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作品 馬の指輪

古代エジプト美術部門 : 新王国時代(前1550-前1069年頃)

馬の指輪

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
新王国時代(前1550-前1069年頃)

執筆:
Sylvie Guichard

この高価な宝飾品は、一般的に「馬の指輪」と呼ばれている。この名は、指輪の伏せこみの上に生きているような印象を与える2頭の小さい馬が載っていることから由来する。独特な図像と絶妙な技巧を特徴とする新王国時代のエジプト金銀細工の傑作である。指輪の直径や馬のモチーフから、男性用の指輪であったのではないかと推測されている。

小さいものの名高い作品

両側に開花した大きなスイレンの花で飾られた三連からなる指輪には、丸彫で彫られた極めて小さな馬の装飾が二体付いている。馬は、様々な色の石が嵌め込まれた花びらの上を軽快に跳ね回っている。指輪に銘が入っていないため、誰のものだったかは特定出来ないが、年代は、その独特な装飾と特に象嵌細工の豊かさから、一般的にはラメセス王朝の時代、ラメセス2世治世下のものと特定されている。興味深いことに、今日ではかの有名なカデシュの戦いでファラオを救ったと伝えられている馬の引き具を表したものと考えられている。ペンタウールと称する書記が書き写したことから『ペンタウールの詩』と言う名が付けられた有名な文書の一節は、ラメセス2世が、自分の馬に特別な愛着を持っていたと伝えている。『ペンタウールの詩』は、ラメセス2世治世下5年目の夏に入った第3月、9日目に、ラメセス2世とヒッタイト軍の間で行われたオロンテス川沿岸の戦いを小説風に描いた物語である。ラメセス2世の統治を語るこの輝かしい挿話には九つのバージョンが存在し、大神殿の周壁などに刻まれているが、その中でとりわけアブ・シンベルの神殿の壁画が有名である。その他に、二つのパピルスにも記されている。王はこの勇敢な馬によって救われ、カデシュの戦いの勝利はこの馬のおかげであったと伝えている。また、各馬が、「テーベの勝利」、「ムウト女神を満足させるもの」という名で呼ばれていたことも記されている。

エジプトのパシャからフランス王への贈物

この馬の指輪は1850年代に考古学者オーギュスト・マリエットによって行なわれたサッカラのセラペウム発掘から出土したと幾度か出版物に記されたが、実は、エジプトのフランス領事ベルナルディノ・ドロヴェッティを介して、エジプトのパシャ、ムハンマド・アリーから、シャルル10世に贈呈されたものと分った。ムハンマド・アリーから贈呈された42点の高価な宝飾品のリストが古文書の中から発見され、この指輪もそれに記載されていたことから、1827年から既に知られていたことが明らかになった。

消失し、再び戻ってきた作品

1830年の7月革命で、ルーヴル美術館の展示室に大衆が攻め込み、反乱者が陳列ケースを荒らし、その中に入っていた多くの作品を盗んでいった。この馬の指輪もその際に盗まれ、シャンポリオンは盗難にあった全ての作品の目録を作成させて、パリ中の骨董商に配って公表した。その後まもなく、ある時計屋が、彼の見習いが盗んだ事を後悔しているといいわけを述べながら戻しに来た。こうして馬の指輪は当美術館に返還された。

出典

- ANDREU G., RUTSCHOWSCAYA M.-H., ZIEGLER C., L’Egypte ancienne au Louvre, Hachette, Paris, 1997, p. 145 et 254.

- BARBOTIN Ch., Le Monde de la Bible, 1992, n° 78, p. 21/2.

作品データ

  • 馬の指輪

    新王国時代、第19王朝、ラメセス2世治世下、前1279-前1213年

  • 金、カーネリアン、クロワゾネに嵌め込み

    直径2.20cm、幅2.13cm、馬の高さ7.7mm

  • 1827年にエジプトのパシャ、ムハンマド・アリーによる寄贈

    N 728

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    2階
    新王国時代:ラメセスの時代 紀元前1295‐紀元前1069年頃 ファラオ王朝
    展示室27

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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