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作品 《ペスト患者のために祈る聖カルロ》

素描・版画部門 : 17世紀

Saint Charles Borromée visitant les pestiférés

素描・版画
17世紀

執筆:
Grollemund Hélène

クロード・ドリュエの没後、2500以上の素描、2巻分の下絵等が調査されたが、2つの部分に分かれた唯一枚の素描のみが確実に画家の手になるものであると判定された(ルーヴル美術館とドロットニィングホルム美術館所蔵)。他にドリュエの作とされた素描はほとんどない。それゆえ、ドリュエが幾度も繰り返しこの聖カルロ・ボルロメオの生涯を描き、その中でもとりわけナンシーのカルメル会教会の礼拝堂の絵画を挙げることができるとしても、ドリュエの今日知られるいかなる絵画にもこの聖人の素描を結びつけることはできない。

とりなしか秘跡か?

カトリック教会の高位聖職者の衣をまとい、首に悔悛者の縄をかけ、十字架と行進の角燈が示すように聖職者ないしは同業者組合員らの集団の先頭に立ったこの聖人は、病人か瀕死の人の集まりのためにとりなしを行っている。聖霊を表わす鳩が、今まさに聖人の祈りを聞き届けたところである。こうした主題の表現の細部を見ると、この聖人が、1610年に列聖され、聖セバスティアヌスや聖ロクスに代わって、ペストの伝染の際最もしばしば哀願され頼りにされた聖カルロ・ボルロメオであることが分かる。しかしながら、この主題を再検討すると、画面左側に一杯になった二つの籠を背負った驢馬を引いている下僕がいることから、むしろ不幸な人たちに食べ物を配っている場面と考えられる。というのも、愛徳は、高位聖職者の大いなる徳の一つとされていたからである。

ロレーヌ地方の特徴

いまだ新しい図像の主題に基づいたこの構図は、サン=モリス・コレクションの中では、16世紀の無名のイタリア画家の作品に分類されていた。しかし、この素描は、むしろ17世紀初頭のロレーヌ地方の芸術家のきわめて個性的な様式の特徴を示している。顔を独特なやり方で描き、表現力に富んだ身振りを強調するための細く尖ったペンの使用、とりわけ長く伸びた指、ペンでほぼ平行に引かれた規則的な線描の戯れ、それとは対照的にかなり気まぐれに分散してほどこされ、観者の視線を引きつける人工的な照明をつくり出す淡彩が、そうした特徴として挙げられる。聖人に最も近い頭部、とりわけ中央の人物は、明白にベランジュの作風を反映しているが、線描自体と聖カルロの姿は、ベランジュを作者とするにはその作風から離れ過ぎており、弟子のうち唯一人経歴が知られているクロード・ドリュエに帰されるべきである。この素描に見られるDという頭文字(あるいはこの文字に添えられた花押)は、芸術家自身ではなくおそらくその息子か相続人が記したものと思われるが、ここで示された名前の裏付けになろう。ディジョン美術館所蔵の、腰かけている聖ボナヴェントゥーラと立っている二人のフランシスコ会修道士を描いた絵画も、同様の特徴を示している。

イタリアでのデビュー

この素描では聖カルロが光輪を頂いていることから、すでに列聖されていたということになる。それゆえ、ドリュエがこの素描を制作したのは、画家がナンシーを発ってローマに向かった1610年以降である。ドリュエは、ローマで他の影響に直面し、『修道士のミサ典書』(ローマ、1615年)の図版が示すように、ベランジュの作風の跡は徐々に消えていく。そういう訳で、この作品は、ローマに到着以降、1614-1615年以前に制作された若描きの素描と言ってよいであろう。サン=モリス・コレクションの中で16世紀の無名のイタリア画家の作品に分類されていたのも無理からぬことである。ここではとりわけ場面構成がベランジュの図式を逃れ、『ミサ典書』の挿絵の単純明快さに近づいていることが理解されよう。こうしてこの素描は、ドリュエのローマ滞在初期における活動の展開を辿る際の貴重な道しるべとなるのである。

出典

- BOYER Jean-Claude, L'art en Lorraine au temps de Jacques Callot, cat. exp. Nancy, musée des Beaux-Arts, 1992, pp. 210-213, n 56.

- MEJANES Jean-François, Dessins français du XVIIe siècle, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1984-1985, pp. 26-27, n 21.

- MEJANES Jean-François, Dessins français du XVIIe dans les collections publiques françaises, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1993, p. 68-70.

作品データ

  • クロード・ドリュエ(ナンシー、1588 – 1660年頃)

    《ペスト患者のために祈る聖カルロ》

    1610年と1614-1615年の間

  • サンギーヌの下絵にペン、褐色インク、白のハイライト

    縦26.2 cm、横23.2 cm

  • サン=モリス・コレクション、1793年に亡命貴族の財産として接収の後、1796-1797年に中央美術館に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

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作品の補足情報

左下に、ペンと褐色インクでDの頭文字