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《シャルル=ルイ・トリュデーヌ夫人》

© 2004 Musée du Louvre / Angèle Dequier
絵画
フランス絵画
フランス革命時に典型的な、簡素な衣服と髪型のこの若い夫人は、自由主義的な上流ブルジョワ階級に属していたシャルル=ルイ・トリュデーヌの妻であった。この絵では、とりわけ赤色の背景に、薄塗りの震えるようなタッチがそのまま残されている。今日の観者を魅了しているこの未完成の状態は、恐怖政治に関するトリュデーヌとダヴィッドとの間の不和が原因であると考えられている。
若い夫人の慎み深い魅力
一人の華奢な若い夫人が、腕を組んで、横向きに座り、顔を観者の方に向けている。夫人は、長い鼻に大きな目で、鋭い目つきをしている。夫人は、地味な色の服を着ていて青いベルトを締め、肩には白いフィシュ(三角形のスカーフ)を掛けており、背景の赤色と共に、これらが共和国の記章の三色を構成している。髪は、無造作に束ねられ、髪粉も振られておらず、全く気取りが感じられない。この人物には質素な魅力が漂っている。絵の未完成の状態が、今日の観者の眼差しを魅了している。
自由主義者の一族
この肖像画は、画家ジョセフ・ヴェルネの娘であったシャルグラン夫人を描いたものと長い間考えられていたが、おそらくダヴィッドの友人であったシャルル=ルイ・トリュデーヌの妻であるルイーズ・ミコー・ド・クルブトン(1769-1802年)を描いたものであると思われる。作品は、シャルル=ルイ・トリュデーヌから1791年もしくは1792年に注文されたと考えられる。フランス革命以前に、ダヴィッドは、シャルル=ルイの兄弟であるシャルル=ミシェルのために《ソクラテスの死》(ニューヨーク、メトロポリタン美術館)を描いている。トリュデーヌ家は、当初フランス革命を支持していた、自由主義的な上流ブルジョワ階級に属していた。作品が未完成のままとどまっているのは、おそらく政治的な出来事が関わっていると見られる。トリュデーヌ家は、ダヴィッドが恐怖政治を支持したため、画家と仲たがいしたのである。さらに、トリュデーヌ家の2人の兄弟は、ほどなくして死刑台に上ることになる。この作品は、歴史画家として、新古典主義の宣言である《ホラティウス兄弟の誓い》(ルーヴル美術館)の作者としてより知られているダヴィッドの肖像画家としての才能を示しているものである。
ダヴィッド特有の薄塗り
フレーミングのお陰で、モデルと観者の間に一種の親密さが生まれている。ダヴィッドはここで、きわめて簡潔な構成方法を示している。空間は控えめに示されている。ダヴィッドの後期の肖像画に特有の薄塗りが施された、震えるようなタッチと赤い色で存在感が増した無地の背景の上に、華奢なシルエットが浮かび上がっている。未完成に終わったこの作品には、厚塗りが施されていない。また薄塗りは、衣服では背景ほど目立たない。この絵では、夫人の顔の質感がよりはっきりと感じ取られる。この肖像画は、ダヴィッドがフランス革命以前に制作した、綿密に細部が描かれた大半の肖像画とは一線を画しており、《レカミエ夫人》(ルーヴル美術館)の肖像画の訪れを告げていると言える。
出典
- SCHNAPPER Antoine et SERULLAZ Arlette (dir.), Jacques-Louis David 1748-1825, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1989, p. 280-281 (Antoine Schnapper).作品データ
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ジャック=ルイ・ダヴィッド(1748-1825年)
《シャルル=ルイ・トリュデーヌ夫人》
1791-1792年
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油彩、カンヴァス
縦1.30 m、横0.98 m
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1890年、オラース=ポール・ドラロッシュからの遺贈
R.F. 670
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シュリー翼
3階
ダヴィッドと弟子たち
展示室935
来館情報
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)
休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日