Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>見学と文化活動>見学コース>愛をささやく

見学コース 愛をささやく, ルーヴルのコレクションに見る愛のかたち

テーマ別見学コース - 所要時間:1h30 - 見学日: 月 水 金 土 日

学校団体 一般団体

Sarcophage, dit "sarcophage des Époux'' (détail)
Sarcophage, dit "sarcophage des Époux'' (détail)

© R.M.N./H. Lewandowski

00イントロダクション

この見学コースでは、古代から18世紀に至るまで、芸術家たちがどのように愛し合う者たちの姿を表現しようとしたのかを見ていきましょう。

愛には、精神的な愛や官能的な愛、気ままな恋や夫婦の愛があり、それらはひと時の恋であったり、生涯にわたる愛であったりするものです。

古代ギリシアから18世紀まで、芸術家たちがあらゆる段階を表現しようと試みたこうした愛のかたちをご覧ください。この見学コースは、年代別に作品を見ていこうというものではありません。また、ある社会や文明における「愛とは何か」という考え方をまとめようとするものでもありません。むしろ、愛の告白から抱擁、あるいは永遠の誓いまで、「愛の地図」というものを発見していただきたいのです。この「地図」の上では、それぞれの作品が、その時代の一面を、その時代特有の方法で照らしています。

皆さんを愛と戯れの旅にお招きしましょう。シテール島に向けて船出し、作品の鑑賞を楽しみましょう。作品の唯一の共通点は「愛」です。

 

次の作品までのルート :
ピラミッドの下からリシュリュー(Richelieu)翼のエスカレーターを上ってください。チケットコントロールの後、右に曲がります。階段を数段上ってから、エスカレーターで2階(1er étage)に上がりましょう。カフェ・リシュリュー(Café Richelieu)の正面から中世の工芸品の展示室4まで進んでください。

 

 

愛の捧げ物
愛の捧げ物

© 1983 RMN

01《愛の捧げ物》

宮廷風恋愛では、貴婦人の愛を得るために、騎士たちは12世紀以来の宮廷恋愛文学に体系化された手順を踏まなくてはなりません。「愛の捧げ物」という主題は、こうした文学に繰り返し現れます。中でも、このタペストリーが制作された1400年頃、最もよく知れ渡っていたのは『薔薇物語』です。求婚者が「愛の園」をめぐる様を描いたもので、この「愛の園」で摘み取られる薔薇こそが、意中の貴婦人に他なりません。

まず愛の告白から見てみましょう。
貴公子から貴婦人への贈りもの、愛を象徴するハート型のものに注目しましょう。また、左右対称になった人物の周りで輪になっている動物たちもご覧下さい。
人物と景色の描き方は異なります。人物の輪郭ははっきりと描かれ、ハッチングで立体感を表現してあります。一方景色は、同じ幾何学的モチーフを繰り返し、色彩だけを変えることで表されています。表情豊かな人物は、装飾的な景色とは対照的です。

次の作品までのルート :

展示室5まで進み、左へ曲がって右手の階段で3階(2e étage)まで上がってください。最初の踊り場に来たら右に折れ、絵画部門の展示室21に入りましょう。

《ケルメス(村祭り)》
《ケルメス(村祭り)》

© 2009 Musée du Louvre / Erich Lessing

02《ケルメス(村祭り)》

17世紀フランドルの「ケルメス」を描いたこの作品は、北方の画家が好んだ村祭りの情景という伝統に倣っています。ここに表現される、生き生きと陽気で享楽的な様は、バロック様式の特徴の1つです。

祭りの渦中で、恋人たちは燃え上がります。
ここでは、何組もの恋人たちが連なっています。絵から離れて、踊り手たちの描くS字型のカーブを左から右へ目で追ってみましょう。画面に動きが出ているのがわかります。
人物はうねる塊となり、その色調により景色と溶け合っています。遠景では、色調が淡くなっています。

今度は絵に近づいて、悦楽に耽る農民たちの生気にあふれた顔を見てみましょう。大きく見開いた目、赤い頬、それに唇へ接吻しているのが見えますね。

次の作品までのルート :

階段の方へ戻って展示室17へ入り、展示室18、19を通り抜けたら左手のエスカレーターで2階(1er étage)へ下りてください。工芸品部門へ入り、展示室23から正面に連なるその先の部屋を通過します。展示室56まで来たら足をとめましょう。

小型円卓
小型円卓

© 1998 RMN / Daniel Arnaudet

03《円卓》

羊飼いの男女を登場人物とする牧歌的な恋愛を、ルイ15世治世末期のヴェルサイユに集った貴族たちが演じています。楽しそうな光景に有閑階級の社会が表れています。

貴族のサロンに入って、調度品を見てみましょう。
この部屋では、いくつかのモチーフが繰り返し現れています。キンポウゲとバラが、花飾りと籠にまとめられており、全体的な雰囲気から高度に洗練された様子が伝わってきます。

