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見学コース 食にまつわる美術, 食事の象徴としきたり

テーマ別見学コース - 所要時間:1h30 - 見学日: 月 水 金 土 日

子ども 学校団体

>ジャン=フランソワ・ド・トロワ 1679年(パリ)-1752年(ローマ)《狩り場の昼食》1737年(部分拡大)
>ジャン=フランソワ・ド・トロワ 1679年(パリ)-1752年(ローマ)《狩り場の昼食》1737年(部分拡大)

© R.M.N./C. Jean

00イントロダクション

ルーヴル美術館のコレクションを通して、古代から18世紀までの食事や食卓の飾りつけを見ることにしましょう。

ここで選ばれている作品は、葬儀や神話、宗教を主題にしたもの、ごく日常の光景を描いたものなど、時代も性質もまちまちですが、食事に付き物の和やかな雰囲気が、どの作品にも表れています。
たいていの作品は、日々の生活をヒントにして生み出されています。こうした作品をたどっていくと、食事の儀式や出される料理、段々と目立つようになってくる食器類などの多様さが見えてきます。食卓は、このような日常生活を描き出しているだけではなく、地域や時代ごとに異なる象徴的な意味も帯びています。古代には、食卓は死者が来世へ行くときのお供をしました。キリスト教では、イエスが十字架にかけられる前夜に、弟子たちととった「最後の晩餐」で、食卓は祭壇、つまりミサをするとき中心となる特別な壇の役目を果たします。

 

次の作品までのルート :

ピラミッドから入り、シュリー(Sully)翼の方へ向かってください。「中世のルーヴル」を通り抜け、《スフィンクス》の正面左側の階段を上ります。展示室3まで行き、展示室4へ入ったら右を見ましょう。

アケトヘテプのマスタバの礼拝堂
アケトヘテプのマスタバの礼拝堂

© Musée du Louvre/C. Larrieu

01《アケトヘテプのマスタバ》

古代エジプトの人々は、サラダ菜類を含むいろいろな種類の野菜、鳥や魚を食べていました。ワインは上流階級の人たちに限られていましたが、ビール(ヘネケト)は一般の人たちにも飲まれていました。
有力者たちの集まる宴会では、いつも音楽が演奏されました。笛や竪琴を伴奏に、女たちが歌い踊るのです。

それでは、この死者を祭る礼拝堂に入ってみましょう。右手の仕切り壁では、座った男が目の前の食事に手をつけようとしています。いろいろな料理が並べられていますが、これは男のために用意された来世での「献立」です。この4層に重なったテーブルには、食べ物がずらりと並んでいます。マスタバを出て左手に、この食べ物を説明する図があります。不思議なことに、描かれた食べ物のおかげで、下の墓所に埋葬されたこの偉いお役人は、死後も何不自由なく安心して暮らせるのです。
家族や神官は、本物の供物も持ってきました。死者の魂は、礼拝堂中央に彫られた見せかけの扉を通って、それを食べにやって来るのです。花崗岩でできた供物の台は、外のガラスケースに展示されています。一塊の石を彫って作られた食事の器が、本物の供物の代わりになっています。

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先程通った《スフィンクス》の前へ戻りましょう。今度は、《スフィンクス》右手の階段を上ってください。そのまま直進し、展示室5を過ぎたら左に曲がって、古代エトルリア部門の入り口まで行きましょう。

チェルヴェテリの夫妻の棺
チェルヴェテリの夫妻の棺

© Musée du Louvre, dist. RMN / Philippe Fuzeau

02《チェルヴェテリの夫婦の棺》

古代文明では、「寝そべって参加する宴会」がよく作品に取り上げられます。人が亡くなった場合なら、葬儀の際の食事か、来世で安らかな時を過ごす人たちの宴会を表しているのでしょう。あるいは、ただ生前の社会的地位にふさわしい活動をしている死者の姿なのかもしれません。
同じ古代でもギリシアとは違って、エトルリアの女性は宴会に参加します。女性が社会で尊重されていた、ということですね。

