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作品 葬祭屍衣の断片、通称《アンモニオスの肖像画》

古代エジプト美術部門 : ローマ支配時代のエジプト(前30年-紀元392年)

葬祭屍衣の断片、通称《アンモニオスの肖像画》

© 1998 Musée du Louvre / Georges Poncet

古代エジプト美術
ローマ支配時代のエジプト(前30年-紀元392年)

執筆:
Cortopassi Roberta

この屍衣の断片の上には、肖像が明るいバックに描かれている。頭部の横にアンク記号としゃがんでいる神が配置され、青年の個性的な特徴は、この肖像画を印象的にしている。顔はきわめて長く、顎は突き出ており、右手にワイン酒杯を持ち、指輪2個に飾られた左手にはバラの花弁でできた花輪を握っている。この花輪は、死者が「正しい者」という判決を下されて来世に行けることを示している。

肖像画

きわめて長い卵形をした顔の日に焼けた肌は暖色で塗られ、きわめて短く切られた黒い縮毛は額に角をくっきり描いている。大きな耳は突き出ており、わし鼻と分厚い唇は、白色のハイライトで強調されている。着用している赤紫のクラヴィ(胸部を飾る縦長の帯)が入った白い長袖の貫頭衣のネックラインの左隅に赤紫の線が二本見え、一方右隅からは、白い花綱装飾らしきものが出ている。右手に不自然に持たれたワインが注がれた金杯は、カンタロスの形を成し、金銀細工の見事な作品である。外側の縁の周りには、丸い装飾が施されて縁を強調しており、胴と取っ手は円形や長方形の暗色の石で飾られている。右手は大きい金の指輪2個で飾られ、一個は小指に、もう一個は人差し指の第1指節につけれ、バラの花弁と緑色の葉からなる花輪を握っている。首の左側に、生命の象徴であるアンク記号が黄色で描かれ、右側には小さい神の側面像が見える。

ミイラの屍衣の上

これはミイラを包む葬祭用屍衣の断片である。新しい生命に向けた旅路が描かれている挿絵が、ナオス・棺に立っている死者の両側を装飾していたにちがいない。明るいバックから際立つ胸像は、暗色の線で強調されている。この線は肩に沿って描かれ、アンティノポリスを起源とする木製「ミイラ肖像」の特徴である「肩沿い」の切り取り方を想起させる。
右側にいる小さい神の身元の決定には問題がある。著述家たちは次々に、プタハ神・ソカル神・オシリス神・アピス神が習合された図像で表されたプタハ神か、あるいはただ単にオシリス神であると主張した。いずれにしろ、笏を持って台座にしゃがみこんだ神の側面像は、概してオシリス神と同一視され、プトレマイオス王朝時代のカルトナージュの仮面によく見かけられるものである。酒杯を握っている手の不自然なポーズは、近年の修復によるものである。

衣装の詳細部

クラヴュス(胸部を飾る縦長の帯)の横に見える赤紫の二本の線は興味深い詳細表現である。というのもこの肖像画が絵師によって忠実に描かれたことを示しているからだ。確かに、エジプトのネクロポリスから掘り出された多くの貫頭衣には、破れやすくもろい部分であるネックラインの角を補強するために赤色、青色、赤紫色の毛糸でボタンホール・ステッチが施されている。
ネックラインの右角から出ている白い花綱装飾らしきものは、花を表したもので、おそらく百合の花、あるいは下着の房と思われる。とはいえ、ローマ支配時代のネックラインに房が付いた衣装は今までに一度も掘り出されてない。あっても、それは常に貫頭衣の下部もしくは両側に付けられている。ルーヴル美術館入りして以来この肖像画の人物は「アンモニオス」と呼ばれるようになった。この屍衣の消失した部分にこの名が記されていた可能性もある。

出典

- AUBERT M.-F., CORTOPASSI R., Portraits de l'Egypte romaine, Louvre/Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1998.

- DOXIADIS E., Portraits du Fayoum. Visages de l’Egypte ancienne, Paris, 1995, n° 89 p. 117 et 214.

- DUNAND F., LICHTENBERG R., Les momies, un voyage dans l’éternité, Découvertes Gallimard, n° 118, Paris, 1991, p. 66.

- ZANNI A., La tunica dell’Egitto cristiano. Restauro e iconografia dei tessuti copti del Museo Poldi Pezzoli, catalogue de l’exposition, Milan, Museo Poldi Pezzoli, 28 mai-5 octobre, 1997, p. 54, fig. 40.

- Un siècle de fouilles françaises en Egypte 1880-1980, catalogue de l’exposition, Paris, musée d’Art et d’Essai-Palais de Tokyo, 21 mai-15 octobre 1981, n° 340.

Catalogue de l’exposition Aurea Roma. Dalla città pagana alla città cristiana, Rome, Palazzo delle Esposizioni, 22 décembre 2000-20 avril 2001, n° 363 ;

作品データ

  • 葬祭屍衣の断片、通称《アンモニオスの肖像画》

    後3世紀

    アンティノポリス出土、1904年-1905年、A.ガイエの発掘

  • 亜麻布に蝋画

    高さ60cm、幅39cm

  • 1905年、発掘から寄贈

    E 12581 (P 215)

  • 古代エジプト美術

来館情報

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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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