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作品 《死せるキリストと、耳の細部、および二つの左腕の習作》

素描・版画部門 : 16世紀

Etude pour un Christ mort, études d'une oreille et de deux bras gauches

素描・版画
16世紀

執筆:
Bartolucci Sara

この素描はおそらく、ローマのサンタ・マリーア・ソープラ・ミネルヴァ教会礼拝堂の祭壇のために、1520年から1523年の間にペリーノ・デル・ヴァーガが描いた《キリスト哀悼》の準備素描の一つである。デル・ヴァーガはサンギーヌで、キリストの主要モティーフといくつかの細部を丹念に描き出している。この素描は、この画家の作法および制作の進め方を知ることのできる数少ない例だ。裏面には、ローマの礼拝堂の天井装飾画の粗描が描かれている。

失われた絵のための裸体の習作

このサンギーヌによる素描は、ペリーノ・デル・ヴァーガの活動の前半における作品であると考えられる。と言うのは、おそらくこれは、ローマで1520年から1523年の間に描かれた《キリスト哀悼》のキリスト像のための準備習作であるからだ。この絵は1530年の洪水の際に損壊し、今では磔(はりつけ)にされた盗賊らの二つの断片しか残されていない(英ハンプトン・コート宮)。しかしながら、この絵の最終的な図案であると考えられるもう一つの素描(ロンドン、大英博物館)が残されているおかげで、絵画と習作との間の共通点および相違点を確認することが可能である。ロンドンの素描も絵画作品も、習作とはキリストの姿勢が若干異なっている。一方、左側にある手の開いた腕を描くのに、デル・ヴァーガはシスティーナ礼拝堂のミケランジェロのアダム像に着想を得ている。デル・ヴァーガは別の素描の中でも、同じモティーフの習作を同様にサンギーヌで描いている(フィレンツェ、ウフィツィ美術館)。

モデルを写生した習作

ジョルジョ・ヴァザーリの著作のおかげで、ペリーノ・デル・ヴァーガの複雑で精緻な制作技法を知ることができる。デル・ヴァーガは、モデルを基に観察した形を、作品の構図に合わせた独自の基準で変えていくのが常であった。この素描は、ふだん用いられる黒チョークの代わりにサンギーヌによって描かれているが、モデルを写生したものと考えることができ、その意味で、ペリーノ・デル・ヴァーガの作品中、唯一の例である。大英博物館の素描との比較により、作者が、美的な理想像に形態を従わせる前に、モデルの形の習作にいかに取り組んだかが理解できる。と言うのも、《キリスト哀悼》をテーマとするすべての作品において、デル・ヴァーガは人物像の感情に訴えるようなポーズにこだわっているからだ。

ラファエッロとミケランジェロのはざまで

ここに描かれているような痩せていて筋肉のあまりついていない男のタイプは、ペリーノ・デル・ヴァーガの時代における美術上の要請よりは、むしろ15世紀の流行に適ったものであることがわかっている。だがデル・ヴァーガは、身体の構造や骨格を詳細に観察することによって、人物の姿を精確に示そうとしているのである。輪郭線はしっかりと明確に描き出され、立体感はほとんど強調されていない。広い陰の部分を作り出すために、デル・ヴァーガは赤チョークを筆か指で薄く伸ばしている。ラファエッロやミケランジェロの影響がきわめて強く表われているとはいえ、ペリーノ・デル・ヴァーガはこの習作で、裸体を表現するためのまったく個性的な技法を獲得したということを示しているのである。

出典

- Dessins et italiens de la Renaissance, cat. exp. New York, The Metropolitan Museum of Art, Paris, Musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1974-1975, note 46.

- Michelangelo and his influence. Drawings from Windsor Castle, cat. exp. Washington, National Gallery of Art, 1966-1997.

- BACOU Roseline, Autour de Raphaël, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1983-1984, notice 84.

- BERENICE F. et DAVIDSON, Perino del Vaga e la sua cerchia, Florence, 1966, p. 15.

- GRISWOLD William M. et WOLK-SIMON Linda, Sixteenth-century italian drawings in New York collections, cat. exp. New York, Metropolitan Museum of Art, 1994, p. 70-72.

- PARMA Elena, Perino del Vaga tra Raffaello e Michelangelo, cat. exp. Mantoue, Palazzo Te, 2001, p. 132, notice 32.

- VAN DER SMAN Gert Jan, "New light on Perino del Vaga's" Deposition "for S. Maria sopra Minerva in Rome", in The Burlington Magazine, mars 1999, vol. CXLI, n. 1152, p. 164-168.

作品データ

  • ピエーロ・ボナッコルシ、通称ペリーノ・デル・ヴァーガ(1501-1547年)

    《死せるキリストと、耳の細部、および二つの左腕の習作》

    1520-22年または1523年

  • サンギーヌ

    縦29.0 cm、横39.5 cm

  • 旧王室コレクション

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

裏面に黒のクレヨンによる記載:perino del vago