甘い言葉を語り合う恋人たちを探してみてください。国王ルイ15世の愛妾デュ・バリー夫人が所有していた中央の小型円卓と、右手の箪笥に見られる牧歌的な情景は、ジャン=アントワーヌ・ヴァトーやニコラ・ランクレといった画家から着想を得ています。壁には、このランクレの絵画が2点掛かっています。高級な木で作られた小型円卓は、セーヴルの陶板で飾られて格別な趣を備え、家具職人と画家の妙技を物語っています。

次の作品までのルート :

そのまま先へ進み、展示室48で足をとめてください。この展示室は「時計の間」とも呼ばれています。左手4番目のガラスケースへ進みましょう。

Montre ronde : <i>Le Conteur</i> d'après Antoine Watteau
Montre ronde : <i>Le Conteur</i> d'après Antoine Watteau

© Direction de l'Architecture et du Patrimoine

04アントワーヌ・ヴァトーによる《愛の語り手》

8世紀、恋愛劇にはコメディア・デラルテ(即興喜劇)の登場人物が現れます。次々に話の筋が展開していく中で、召使たちが主役となるのです。

ここにある懐中時計は男女ともに用いた装身具ですが、恋愛ばかりではなく、贅沢や新技術がもてはやされた時代の好みを反映しています。

男はなんと言って求愛しているのでしょうか?

三人の登場人物をよく見てください。前景で愛を語る人物はコメディア・デラルテの役者のような衣装を着けています。恋人たちの後ろには、臆病な恋人役のピエロらしき人物がいて、コロンビーヌを巡る道化芝居の三角関係を思わせます。
軽いタッチと柔らかい色調から、ヴァトーらしさをうまく表現し得たエマイユ職人の技量がうかがえます。実際この職人は、ヴァトーの版画をもとにしてケースの丸い形に合わせたのです。

次の作品までのルート :

展示室46まで進み、左手の階段で3階(2e étage)に上がってください。ここにはフランス絵画のコレクションが展示されています。展示室36に入りましょう。

《シテール島の巡礼》
《シテール島の巡礼》

© 2009 Musée du Louvre / Erich Lessing

05《シテール島の巡礼》

オルレアン公フィリップの摂政時代、ヴァトーの登場とともに精神的な恋愛という主題の表現は完成の域に達しました。アカデミーはヴァトーのために、「フェット・ギャラント(雅宴画)」という新しいジャンルを作っています。ヴァトーはそこに、様々な気分や現実離れした微妙な雰囲気を描き出し、夢のような奥行きを取り入れました。この恋人たちの集団がにぎわっているのは、アフロディーテの島へ向けて出発するために興奮しているせいなのか、それとも帰還して早くも憂鬱になっているせいなのでしょうか?

人物と景色の描き方の違いを注意して見てください。サテンの衣服の上で光がきらめき、もやのかかったような自然の風景の中で、光の輪として表されています。人物の立体感は、輪郭線ではなく彩色の調子によって的確に表されていますが、一方景色は、「グラッシ」という、塗料を僅かしか含まないために透明感のある絵の具層を重ねることで描かれています。
前景の三組の恋人たちをご覧ください。右から左に、恋愛の誘惑の三つの瞬間が描かれています。
絵から離れ、ルーベンスの《ケルメス》を思い出しながら、人物の連なりをじっくり見てみましょう。
同じ展示室に、ヴァトーのもう1点の絵画《ピエロ》も忘れずにご覧ください。この作品は「ジル」という名前でも知られています。

次の作品までのルート :

展示室37に進みましょう。

Le faux-pas
Le faux-pas

© Musée du Louvre/A. Dequier - M. Bard

06《あやまち》

「さあ、快適な摂政時代だ。自由が許される幸せな時代なのだ」と、ヴォルテールは書いています。

風俗が自由になるにともない、美術にも自由がもたらされました。戯曲では、絵画におけるヴァトーとちょうど同じように、マリヴォーが恋愛や運任せの戯れを描いています。

皆さんはここで、証人として、大胆な行為を覗き見る立場に置かれているのです。
カンヴァスが小さいため、皆さんはたった一人でこの親密な情景を前にすることになります。

もっと絵に近づいて、女性の首、髪、ブラウスに並行するハッチングをよく見てください。彼女が後ずさりする様を表しています。
二人の対照的な肌をじっくりご覧ください。男の顔と手の赤さは、女性の青白さと対照をなし、紅色の布に重なって見えます。

