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自画像

© 2010 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

工芸品
ルネサンス

執筆:
Dorota Giovannoni

この、銅の上にほうろうで絵付けをしたメダイヨンは、フランス人画家で細密画家のジャン・フーケの自画像である。このメダイヨンは昔、ムランのノートルダム参事会教会の二連祭壇画の枠を飾っていたもので、シャルル7世の元老院の一員でありフランスの宝物庫管理官であったエティエンヌ・シュヴァリエのために1452-1455年頃に描かれたものである。祭壇画自体は現在ベルリンの美術館(《聖ステファノに紹介されるエティエンヌ・シュヴァリエ》)と、アントワープの美術館(《天使に囲まれる聖母子》)に分かれて保存されている。

豪華な額縁

古い記述によると、刺繍が施され、玉飾りに引き立てられた、メダイヨンとアモルの細紐に飾られた、青いベロアの幅広の縁取りが、ムランの祭壇画を豪華に飾っていたらしい。そして同じ縁飾りにはもう1つ、同じ大きさのほうろう加工のメダイヨンが施されていたようで、それは1945年にベルリンで破壊され、現在では古い写真でのみ知られている。
額縁に小さなメダイヨンをはめ込むアイディアは、おそらく、13世紀末のトスカーナの、大きなマエスタ《玉座の聖母子》のような作品例から着想を得たのであろう。フーケは1445-1448年頃、トスカーナに滞在した際に、木版に色付けされたメダイヨンが飾る、《ルチェッライの聖母》のすばらしい額縁を見ることができたはずである。この作品は1285年に、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会のために、ドゥッチオに注文されたものである。

イリュージョンを用いたほうろう加工

フーケは、およそ3mmの厚さの、厚く、光沢のある、濃い青色のエナメルを用いて、銅版の上に自画像を描いた。顔と彼の署名の文字には、黄色と赤の2つの異なる色調の金の絵の具を、長い刻み目をつけながら、直接エナメルの上に筆でのせ、こうして金の単色画法の微妙な効果を得ている。そして、フーケは顔の浮彫を形づくるのに、細い針を使って部分的にエナメルの層を取り除くことで、眉、まぶた、瞳孔、鼻、口、耳の内側、そして襟の内側や服の切り込みまでも表現している。この2つの技法はルネサンスの七宝芸術の前兆というべきものである。

初めての署名入り自画像

ルーヴルのメダイヨンは二連祭壇画の一部であるが、これは単独の画家の、情景に組み込まれてもいない、署名入りの最も古い自画像なのである。フーケはおそらく、彫刻家ロレンツォ・ギベルティのようなイタリアの芸術家に影響を受けていた。彼は、フィレンツェの洗礼堂のブロンズ門扉の縁を飾る、ギベルティの彫刻自画像を見ることができたはずである。しかし当時のイタリア人の芸術家に比べ、フーケは、署名によって自分の作品の親権を主張することで、芸術家としての地位の意識を持った、という点で革新的だったのである。

作品データ

  • ジャン・フーケ(トゥール1415-1420年頃-トゥール、1478年と1481年の間)

    自画像

    1452-1455年

    ムラン、ノートルダム教会

  • 銅のメダイヨン、濃青色エナメル、金の単色画法

    縁を含む直径75cm、ほうろうを引いた表面69cm

  • 1860年、イッポリート・ド・ジャンゼ子爵(1790-1865年)の寄贈

    OA 56

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    聖アナトワール
    展示室8

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

記入:「Joh(ann) es Fouquet」