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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《室内の家庭的な情景》

Scène d'intérieur,
Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo L. Chastel
Scène d'intérieur

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo L. Chastel
素描・版画
17世紀
この素描は、歴史画を好んだプッサンがほとんど手がけなかったジャンルである室内の情景を表わしているが、その正確な主題が何であるのかは知られていない。しかしながら、プッサンは、こうしたありふれた光景にも古代の浅浮彫風の配置を与えることができた。この作品は、プッサンの第2の秘蹟のシリーズの素描(1644-1648年)と作風が似通っていることから、一般的に1645年頃の作とされている。
謎に包まれた主題
この素描は、知られている絵画の準備習作ではなく、プッサンがどこから想を得たのか不明である。おそらくそれは、プッサンがルーヴル美術館所蔵の別の素描において挿絵を描いたイソップ童話風の古代の寓話だろうか。画面左側の奥に横たわっている女性は、産褥を離れたものと思われる。というのも、前景の揺りかごに生まれたばかりの赤ん坊が見えるからである。その左側では、二人の子供があまりに騒々しく取っ組み合いをしているので、中央の女性に叱られている。画面右側では、若い娘が召使に髪を結ってもらっている。
写実的な情景
また、この素描は、プッサンが実際に居合わせた場面を描いているとも考えられる。1640年から1642年にかけての騒々しいパリ滞在の後、ローマに戻ったプッサンは、パオリーナ通りの家で、妻と義弟のジャン・デュゲ、そして時には甥や姪にも囲まれて、静かな生活を送った。おそらくここでプッサンは、こうした家庭的な生活のエピソードを好んで描こうとしたのだろう。しかしながら、プッサンは、こうした情景に際立って劇的な性格を与えることができたのである。
親密な雰囲気を醸し出す浅浮彫
プッサンは、この光景を古代の浅浮彫風に配置し、部屋を舞台の背景のように構成する、明るい金色の淡彩で場面を照らし出している。女性像は、ニンフや擬人像のような優美さと気高さを備えている。前景で遊んでいて壷を壊したばかりの子供たちは、(昔の体罰用の)棒むちで脅かされているが、この子供たちもプットたち(裸の小児像)や古代の「アモル」を思い起こさせる。結局のところ、この情景は、構図の中央における力強い女性像の圧倒的な存在感によって時を超えたものとなる。ここでプッサンは、自身がほとんど手がけなかった風俗画の分野において、その道の巨匠と競い合っているのである。
出典
PRAT Louis-Antoine, ROSENBERG Pierre, Nicolas Poussin 1594-1665 : Catalogue raisonné des dessins, 1994, II, n 274作品データ
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ニコラ・プッサン(1594-1665年)
《室内の家庭的な情景》
1645年頃
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ペン、褐色インク、褐色の淡彩
縦14.8 cm、横 29.1 cm
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エヴァーハルト・ヤーバッハ・コレクション、1671年にヤーバッハより国王美術品蒐集室が取得
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保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。
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