展示室を出る前に、ガラスケース内《庭園に集うコメディア・デラルテの役者たち》をご覧ください。ヴァトーの弟子ジャン=バティスト・パテルが描いた作品です。懐中時計で見た「愛の語り手」の主題が、ここにも登場しています。

次の作品までのルート :

続いて展示室48まで進んでください。

《かんぬき》
《かんぬき》

© 2007 Musée du Louvre / Angèle Dequier

07《かんぬき》

啓蒙の世紀(18世紀)の末期にあって、気ままな恋愛が聖なる愛と対照をなしています。後者は、壁の左端に掛かる《羊飼いの礼拝》という、この絵と対になった作品に描かれています。

《かんぬき》は、欲望の性質と情熱の重みについて考えさせてくれます。
かんぬきからリンゴまで、光が示す対角線に目を走らせてください。この光は、かんぬき、寝台、そしてリンゴの三点を照らしています。
男がかんぬきを掛け、女はやんわりと抵抗しています。つまり、物語は始まったばかりだということです。では、なぜ男はすでに衣服を半分脱いでいるのでしょうか?

絵の左側を見てください。秘め事を思わせる女の体をかすかに暗示するものが隠されています。
寝台の「膝のような角」、女性の胸の形をした枕、赤いカーテンの奥まった襞は、恋の火遊びを思わせます。
様々な要素が肉体的な営みを暗示しています。左から右に、ひっくり返った壺、倒れた椅子、床に脱ぎ散らかした衣服がありますね。花が散るイメージを示す打ち捨てられた花束や、原罪の実であるリンゴという、象徴的な品々に注目しましょう。

次の作品までのルート :

展示室49を出て踊り場まで進み、螺旋階段で2階(1er étage)に下りて、古代エジプト部門の展示室27へ入ってください。まっすぐそのまま進んで古代ギリシア部門の展示室に向かい、展示室38まで来たらガラスケース4の前で足をとめましょう。

Couple enlacé sur un lit nuptial
Couple enlacé sur un lit nuptial

© R.M.N./Les frères Chuzeville

08《婚礼の床で抱擁する2人》

紀元前2世紀に制作されたこの婚礼の場面は、古代ギリシアにおける婚姻のしきたりを表したものです。婚礼の場で、女性の社会的地位は変わります。日常生活からとったものとはいえ、この表現には象徴的な意味あいが含まれています。人生の新しい1ページをめくる行為は、通過儀礼の行為なのです。(出口に向かって右側の地図と、展示室中央のパネルをご覧ください。)

これは婚礼の晩でしょうか?
新郎が優しい仕草で新婦の衣服を脱がそうとしています。裸の男の性急な態度が、衣服で身を包んだ女の慎み深くはじらった様子と対照的です。

テラコッタのこの彫刻群は、いくつかの部分を組み合わせてできています。女性の腿が欠けている部分を見ると、この像が中空であることがわかります。型の内壁に粘土の層を貼り付けて制作してあるのです。焼成の後、像は着彩されました。塗料の痕跡がいくらか残っています。

この作品の右側に、抱擁する二人がもう一組います。

展示室39(展示室37を通って入れます)でも、アッティカの赤像式の壺に描かれた愛の営みを見ることができます。

次の作品までのルート :

展示室34に向かい、《サモトラケのニケ》の階段を下りてください。右に曲がり、古代エトルリア部門の展示室18に入りましょう。

チェルヴェテリの夫妻の棺
チェルヴェテリの夫妻の棺

© Musée du Louvre, dist. RMN / Philippe Fuzeau

09《チェルヴェテリの夫婦の棺》

夫婦の愛情として、今日イメージされるものは、とくにエトルリア人の表現方法と呼応しています。紀元前6世紀のこの夫婦は、特定の個人の肖像ではありませんが、死後の永遠の生を前にした対等で平静な男女を象徴しています。
永遠の生を祝うこの夫婦の周りを歩いてみましょう。
作品を正面から見て、線を強調した細部に注目してください。口、眉、男の髭は、正確に描かれています。二人を側面から眺めてみましょう。上腕の配置によって、墓所の三次元的な特徴が示されています。男は女の肩に腕を回し、女は男の手に香水を振りかけているようですが、手は今日失われてしまいました。
後ろから見て、シーツの下の体を想像してみましょう。シーツからは足が出ています。側面から見た体の細部表現に必ずしも一貫性が見られないのは、エトルリア美術の特徴です。
この棺を一周したら、靴、調度、髪型、襞の模様に見られる細部の写実性に気づくことでしょう。

次の作品までのルート :

この見学コースは、ここで終了です。出口へ向かうには、《サモトラケのニケ》の階段を下り、展示室Bを通り抜け、それから左に曲がってください

 

執筆: :

ロランス・ブロス、シリル・グィエット