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作品 魚の首飾り

古代エジプト美術部門 : 宗教と葬祭信仰

魚の首飾り

© Musée du Louvre/C. Décamps

古代エジプト美術
宗教と葬祭信仰

執筆:
P. Rigault

この金の首飾りに付いている二連の鎖は、小さい環を折り曲げたものを一つずつかみ合わせて作られており、長方形の留め金で繋がっている。その留め金から、三本の短い鎖が吊るされ、先端に優雅な睡蓮の花が一つと、小さな魚が二尾付いている。この見事な宝飾品は、古代から伝わる金銀細工の精巧な技術を受け継いだエジプトの芸術家たちの優れた技巧をよく表している。

聖なる素材、金

貴重な金は、エジプトの南部および東南部の砂漠で豊富に採掘されていた。純金であることは稀で、銀を含んでいたため薄黄色の色調を帯びていた。先王朝時代から高価な装身具などに使われ、エジプト人にとりわけ好まれた素材である。首飾り、耳飾り、指輪、腕輪などが数多く作られ、男女を問わずよく身につけられた。またファラオが、功績をあげた役人の褒美として与える「金の褒賞」(大方は首飾りであった)にも金が使われていた。金は変質しない素材で、その輝きは太陽を連想させたため、エジプト思想では神の肉体と同一視されていた。したがって、金は永遠の生命を約束するものであり、葬祭具においては特に重宝されていた。上質なミイラではマスク、指抜き、サンダル、護符などは金で作られ、それを身に付ければ冥界にたどり着くことができると信じられていた。

精巧な技術

エジプト人は金に多種多様な技術を駆使した。例えば、鋳造、金薄板の打ち延ばし、鋳型による鋳造、型打ち鍛造、鋲打ち、溶接などの技術が挙げられる。一方、装飾においては、彫金、版画、打ち出し、型押し、鍍金、線細工、細粒細工などの技術が使われていた。
この素晴らしい首飾りは小さな環を折り曲げて一つずつかみ合わせて作った、二連のチェーン(V字模様の編み込みチェーン)で構成されている。鎖は、長方形の留め金に備えられた四本の小筒内で溶接され、留め金から垂れ下がっている三本の短い鎖には小さい魚が二尾と睡蓮の花が一つ付けられている。睡蓮の花には、かつてクロワゾネの装飾が施されていたが、今日では嵌め込まれていたものは消失している。魚は、二枚の薄い金板を溶接して作られ、打ち出しで装飾されている。

魚、睡蓮、再生

エジプト芸術において睡蓮は、きわめて頻繁に見られる装飾のモチーフである。このモチーフは、絵画や浮彫のほか、多種多様な品物に見うけられるが、この作例のように、宝飾品にはとりわけ頻繁に用いられている。水面に顔を出し、日の出とともに開花するこの植物は、太陽の復活の象徴と直接関連付けられている。『死者の書』のある章では、死者は睡蓮に姿を変えると書かれている。
一方、魚のモチーフは、睡蓮ほど頻繁に用いられていないものの、一般的に見かけるモチーフである。エジプト・ファイアンス製の器の飾りとして、またパレットなど様々な品にその形が使われているほか、宝飾品の装飾としてもよく登場している。ビーズとしてベルトに付けられたり、幼児のおさげ髪に結ぶ飾りや、首飾りに組み込まれたりした。ここに表されている魚は、輪郭がきわめて丸く、背びれが長いことから、イネトとも呼ばれるティラピア・ニロティカ(tilapia nilotica)であることが分かる。この魚は、卵を口の中に入れて守るという特徴的な習性をもち、稚魚は口の中から自然に生まれるように見えることから再生の象徴とされた。
なお、睡蓮と魚の組み合わせは新王国時代に頻繁に現れ、太陽の再生の観念をさらに強く想起させている。

出典

- PIERRAT G., L'Egypte au Louvre, 1997, p. 14.

- Mémoires d'Egypte, catalogue d'exposition, Bibliothèque nationale, Paris, 1990, p. 58.

作品データ

  • 魚の首飾り

    新王国時代、前1550-前1069年

  • 金、打ち出し、クロワゾネ、象嵌細工

    長さ49cm、幅2.2cm、直径0.4cm

  • 1827年にドロヴェッティ・コレクションから購入

    N 1852

  • 古代エジプト美術

    シュリー翼
    1階
    装い:装身具、衣服、体の手入れ
    展示室9

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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