇の椅子に立つ幼子という組み合わせは、13世紀末と14世紀初めのフランス彫刻にも例がないわけではない。しかしこの組み合わせは、ケルンの工房でどこよりも幅広く、おそらくどこよりも長期間にわたって発展した。ケルンで制作された像の大半は、木彫に鮮やかなポリクロミー〔多色彩色〕をほどこしてあり、金鍍金が大きな効果をあげている。本作品は石像であり、ポリクロミーの痕跡(いくらかの金鍍金の痕跡も含め)がはっきり残っているにしても、木彫やごく小型の大理石像が備える「持ち運びしやすい」という特徴はなく、個人の礼拝用の像だったとは考えられない。聖母のヴェールやマント、それに腰掛の襞など、裏面の念入りな仕上げ(そのうえ腰掛側面には優雅なアーチ列がある)から、この像は壁龕に置かれるものではないことがわかる。おそらく教会で、あるいはむしろ礼拝堂で祭壇の上に置かれたのだろう。
美しさの点からいうと、《ティエボー・シッソンの聖母》の評価は真っ二つに分かれる。ずんぐりした体つき、繊細さを欠く表情、優美でない手と幼子の醜さが批判されてきた。しかし、全体的に調和のとれた構成、精妙な衣襞、まれに見る見事な裏面と念入りに表現された細部は、強調しておかなければならない。この作品には、やや鈍重にも見えるある種の優雅さがあり、素朴と洗練が入り混じって像にえもいわれぬ魅力を与えている。

作品データ

  • ロレーヌ地方、14世紀初めの約30年間

    聖母子像

    14世紀初めの約30年間

    由来不明;ティエボー・シッソン・コレクション旧在、1907年売却

    ロレーヌ地方

  • 石灰岩、ポリクロミー〔多色彩色〕と金鍍金がかなり残る

    高さ44cm、幅34cm、奥行き20cm

  • ティエボー・シッソン・コレクション、アンジェル・グロ・コレクション旧在、1995年ルーヴル美術館友の会より寄贈

    《ティエボー・シッソンの聖母》

    R.F. 4511

  • 彫刻

    リシュリュー翼
    1階
    ブランシュランドの聖母
    展示室6

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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