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作品 背もたれが付いた男性の胸甲面(胸まで覆うミイラマスク)

古代エジプト美術部門 : ローマ支配時代のエジプト(前30年-紀元392年)

背もたれが付いた男性の胸甲面(胸まで覆うミイラマスク)

© 2005 Musée du Louvre / Christian Larrieu

古代エジプト美術
ローマ支配時代のエジプト(前30年-紀元392年)

執筆:
Aubert Marie-France

この胸甲面は、灰色の髪、口ひげ、顎ひげを蓄えた男性の肖像を表している。白い衣装をまとい、裾に房がついているコートが右側に垂れ下がっており、左手の小指に指輪をはめている。頭の上にはギンバイカの葉で作られたと思われる冠を戴いている。頭部は、胸甲に固定された木の芯の表面にストゥッコ(漆喰)で形付けられている。ミイラの頭を挿入する背もたれの部分には、オシリス神姿の死者が、イシス女神、ネフティス女神、ホルス神の4人の息子達に付き添われている様子が描かれている。

色の保存状態がいたって良好な胸甲面

卵形の顔は小さく、皮膚は明るいバラ色で塗られ、目は塑造で彩色されている。睫毛が瞼の周囲に線で描かれ、髪の毛、口ひげ、顎ひげは立体感が無く、ブルーがかった灰色に塗られている。顎ひげと額にかかった髪の房は、黄色い筆跡で表されている。頭には、中央にあるカボション(半球状に整えられた宝石あるいはガラス)の両側にギンバイカの葉を配した冠を戴き、葉は金を象徴する黄色に塗られている。男性は、台形の襟ぐりが付いた白い貫頭衣を着用し、布のひだは塑造にされている。肩に、房がついたコートをかけ、幅の広い厚めのひだが胸部に入っているのが見える。バラ色の布でできたクッションの上にのせられた頭はわずかに持ち上げられ、布の上に完璧に描かれた幾何学模様が見える。

背もたれの装飾

背もたれに描かれた図像が黄色いバックから際立っている。後ろに、死者がオシリス神の姿で表され、顔面は茶色の巻き毛で縁取られている。死者の両側に付き添うイシス女神とネフティス女神は、胸が露出するバラ色の長衣をまとっている。背もたれの右側と左側には、ホルス神の4人の息子たちが描かれている。これは、ストゥッコ製の仮面の中で、灰色の髪、口ひげ、顎ひげを特徴とした人物が描かれた唯一の例と思われる。髪の毛の色に反して、顔は若く、肌の色は極めて明るく描かれている。灰色の髪は、木板肖像画では稀にしか見られず、通常、しわのある年取った顔と組み合わせて描かれるものである。

技術

アーチ形をした胸甲は、大きさが異なる3枚の木板から構成され、楔で組み立てられている。一方、背もたれは、8枚の木の小板からなり、そのうち2枚は消失してしまっている。背もたれと胸甲の各角には、ミイラに固定するために紐を通す穴が開けられており、胸甲の下と背もたれの内側には白い上塗りが施されている。頭部は、木心の表面に塑造され、胸甲に固定されている。貫頭衣の襟ぐりやひだなどに見られる詳細な描写には浮彫りが施されている。そのために比較的厚い層のストゥッコが塗られている。手と手首は、まず木に粗く彫りあげてからストゥッコと彩色を施している。背もたれが付いたこの胸甲面は、きわめて丹念に仕上がっているため、このタイプの胸甲面の中で「最高級品」に属していたに違いない。

出典

- AUBERT M.-F., CORTOPASSI R., Portraits de l'Egypte romaine, catalogue de l'expositioN, Paris, musée du Louvre, 5 octobre 1998-4 janvier 1999, Paris, 1998, n 43.

- COLINART S., GARCIA-DAROWSKA M., PORTAL A., "Masques funéraires égyptiens de l'époque romaine", in Le plâtre : l'art et la matière, Paris, 2001, note 22 p. 61, notes 23, 29, 33 p. 62, notes 50, 51 p. 64, note 61 p. 65.

- GRIMM G., Die Römischen Mumienmasken aus Ägypten, Wiesbaden, 1974, note 185 p. 121, p. 189.

- WALKER S., BIERBRIER M., Ancient Faces. Mummy portraits from Roman Egypt, catalogue de l'exposition, Londres, British Museum, 1997, n 165.

作品データ

  • 背もたれが付いた男性の胸甲面(胸まで覆うミイラマスク)

    後3世紀

    トゥナ・エル・ジェベル出土、フランス・オリエント考古学研究所の発掘

  • 頭部:木心にストゥッコ、彩色胸甲、背もたれ:イチジクの木、ストゥッコ、彩色

    高さ51cm、幅29cm、長さ70cm

  • 1905年、フランス・オリエント考古学研究所派遣団による発掘に対する分配分

    E 12170

  • 古代エジプト美術

    ドゥノン翼
    地上階
    ローマ支配時代のエジプト 葬礼美術
    展示室A

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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