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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《ウルカヌスの鍛冶場、あるいはウルカヌスの鍛冶場の中のテティス》

La forge de Vulcain

RMN-Grand Palais - Photo S. Maréchalle

素描・版画
16世紀

執筆:
Bartolucci Sara

この《ウルカヌスの鍛冶場》は、フィレンツェ(ウフィツィ美術館)に所蔵されている絵のための準備習作であり、その絵は、メディチ家諸公の威光を顕揚するための、神話を描いた連作の一部をなしていたものである。これはヴァザーリの素描のうち最も見事なものの一つであり、フィレンツェのパラッツォ・ヴェッキオ内の、フランチェスコ・デ・メディチ1世の書斎を装飾した画家らによって、原型として用いられている。

威光顕揚のための連作

この素描はおそらく、絵画《ウルカヌスの鍛冶場》制作の契約の際、ヴァザーリが注文主に示した図案だと思われる。この絵は、フランチェスコ・デ・メディチ公の称揚を目的とした一連の寓意画に含まれるものである。ルーヴル美術館は、この連作全体のための他の二つの習作、《黄金時代》および《アモルの狩り》を所蔵している。《ウルカヌスの鍛冶場》はヴァザーリの素描の中では最もきめ細かく描かれたものの一つである。というのも、正確な筆致と、丹念に用いられた淡彩とによって、完成作にも似た絵画的効果が生み出されているからである。

ミネルヴァとウルカヌス

この素描の作者が着想を得た神話のエピソードは、テティスがウルカヌスに、その息子アキレウスのために武器を鑄造してくれとせがむ場面である。この習作を描くにあたって、ヴァザーリは伝説に対し忠実ではない。というのも、女が前景に、テティスの持物(じもつ)とともにではなく、ミネルヴァのそれとともに描かれているからである。この図像表現の変更は、作品にはっきりとした寓意的意味を付すべきだと考えた、作者の友人ヴィンチェンツォ・ボルギーニにより提案されたものである。ウルカヌスに武器を造るよう指図しているミネルヴァと、女神の命を受容れて楯に彫りを入れているウルカヌス神とは、実は、知性(インゲニウム)の女神と、技術・芸術(アルス)の神との邂逅(かいこう)を図像として描き表わしたものに他ならないのである。ウルカヌスが彫っているのは、牡羊と山羊、すなわちフランチェスコとコジモ・デ・メディチの黄道十二宮上の星座なのである。ボルギーニの記述によれば、この絵の背景には、フィレンツェの素描アカデミーと同様にしつらえられた、芸術家のサロンが描かれている。それが、1563年にコジモ1世により創設されたこのアカデミーを示唆していることは、16世紀のフィレンツェ知識人にとっては明白であったはずである。またヴァザーリは、左手奥に三美神を描いているが、それはおそらく、彫刻、絵画、建築というデッサンの三種の異なる形態を象徴している、と思われる。この仮説は、入念に描写された建築空間の中で、絵や彫刻を制作している人物像の存在によって、さらに裏付けられる。

理論と実践の結合としての芸術作品

寓意的主題は、さまざまな次元で解釈可能である。まず、ミネルヴァおよびウルカヌスには、それぞれ理論としての芸術と、実践としての芸術との象徴を見ることができる。この二つの側面は相互補完的である。というのも、芸術作品は、そのうちいずれか一方なくしては成り立たないからである。さらに深い意味を求めるとすれば、そこには理論的な発案者であるボルギーニと、素描家自身であるヴァザーリとの関係を見ることができよう。最後に、牡羊と山羊とは、コジモ1世およびフランチェスコ・デ・メディチの二重の役割を表わしている。この二人はフィレンツェと諸芸術との庇護者なのである。ヴァザーリが1568年にその『芸術家列伝』をコジモ1世に献呈していることは、大公と、このフィレンツェの芸術家との間の密接なつながりを明証するものである。

出典

- CORTI Laura, Vasari : catalogue complet des peintures, traduit de l'italien par Marc Baudoux, Paris, Bordas, 1990, n 88.

- The Medici Michelangelo and the Art of Late Renaissance Florence, cat. exp. Detroit, The Detroit Institute of Arts, 2003, notice 210, p. 347 et fig. 210, p. 348.

- MONBEIG-GOGUEL Catherine, Vasari et son temps. Maîtres toscans nés après 1500, morts après 1600, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1972, notice 233.

- MONBEIG-GOGUEL Catherine, Collections de Louis XIV, dessins, albums, manuscrits, cat. exp. Paris, musée de l'Orangerie, 1977-1978, n 61.

- POPHAM A. E., WILDE J., The Italian Drawings of the XV and XVI Centuries in the Collection of His Majesty the King at Windsor Castle, London, 1949, n 521.

- SCOTI BERTINELLI U., Giorgio Vasari scrittore, Pise, 1905, p. 95.

作品データ

  • ジョルジョ・ヴァザーリ(アレッツォ、1511年-フィレンツェ、1574年)

    《ウルカヌスの鍛冶場、あるいはウルカヌスの鍛冶場の中のテティス》

    1567年頃

  • イエローオーカー(澄んだ黄土色)の紙に、黒チョークおよび褐色インク、白のハイライト

    縦38.4 cm、横28.4 cm

  • エヴァーハルト・ヤーバッハ・コレクション、1671年に国王美術品蒐集室に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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