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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《十字架を運ぶ2人の男》

Deux hommes érigeant la croix de la Crucifixion

素描・版画
17世紀

執筆:
Chabod Christine

ヴェルサイユ宮殿の「鏡の回廊」の装飾を完成したばかりのシャルル・ル・ブランは、ほどなくしてこの宮殿の造営装飾事業の最終段階に当たる「戦争と平和の間」の天井装飾に取りかかろうとしていた。一連のキリストの生涯を描いたこの天井装飾は、ル・ブランの晩年の大きな作品である。権力者の寵を失い、王室の注文が枯渇する中、ル・ブランは、これらの絵画や素描において、心を深く揺さぶる率直さと簡潔さを示している。

十字架の準備

後ろ姿の男が、肩に十字架を背負い、必死に引っ張っている。斜め前を向いたもう1人の髭面の男がこの男を助けている。この素描は、トロワ美術館に所蔵されているシャルル・ル・ブラン作の絵画《十字架のキリスト》に登場する2人の人物のための準備習作である。この2人の男のグループは、画面の前景で十字架をそのために掘られた場所に固定している。素描と絵画では、人物の配置はかなり似通っているが、いくつか違いも見られ、とりわけ足の位置と正面向きの男の腕の様子が異なっている。

挑戦

シャルル・ル・ブランが1685年にキリストの生涯を描いた一連の絵画とそれに関する素描に取りかかったのは、ル・ブランがその犠牲となった激しい非難に応えるためだった。ル・ブランは、彼の成功を妬み、国王の首席画家の地位を羨んだ画家ピエール・ミニャールと何年来に渡って諍いが絶えなかった。ミニャールは、ル・ブランの主要な後ろ盾であったコルベールが歿したのをこれ幸いに、王の正式な首席画家に対して陰謀を企てたのである。ミニャールは、コルベールの後継者であるルーヴォワ侯爵の強力な支持を得て、アカデミーと王立ゴブラン制作所におけるル・ブランの地位に取って代わろうとした。ミニャールがこの2つの地位を得るのは、1690年のル・ブランの歿後のことに過ぎないが、さらにミニャールは、ル・ブランがもはや「絵画」を描くことができないと主張して、王のための制作指導官の役割を取り上げようとした。ル・ブランを信頼していた国王は、ミニャールが描いた《十字架を担うキリスト》に対抗する絵画を制作するようル・ブランに依頼する。このミニャールの作品は、ギエ・ド・サン=ジョルジュの『回想録』の中で、「陰謀好きの人々の口を閉じさせる」のに「今までで最高の絵画」であると称賛されたものである。宮廷全体がこの2人の芸術家の間のライバル関係の結果を待っていた。ル・ブランの絵は、1685年6月27日に国王の御前で披露され、その結果に大変満足したルイ14世は「殊の外お喜びになり」、この絵をミニャール派に拍手をもって迎えさせたのである。

新たな方向性

ルーヴル美術館所蔵のこの作品を含む60枚の素描は、トロワ美術館所蔵の《キリスト昇架》と比較される。これらの素描は、ル・ブランが絵画の構図を根気強く入念に練り上げていく準備の過程を物語っている。しかしながら、こうした作品ではじっくり思索をめぐらすことの方が創意の才に勝っている。しかし、それは、王室の巨大な造営事業に携わり、すでに年老いた画家としては当然のことではなかろうか。半ば権力者の寵を失うという試練にさらされたル・ブランは、情感を担った親密な造形言語(表現)を選んだ。これ以降ル・ブランは、アカデミーの講演で体系化したような、各々の情念の表現に対応する型にはまった外観から遠ざかり、自らの描く人物に深い心理的真実を追求するようになる。こうした変化は、ル・ブラン晩年の素描の様式、とりわけ犠牲の十字架を地面に打ち込むこの筋肉隆々とした2人の男性の悲壮さに見て取れる。

出典

- BEAUVAIS Lydie, Musée du Louvre. Département des Arts graphiques. Inventaire général des dessins, École française. Charles Le Brun 1619-1690, t. I, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 2000, notice 1383.

- MONTAGU Jennifer, THUILLIER Jacques (sous la dir. de), Charles Le Brun 1619-1690, peintre et dessinateur, cat. exp. Musée national des châteaux de Versailles et de Trianon, juillet-octobre 1963, Paris, ministère des Affaires culturelles, 1963, notice 46.

作品データ

  • シャルル・ル・ブラン(パリ、1619-1690年)

    《十字架を運ぶ2人の男》

    1685年

  • ベージュ色の紙に黒チョークによる下絵、サンギーヌ、白チョークのハイライト

    縦44.70 cm、横29.50 cm

  • ル・ブランのアトリエ、1690年に王室コレクションに収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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