棺の周りを一周して、この寝そべっている夫婦をあらゆる角度からじっくり眺めましょう。
エトルリアの上流階級に属するこの二人の人物は、宴会に参加するときの格好で表されています。マットレスが載った脚付きの寝台の上で寝そべり、上半身だけ起こすという格好です。
妻は、着飾って宝石を身につけ、トゥトゥルス(円錐形の帽子)を被り、つま先が鉤形になった靴を履いています。夫の方は、恐らく金髪のかつらを被っていたのでしょう。
二人がもたれかかっている、二つ折りの変わったクッションをよく見てください。ワインを入れる皮袋です。ワインは高級な飲み物で、ワインを飲むための道具にはいろいろなものがあり、種類も豊富です。右手のガラスケース内に展示されている、様々な形のグラスを見てください。

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展示室を出て、左手の階段を上ってください。最初の踊り場の奥にある展示室Bを通り抜け、左手のエレベーターLで2階(1er étage)に行きます。左に曲がって展示室6に入りましょう。

《カナの婚礼》
《カナの婚礼》

© 2010 Musée du Louvre / Angèle Dequier

03《カナの婚礼》

16世紀のヴェネツィアでは、宴会はとても大掛かりでした。テーブルをコの字形に配置して、中央に音楽家と道化役者のための場所を作りました。この時代の食事は、家令が考えた6から8品で大変しっかりと構成されていました。

赤い棒が目印の配膳係たちが、肉を切り分けるところを見張っています。この作業はかつて、一家の主人がテーブルの上で行うものでした。
ここでは婚礼を盛大にお祝いしています。ところが、花嫁と花婿は左のテーブルの端に追いやられていますね。主人公はキリストなのです。キリスト教で救世主(=キリスト)と信じられているイエスは、一生の間にいくつもの奇跡を行ったと言われます。ここでは中央で、水をワインに変えるという、最初の奇跡を成し遂げているのです。その右では、ワインを注ぐ係の者が、この奇跡を見つめています。

絵の両側をよく見てください。ピンクの大理石円柱が、「軒蛇腹」という突き出した軒飾りを支えています。この絵を注文したのは、ヴェネツィアの修道院ですが、そこの食堂に彫刻されていた軒蛇腹の続きを、だまし絵の手法で描いたものです。修道院の食堂に飾られたこの絵に描かれる豪華な宴会の様子は、ベネディクトゥスの定めた規則を守って共同生活を送る修道士たちの、静かで質素な食事風景とは対照的でした。

キリストと聖母マリアだけが古代風の身なりをしています。その他の列席者は、1562年のヴェネツィアの上流階級の人たちです。ヴェロネーゼは、同時代の人たちを参加させ、古代の婚礼を表現したのです。こうして、この奇跡を伝える『福音書』に現在性をもたせたわけです。

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来た道を戻り、展示室を出たら右に曲がり、《サモトラケのニケ》まで進んでください。《サモトラケのニケ》の左手方向に進み、展示室34、74を抜け、右手のエレベーターCに乗ります。3階(2e étage)へ上り、展示室65からまっすぐにすべての展示室を通り抜け、展示室19で左に曲がり、さらに展示室5までそのまま進みます。右に折れて展示室10まで行き、左手の展示室7から展示室14に向いましょう。

Les noces de Thétis et de Pélée ou Le Festin des dieux
Les noces de Thétis et de Pélée ou Le Festin des dieux

© Musée du Louvre/A. Dequier - M. Bard

04《テティスとペレウスの婚礼》、別名《神々の饗宴》

16世紀、イタリアの王女たちは、フィレンツェの腕の立つ料理人を連れてフランスに嫁いできました。そのため、アーティチョークの芯、トリュフ、パルミジャーノ・チーズ、魚や肉の団子など、洗練された料理が、フランスの食卓に出されるようになりました。マカロン、アイスクリーム、ザバイオーネ、アーモンドクリーム、フルーツゼリーなどの新しいデザートも登場しました。ビザンティンから歯の2本あるフォークが伝わり、フランスでもこれを使うようになります。食べ物を直接触らない、というところが上品なのです。

テーブルの真ん中に着いた花嫁テティスと花婿ペレウスを囲んで、ギリシア神話の神々も二人組みになっています。男は褐色の肌、女は乳白色の肌に描くというのが、この時代の決まりでした。
金めっきした銀の皿、クリスタル・ガラス、らでんの食器など、高級な食器がテーブルの上と右の台にたくさん置かれています。この時代には、脚付きの大きな杯など、優美で凝った形の食器が好まれました。三叉の鉾が目印の海の神ポセイドンが、手に持っている杯もそうですね。

