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イスラム美術 : 近代イスラム帝国

孔雀の大皿
1540−1555年
© Musée du Louvre/J. Hyde
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詳細
作品データ
孔雀の大皿
1540−1555年
珪石質陶器、透明釉下、化粧土上に絵付
直径37.5cm
1932年、レイモン・コクラン遺贈
K 3449
イスラム美術
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作者
Christine Gayraud
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孔雀の大皿

孔雀の大皿は、オスマン帝国の最も権威ある陶器の一つである。絵付けの甘い色調のなかには、ラヴェンダー・ブルーとピンクの非常に稀にしかみられない色が入っている。装飾は、ロマンティックなイズニークの草花模様(サズ様式)で、構成にみられる激しい動きは、大きい「柘榴の花」によって、落ち着きを与えられ、完璧な調和に到達している。
作品解説

比類なき孔雀の大皿


草花の茂みから出た花束は、大皿全体をすっかり被う様に広がっている。細長くて一部が裏向いた、繊毛のある葉と花を細い茎が支えている。花は、チューリップやヒヤシンス等の写実的なものと、そうでないものがあり、実際には両方が混成しているものであったりする。この装飾は皿の縁取りがなければ、止まることを知らずに、永遠にその動きを伸展させている。皿の縁取りも、動きのある曲線で、切取ったような形である。この動きの中心には垂直に太い茎の付いた、鱗模様の花の、実際にはこんな形ではないが、柘榴の花がある。この花は柘榴の実の中身をまねて、描いたものである。その形の硬く重たい感触が、全体の動きを押さえて、安定感を与えている。そして、こういった構図の中心に、レヴェンダー・ブルーの孔雀はとまっている。全体の色調は、甘く、1530年頃よりみられる、イズニークの第二様式の色調で、サージ・グリーン、オリーヴ・グリーン、明るいトルコ・ブルー、薄紫がみられるが、それに加えて、ここでは、微妙な薄いピンクとラヴェンダー・ピンクがみられる。

様式と色調による新しい美学


下絵の様式は新しい美学を提示している。前の時代と比べると抒情的で、筆致はより論理的で、知的である。この様式をサズと呼んでいる。この言葉はイランの15世紀のデッサンで幾度も描かれた生い茂った森をさす言葉である。実際にある動物では、熊や野兎、架空の動物では竜と鳳凰が、鋸歯状で、曲線を描く葉と混じり合い見分けがつかない、ちょうどこの皿の装飾のように構成されている。
イランからやって来たシャー・キリが、帝国細密画工房の監督となって、1530年以前に下絵を通じて、この様式を導入した。陶器の分野では、この様式は、まず、ここでみられるように、イズニークの第二様式の甘い色調で表わされた。しかし、この様式の最大の流行は、1570年前後に、細密画の書物芸術(サズの葉)と、彩釉陶板でみられて、そこではイズニークの第三様式の繊細な色調で彩色されている。
この大皿の下絵は、その装飾の質から判断すると、シャー・キリの手になるものと推定される。この制作者は、トプカプ宮殿にある元の時代の中国磁器を参考にしたと想定される。戦利品として持ち帰られ、現在、イスタンブールのトプカプ・サライ博物館に収蔵されている二枚の大皿のような、孔雀の入ったものを観たにちがいない。これらの皿は、当時は、帝国の食卓で使用されていた。

孔雀、それは天国の鳥


イスラム美術は孔雀を偏愛している。コーランによれば、孔雀は、アダムとイヴが天国から追放された時に、同時に追放された鳥であるが、民衆の伝承では、天国の鳥といわれている。この大皿では、孔雀はまさに天国とも呼べる風景の中に描かれている。孔雀がこの大皿に描かれたことは、オスマン・トルコの時代の陶器の画期的な面で、この後、1570年頃には、もっと頻繁に表わされることになる。

参考文献

SOUSTIEL Jean,  La céramique islamique, Office du Livre, éditions Vilo, Paris,  1985, p.328-331


Arabesques et jardins de paradis, exposition au Musée du Louvre,  Editions de la Réunion des musées nationanux, Paris,1989, n 131, p.160


Soliman le Magnifique,  exposition aux Galeries nationales du Grand Palais, 15 février-14 mai 1990,  Editions de la Réunion des musées nationaux, AFAA, Paris,1990, n 197, p.182

ATASOY Nurhan, RABY Julian, "L'illusion de la nature, poteries de 1535à 1560",  Iznik. La poterie en Turquie ottomane, Chapitre XVII, Paris, Editions du Chêne, 1990 (version française), p.129-144


DENNY Walter, "Blue and white islamic pottery on chines" , Boston museum bulletin, 1974, vol. LXX, n 368, p. 76-99.
vol.1


KALH R., Chinese ceramics in the Topkapi Saray Museum, Istanbul, vol II , n 708, Londres,1986


LANE Arthur,  Later Islamic pottery, Londres, 1971, p 49-54


見学コース

イスラム美術の傑作
この見学コースは、精緻な制作、あるいは比類なき工芸品を選んで、イスラム美術の特異性を紹介するものです。10世紀に渡る、三つの大陸への旅を誘う傑作の一部をご覧いただきましょう。

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