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腕輪

© 2006 Musée du Louvre / Claire Tabbagh

イスラム美術
近代イスラム帝国

執筆:
Collinet Annabelle

この寸法から判断すると、この腕輪は、上腕の中程か、足首につけたものと考えられるが、この種の宝飾品は、非常に稀にしか残存例がないため、これは、珍しい工芸品である。おそらくインドの神話の動物図像集にあるものと考えられるが、背中合わせになった動物のふたつの頭が、それぞれ、自分の体にかみついているという特徴的なもので、それに加えて、体節のある腕輪全体に動物の場面が装飾されている。怪物の首には、四度繰り返して、「アッラー(神)」と、花飾りの付いたクーファ体で表記されている。

様々な動物図像集

腕輪の上方、掛け金の上にある怪物の頭は、おそらくマカラの頭である。この水性動物は、インドの神話にでてくる、鰐と爬虫類と象と魚の一部分が混じり合ってできた動物である。マカラは、ガンジス川の擬人化である女神ガンガと地上の水の神、ヴァルナの乗り物である。向い合うふたつのマラカの頭で留金ができている腕輪は、インドでは、よく知られている。しかし、普通は、この怪物の口は、口づけするように合わされていて、この作品のように、自分の首を咬むために後ろを向いていない。
腕輪は、蝶番でふたつに分かれて、開閉ができる。腕輪の打出しの装飾は、小花のある縁取りで、捩り模様になっている。この図柄の構成は、イスラム世界の他の腕輪の装飾を想起させる(ルーヴル美術館所蔵、音楽家達の腕輪)。打出し装飾の中に、三頭の猫科の動物(その内の一頭は、横向きで、右に向っているが、頭は正面を向いている)と、野兎の頭をした二羽の鳥が木の枝をはさんで、二羽共に正面を向いているのと、もう一羽の野兎がみえる。野兎の頭をした鳥は、ルーヴル美術館所蔵の小さな盆にも表わされているが、これはハルピュイアである(頭が女性の鳥として、より頻繁に表わされている)。ハルピュイアは双子座の図像のひとつでもある。蝶番をはさんで、もう一方には、半分野兎で、半分山羊である二匹の動物が 追いかけ合っているところ、一匹の羚羊が、猫科の動物に追われているところ、二頭の獅子が向い合っているところ、一羽の野兎が左へ逃げているところが表わされている。

不確かな制作地

この宝飾の正確な制作地は未詳である。マカラの頭は、目がアーモンド形で、耳は、棕櫚葉文様を思わせる。特に、先端が渦巻状の鶏冠が、デカン高原の、制作年代が15世紀から16世紀までの金工品の特徴を想起させる。腕輪の表面を装飾する動物自体は、16世紀と推定できるグジャラの写本の絵画を想起させる。しかし、この腕輪の、後向きに曲げた頭があって、円形ではない腕輪の形状が謎である。インドの写本の絵画に、こういう形状の腕輪は見当たらないようだ。デリー=スルタン朝時代(1206–1555年)にも、ムガール帝国の時代(1526–1858年)にも、いろいろな腕輪が表わされているが、これとは全く違う。この腕輪は、おそらく、イスラム化して、インドの文化と神話に強い影響を受けている他の地域で、たとえば、インドネシアなどで制作されたものであろう。

出典

DAVID-WEILL J., "Orfèvrerie musulmane", in Cahiers de Byrsa, VI, 1956, pp.153-158.

作品データ

  • 腕輪

    15世紀もしくは16世紀

    インド

  • 金、打出、線彫、格子模様

    縦:12cm、横12.3cm

  • 1952年取得

    MAO 124

  • イスラム美術

    リシュリュー翼
    地上階
    ティムール朝 1370‐1506年 サファヴィー朝 1501‐1736年 カジャール朝 1779‐1924年 ムガル朝 1526‐1858年
    展示室11

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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