前景にある飲み物を冷やすための樽には、「アンフォラ」という壺と水差しが用意されています。神酒を注ぐディオニュソスの儀式のためです。ディオニュソスは、ぶどうの葉の冠をかぶって左手に座っています。

食べ物を見てみましょう。飾りつけをしたパイやパテ、「海のザリガニ」と呼ばれるオマール海老、牡蠣があります。いろいろな野菜や果物の中に、アーティチョークやメロン、さくらんぼを探してみてください。

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展示室9に戻ってください。

Retable de la Déploration du Christ
Retable de la Déploration du Christ

© Musée du Louvre/A. Dequier - M. Bard

05《キリストの埋葬の祭壇画》

祭壇画の下の部分、長方形の板を「プレデッラ」といいます。これは祭壇の上に置かれ、祭壇がずっと続いているかのような目の錯覚を作り出すのです。このプレデッラには「最後の晩餐」が描かれています。
最後の食事の最中、キリストは「十二使徒」と呼ばれる12人の弟子に囲まれて「聖餐」を行います。キリストの血と肉を表すパンとワインを、信者に分け与える儀式です。これがミサのもとになりました。

白いテーブルクロスのかかったテーブルの上に、ヒナギク、スミレ、ローズマリーがありますね。簡素な錫のまな板に比べて、ガラス食器は個性的で形も様々です。教会の「聖餐」で使われる杯を「聖杯」と呼びますが、この絵でキリストの前に置かれたグラスはその「聖杯」の形をしています。ワインは色の薄い赤ワインか、または水で割ったものです。カトラリーは、木の柄がついたナイフだけですね。その1本はユダの方に向いており、ユダがキリストを裏切ったことを咎めているようです。左手のワインを注ぐ係として描かれているのは、この絵の作者です。14人目の客というわけです。テーブルの中央には錫の皿があり、パンがワインに浸されています。この皿は、祭壇画中央の銅のたらいと呼応しています。キリストは、自分の体を表すパンを通して自分自身の身を捧げているのです。祭壇画中央の板絵に描かれている犠牲を前もって示しているわけです。

イエスの前に置かれたまな板にのっている丸いものに注目してください。リンゴ、それとも「中国のリンゴ」と呼ばれるオレンジなのでしょうか?この果物は、アダムが犯した人類初の罪「原罪」を表しており、キリストがその罪を償うのだということを想起させます。

次の作品までのルート :

展示室7から11までを通り抜け、まっすぐ進んでください。展示室16に入ったら左に折れ、展示室29に向かいましょう。

Repas de paysans
Repas de paysans

© Musée du Louvre/A. Dequier - M. Bard

06《農民の食事》

17世紀の風俗画には、別の意味が隠されていることがよくあります。この《農民の食事》もその一例です。これは同時代の農民の生活をありのまま描いたものでしょうか。それともキリスト教の教えを表現したものなのでしょうか?テーブルの上にはパンとワインしかありませんが、これがまさに聖餐を想起させるのです。
中央の人物は、キリストを表していると解釈されることもよくあります。

三人の人物が座っています。この家の主人の左右には身なりの貧しい農民が二人いて、そのうちの一人は子供のように裸足です。「食卓についている」のは男たちだけで、奥にいる女が給仕をしています。ベンチの上に広げた白いテーブルクロスが、テーブルがわりになっているのがわかりますか?これが構図の中心となって、光を反射しています。陶製のつぼ、錫のお椀、ナイフなどの日用品がいくつか浮き上がって見えます。こうした食器は普段使うものですが、脚の付いたグラスは特別に出したようです。祝い事がある日には、ヴァイオリン弾きを呼ぶのです。絵の奥には、右手に天蓋のついたベッド、中央にはガラスの窓があり、17世紀の豊かな農家の室内を表しています。

次の作品までのルート :

