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作品 《ネレイスとトリトン―〈日の出〉のための習作》

素描・版画部門 : 18世紀

Naïades et Triton : derrière deux naïades, le triton tient une conque

素描・版画
18世紀

執筆:
Grollemund Hélène

ブーシェの円熟期に当たるこの素描は、1753年の年記と署名のある絵画《日の出》の前景右側の一群のための習作である。《日の出》は、その対作品《日没》とともに、ウォーレス・コレクション(ロンドン)に所蔵されている。1753年のサロンに出品されたこの2枚の絵画は、ポンパドゥール夫人がベルヴュ城のために買い上げ、王立ゴブラン制作所のタピスリーの下絵にも使われた。この素描は、G・ドマルトーによって版画におこされ、ブーシェの工房で幾度となく複製が制作された。

世に広く知られた円熟期の素描

きわめて絵画的なこの大きな素描は、ブーシェの円熟期における最も完成度の高い作品の一つである。この素描は、当時のブーシェの作風に本質的な2つの特徴を表わしている。それは、充実感溢れるモデリングと自在な構成の才であり、ここでは構図は主要な浴女の体の対角線に沿って構成され、そこに他の二人の人物のしなやかな曲線が加わっている。力強く明快に描かれたトリトンには、ルーベンスの偉大な叙事詩的な息吹がまだ感じられるが、しなやかで力強い人物像全般は、ブーシェがジャン・ド・ジュリエンヌの注文に応じて版画におこしたことのある、ヴァトーの素描の筆遣いも思い起こさせる。ブーシェの工房では、この素描の複製が多数制作されたが、こうした複製は威風と、太く豊かな描線の力強さを欠いている。この並外れた素描からは、1761年以降ジル・ドマルトーがサンギーヌ風の版画におこしたものを基におびただしい模作が作られ、この作品は世に広く知られることになった。ジル・ドマルトーの版画には、53という番号と「ダザンクール氏のコレクションから刷られた」という書き込みがある(ルーヴル美術館、ロットシールド・コレクション、INV. 25567 LR)。

円熟した作品

個人蔵でも公共のコレクションでも、10枚以上の素描が、1753年のサロンに出品された2枚の絵画と関連付けられ、それによりブーシェがこれらの作品に注意を払っていたことがはっきり示された。《ネレイスの半身像》(アムステルダム、ボイマンス=ファン・ボニンヘン美術館)と2枚の《トリトン》(ロンドン、ウォーレス・コレクションとシカゴ美術研究所)は、《日の出》でも登場する。ルーヴル美術館は、《日没》のための別のネレイスの準備習作を所蔵している(R.F. 25009)。《馬》(ウィーン、アルベルティーナ)と《トリトン》(ワイマール、州立美術館)も、こうした習作の中に数えられる。最後に、リール美術館所蔵の素描が、後姿で体を伸ばし、ネレイスの姿態に近い様子の裸婦像を表わしている。

ブーシェの再発見

ブーシェこそ、まさにバロックの申し子であった。ブーシェは王家の注文の恩恵に浴し、その作品は王立ゴブラン制作所でもボーヴェ制作所でもタピスリーの下絵に使われ、1745年以降ポンパドゥール侯爵夫人の庇護下で多数の注文を受けた。芸術家や美術愛好家は、ブーシェに真に関心を抱いていたのである。しかし、批評家は、18世紀半ばからブーシェに対して辛辣になる。啓蒙の時代の幕開けとともに、ブーシェは18世紀初頭の審美主義に呼応し、その作品に崇高さと真剣さが欠けていると非難されるようになった。ブーシェの栄光は、その歿後に消え去り、1世紀近く忘却の淵に沈むことになる。ブーシェが18世紀で最も著名なフランス人芸術家の一人として再び認められるようになったのは、ブーシェこそが18世紀を体現する画家であるとしたエドモンとジュールのゴンクール兄弟のおかげであった。蒐集家ゴンクールにとって、ウォーレス・コレクションの2枚の絵画は「ブーシェの描いた2つの大作」だったのである。

出典

- ANANOFF Alexandre, L'Oeuvre dessiné de François Boucher (1703-1770) : catalogue raisonné, 1966.

- ANANOFF Alexandre, WILDENSTEIN D. (collab.), François Boucher, 1976, 2 vol.

- JEAN-RICHARD Pierrette, François Boucher : gravures et dessins provenant du Cabinet des Dessins et de la Collection Edmond de Rothschild au Musée du Louvre, Paris, Musée du Louvre, 1971, n 111.

- JOULIE Françoise, MEJANES Jean-François, François Boucher hier et aujourd'hui, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 2003-2004.

- MONNIER Geneviève, Dessins français du XVIIIe siècle. Amis et contemporains de P.J. Mariette, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1967, n 56.

作品データ

  • フランソワ・ブーシェ(パリ、1703年-パリ、1770年)

    《ネレイスとトリトン―〈日の出〉のための習作》

    1750-1753年頃

    ガブリエル・ユキエ・コレクション、ブロンデル・ダザンクール・コレクション、ジョルジュ=エドゥワール・ドリガン・コレクション、1940年に美術館に遺贈

  • サンギーヌ、サンギーヌの淡彩、白チョークのハイライト、黒チョークと擦筆

    縦29.10 cm、横46.80 cm

  • Collection Gabriel Huquier ; collection Blondel d'Azincourt ; collection Georges-Édouard Deligand ; legs au musée en 1940

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

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