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作品 見習い書記の書写板

古代エジプト美術部門 : ファラオ王朝時代末期及びプトレマイオス朝時代(前1069-前30年)

見習い書記の書写板

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
ファラオ王朝時代末期及びプトレマイオス朝時代(前1069-前30年)

執筆:
Dominique Benazeth, Marc Étienne

この長方形の木製書写板は、書記を目指す見習いが使用していたものである。文章自体は、ヒエラティク(神官文字) で黒く書かれ、句読点と日付は赤で書かれている。書かれている内容は『職業風刺』の抜粋で、他の職業がいかに辛く危険で疲れるものであるかを説き、すばらしい職である書記になるよう見習いに勧めている。この風刺は、エジプト人学生にとって有名な古典作品の一つである。

きわめて美しい字

今日では断片しか残っていないこの書写板は、長方形の小さい木製の板に漆喰を塗り、布で覆って、その上にさらに防水効果のある滑らかな化粧漆喰を施して作ったものである。最後に塗る化粧漆喰のおかげで、書写板を何度も使用することができた。文章が始まる右角に穴が開けられ、吊り下げるために紐が通されていた。文章は、右から左に黒いヒエラティク草書体で両面に書かれ、挿入された句読点と日付は赤で書かれている。書記学校では練習の日付が頻繁に記入されたが、この点においては、この書記の卵たちと今日の生徒に全く違いはない。日付は、18回にわたって書の練習が行われたことを示し、ここでは、1回につき2行が書き写されていたことになる。実際、ヒエラティック(神官文字)は、文学作品のテキストの書き取りや写しによって習得されるものであった。美しい文字で正確に書かれているため、きわめて優秀な見習いが書いたものか、見習いの手本として写本者が書いたものなのか判断しがたい。

職業風刺

『職業風刺』という現代の題名で知られる、『ケティの教訓』(ケティはドゥアウフの息子)から抜粋された一節では、まず誕生の女神であるメスケネトに言及している。この女神は、子供を文科系の職につくように運命づけると言われていた。『ナイル川賛歌』の短い抜粋の後に、多種多様な職業の欠点を挙げた一連の解説が続いている。「工房でござを作る労働者は、女よりも悲惨だ。膝を胸に当てて息をするのも苦しい。一日でも編むのを休むと50回も皮ひもで打たれ、門番を買収してやっと表へ出て日の光を浴びることができる・・・隊商の引率者は、ライオンやアジア人を恐れ、子供達に財産を遺贈してから外国へ出かける・・・。長旅に疲れ果て、ぐったりして家に帰ると、家はレンガと布に変わり果ててくつろぐこともできない・・・。」と落胆させることを列挙してから、議論の余地がない書記の優越性を示す職業賞賛で締めくくっている。「・・・どうしてかというと書記が命令するからだよ。字が書けるようになったら、今話をした(どんな)他の職より君にとって有益なんだから。よく考えてごらん!」(ピアンコフ訳)

傑作集のテキストの一つ

複写に用いられたテキストは、中王国時代に創作されたものであるが、支持材の準備処理の仕方や古書体からみて、この書写板は第18王朝時代のものと特定されている。今までに発見されたこのテキストの中で最古のものであるだけに、欠落箇所があるのはきわめて遺憾である。しかしこれらの事実から、新王国時代には『職業風刺』がエジプト文学の傑作の一つに数えられ、教育のカリキュラムにも取り入れられていたことが分る。また他の作例から、その後も教材として用いられていたことが分かっている。『職業風刺』は、書の練習(この作品の書は卓越している)に使われただけでなく、テキストの解釈の教材であり、文体様式(古典語)の手本でもあり、学生が暗記すべき道徳的な教訓でもあった。

出典

Collectif, Les artistes de Pharaon, Deir El-Medineh et la vallée des rois, 2002, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, pp. 224-225, Notice no 177
Collectif, Les antiquités égyptiennes, guide du visiteur, 1997, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, p. 36
Béatrice André-Leickman, La Naissance de l'écriture. Catalogue de l'exposition du Grand Palais, 1982, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, p. 349, Notice no 299
Posener, Revue d'égyptologie, 1966, t. XVIII, pp. 55-56
Piankoff, Revue d'égyptologie, 1933, t. I, pp. 51-74, Pl. VI
H. Brunner, Die Lehre des Cheti, sohnes des duauf, Ägyptologische Forschungen, 1944, Glückstadt, no 13, pp. 15-16, 142-184, 204-208

作品データ

  • 見習い書記の書写板

    新王国時代、第18王朝、前1550-1295年

  • 木、固めた布に化粧漆喰、インク

    縦20.50cm、横52cm、厚み1cm

  • 1949年に購入

    『職業風刺』からの抜粋

    N 693

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    写本と写字生
    展示室6

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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