展示室32から階段を下り、展示室33を通り抜けたら右に曲がり、展示室40までまっすぐに進んでください。

《食前の祈り》
《食前の祈り》

© 2010 Musée du Louvre / Angèle Dequier

07《食前の祈り》

18世紀後半、食事専用の部屋を使う習慣が広まり、食事用のテーブルがひとつの家具と見なされるようになりました。それまでは、玄関を入ったところや居間、または寝室で、脚台に板を乗せて、テーブルを「組み立てて」いたのです。そして食事のとき以外は、解体していました。

ここで描かれているのは、食事前のお祈りという、キリスト教徒にとっては見慣れた光景です。これは、食事と食事を用意してくれた人を祝福してください、と神様に祈るものです。母親と姉の視線が幼い少女に注がれています。この子はお祈りを唱えようとしているところなのです。動きは中断され、時が止まったようです。
母親の体の傾きを目で追ってください。テーブルの楕円形とともに登場人物を取り囲み、この光景の暖かい雰囲気を強調しています。テーブルの上にあるお皿や、取っ手のついたスープ鉢、戸棚の上の家庭用品や瓶や水差しなどから、日常生活が垣間見えます。

絵から離れてみましょう。少女の視点から描かれているようではありませんか?この少女は皆さんと同じように、母親を見上げています。椅子が斜めに置かれているため、こちらに向けてこの場面が展開しているかのようです。

次の作品までのルート :

右側の壁を見てください。

《朝食》
《朝食》

© 2007 Musée du Louvre / Angèle Dequier

08《朝食》

この場面には、18世紀の裕福な市民の日常生活がよく表れています。
植民地からもたらされたチョコレートやコーヒーを食すという習慣が、この時代のお金持ちの間で広まります。

この一家の、朝日が差し込む部屋の中へお邪魔してみましょう。補助テーブルが、寝室の一画に即席でしつらえてあります。テーブルがあまりにも小さいので、上には何客かの茶碗しか載りません。うるし塗りのテーブル、仏像か東洋の小像、藍と白の壺があって、異国情緒を醸し出しています。磁器でできた取っ手のない茶碗や受け皿、砂糖壷というティーセットは、中国の茶器がヒントになっています。
男性と女性が絵の右下にいる子どもをこの軽食へ誘う様子を、二人の視線に注意して見てみましょう。おもちゃを持った子どもは、たった今起きて部屋に入ってきたようです。この子の茶碗は、まだテーブルの上で伏せてあります。

この小型の絵は、「ロカイユ」という装飾様式の金めっきされた額に入っています。この風俗画の情景は、恐らく、画家がここに描いたのと同じような室内を飾っていたのでしょう。

次の作品までのルート:

展示室38まで戻り、右側の壁を見てください。

《狩り場の昼食》
《狩り場の昼食》

© 2005 RMN / Hervé Lewandowski

09《狩り場の昼食》

18世紀になると、料理の順番や給仕の仕方を定めたフランス風の「サービス」が完成します。数々の料理が次々に運ばれてくることを「サービス」と呼ぶのです。ポタージュと前菜に続いて、焼いた肉とサラダが出され、それから「アントルメ」という軽い料理がきます。食事のしめくくりはフルーツでした。

貴族たちが、狩の合間に昼食をとろうとテーブルに着いています。慣れ親しんだ飾りつけを戸外でどのように再現しているか、よく見てみましょう。テーブルは豪華に整えられ、犬たちも宴に参加しています。馬車と馬が遠ざかり、宿屋からは椅子をもった召使たちが現れました。絵の手前では、召使たちが柳のかごから銀の食器や冷たい料理を取り出し、ダマスク織風のどっしりしたテーブルクロスがかかったテーブルに並べています。18世紀には、食卓にグラスを並べる習慣はありませんでした。沢山の召使たちが求めに応じてワインを注ぐまで、別のところに置かれているのです。

絵の中央のスペースが空いていて、この絵を見ている皆さんをテーブルへと誘っています。この大きな絵は、かつてはフォンテーヌブロー城の食堂を飾っていました。この食堂にはヴァンローの描いた《狩の休息》(左側にあります)も飾られていました。ここに描かれた人々は、鏡に映っているかのように、実際にテーブルへ着いた招待客と呼応していたわけです。

次の作品までのルート :

この見学コースはこれで終了です。右手から展示室を出て、展示室43から49までを通り抜けます。そのあとはsortie(出口)と書かれたの標示パネルに従い、展示室64からエレベーターCに乗りましょう。