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《荒野の十字架》

© 2008 RMN / Jean-Gilles Berizzi

絵画
イギリス絵画

執筆:
Agnès Mathieu-Daudé

アメリカ派風景画の創設者である画家の主要作品のひとつであるこの絵画は、全ての世代の画家に及ぼした影響の原点となり、大衆から多大な成功を収めた。さらにこの作品は、ルーヴルが所蔵するアメリカ人画家による作品の珍しい一例でもある。

果てしない風景に直面した人類の苦悩

円形の光景の中に、小さな湖付近の林間の空き地、初秋の森のまばゆい色彩を未だ活気付けている日の入りの太陽、ニューヨークの北側にあるキャッツキル山麓への遠くへの眺望が、優美であると同時に力強い風景を作り上げている。前景では、一人のインディアンが重々しい白い十字架が立てられた墓の上で瞑想に耽っている。この円形の光景は、四角形の構図、トロンプ・ルイユで描かれた壁の中に写し出されており、壁の上には絵画のタイトルにもなったイギリス詩人フェリシア・ドロシー・ヘマンズの詩編『荒野の十字架』を喚起させるコールによる記載が書かれている。1827年に選集『ザ・アミュレット』の中に発表されたこの詩は、聖なる言葉を啓示した者の墓の上で涙を流すインディアン酋長の苦悩を喚起している。

アメリカ的崇高美

トマス・コールはこの絵画の中で、光の表現におけるクロード・ロランやターナーの影響に、幻を見るような自然の描写におけるジョン・マーティンからの感化を結合させている。しかしヨーロッパ的なこの伝統は、画家が定住し、桃源郷として表現した新大陸という今までになかったゆとりをもった風景に適用されることによって新しい規模を備えている。画家の周囲にはハドソン・リヴァー派という名の下に集った芸術家たちの集団が作り上げられ、彼らはキャンバスをハドソン渓谷に据え、その作品群はラルフ・ワルド・エマーソン、ウィリアム・カレン・ブライアントもしくはジェームズ・フェニモア・クーパーといった著作と結びついていた。彼らは自然の中の精神的感覚に重点を置き、自然の注意深い観察と再生は、メシアの感情と歴史に対する瞑想を引き起こすことが出来ると考えていた。画家が表現するのは美以上に、崇高さであり、それは芸術家たちが聖なるものに対して持つ観念のような、壮大であると同時に不安げな18世紀に受け入れられたカントや特にバークによる崇高さであった。アメリカの風景画は、とりわけこれらの要求に応えており、コールの唯一の弟子であったフレデリック・エドウィン・チャーチの作品のようにほとんど黙示録的な雰囲気までに至っている。純潔で荘厳な風景を描いたコールによるこの作品は、象徴的国家を作り上げようとしていたアメリカの若者たちの野心と出会うことになる。画面の枠によるトロンプ・ルイユの演出もアメリカの伝統において恒常的であることからも、コールの絵画は二重の意味においてアメリカの伝統に属していることになる。

とあるジャンルの創始者

イギリスで生まれたトマス・コールは、1819年に家族に連れ添ってアメリカに渡り、フィラデルフィアの美術アカデミーに通った後、ニューヨーク、更にはルーヴルの作品の中に描かれているニューヨーク北部にある山地キャッツキルに身を落ち着ける。その地の司教区共同体で洗礼を受けた後、《荒野の十字架》、更に《十字架》および《世界》の連作を手がけるが、未完成のまま1848年に突然死去している。同時期に、風景に対する理論を説いた『アメリカ風景画に対する講義』を執筆している。こうして1845年に描かれたルーヴルの作品は、画家の精神的、絵画的遺言としての価値がもたらされ、若いアメリカ派風景画に多大な影響を直接もたらした。作品は早くも1848年に画家に捧げられた回顧展で展示され、感化を受けたフレデリック・エドウィン・チャーチやベンジャミン・B.G.・ストーンは、各々《コールに捧げる》というタイトルの絵画を制作している。

作品データ

  • トマス・コール(ボルトン・ル・ムーア、ランカシャー、イギリス、1801年-キャッツキル、ニューヨーク、アメリカ合衆国、1848年)

    《荒野の十字架》

    1845年

  • カンヴァス、油彩

    縦0.61m、横0.61m

  • G.W.・オーステン(1848年)同様のタイトルと画家の名が付いた絵画が、1923年3月8日から10日までニューヨークの売り立てで286番の作品として発表された。一方で絵画は1913年よりフランスで所蔵されていると考えられている(額縁裏面に1886-1913年の期間に相当するベデル家具調度保管所のラベルが貼られている)。(アンヌ・ロックベールによる発表)1975年、パリで古美術商J.クーゲルから取得。

    RF 1975-9

  • 絵画

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

左下に署名:T. Cole 1845左上隅に記載: The Cross / in the Wilder / ness from a / Poem by / Mrs / Hemans