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キリスト

© 2000 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

工芸品
中世

執筆:
Muriel Barbier

このエマイユをほどこした銅製のキリストは、その大きさと由来から、「リモージュの作品」における主要作品に数えられる。本作品はほぼ間違いなく、グランモン修道院(オート・ヴィエンヌ県)の十字架に付属していたものである。同修道院はリモージュの工房の上得意客だった。このキリストは1220-1230年頃に制作されており、様式や技法の点で同修道院の主祭壇用に制作された使徒像と近い関係にある。またリモージュで13世紀初めの数十年間に現れるゴシック美術の萌芽を示している。

グランモン修道院

リモージュ近郊に位置するグランモン修道院は、エティエンヌ・ド・ミュレ(1124年死去)によって創設された。修道院付属教会は1166年にほぼ完成し、銅地にエマイユ・シャンルヴェ〔生地彫り七宝〕をほどこした、異なる時代の数々の作品で飾られることになる。同修道院は、「リモージュの作品」(オプス・レモウィーケンセ)の発展に多大な影響を及ぼした。1190年頃には、教会用にエティエンヌ・ド・ミュレの生涯を記念する大祭壇が注文された。1220-1225年頃、今度は使徒会を主題とする主祭壇が制作された。グランモン修道院はフランス革命以後もなお、リモージュのエマイユで装飾された《第一祭壇の大十字架》を保存していた。この大十字架については、16世紀末に修道士パルドゥ・ド・ラ・ガルドが、その後1790年に修道院長ルグロが記述を残している。ルグロは、この十字架が実際に冠を戴いたキリストを伴っており、高さは2.70mだったと書き記している。

モニュメンタルなキリスト

ルーヴル美術館にある《キリスト》の大きさは、十字架全体の大きさと合っている。この像は造形力巧みに打ち出されており、《グランモンの使徒たち》との類似が伺える。使徒像のうち2点はパリのプティ・パレ美術館が、別の1点はルーヴルが所蔵している。キリストの頭部裏側には半球形の銅の塊が溶接されており、そのために丸彫りのような立体感が得られている。十字架に付属していたのは《キリスト》だけではなく、おそらく他にも2つの像と銘文が十字架を飾っていた。その像の1つだと思われるのが《ビランジュの助祭》(オート・ヴィエンヌ県、洗礼者聖ヨハネの生誕教会所蔵)で、《キリスト》よりやや小さい。十字架の銅製の覆いは、フランス革命の際にリモージュの精錬業者クトーに買い上げられた。

リムーザン地方の初期ゴシック美術を特徴づける作品

《キリスト》は、銅の打出しという、金属板から像を生み出す力強い作業を経て得られた。体躯の部分はしなやかに形作られ、わずかにたわんで、流れるような腰布をまとっている。面差しは穏やかで、目はエナメル玉で輝きを与えられている。髪と髭の房は繊細な毛彫りによって立体感を出してある。また、打ち出しに加えられた毛彫りの出来ばえのよさは、グランモン主祭壇の使徒像とのもう1つの共通点である。この頭部はもはやロマネスク様式の伝統に縛られることなく、生身の人間らしさと表情へのさらなる興味を示している。本作品が制作された時期は、リモージュの職人たちが、繊細でしなやかな曲線を描く襞と、厳かさと穏やかさを併せ持つ表情豊かな容貌を取り入れた時期である。こうした新しい表現は、リモージュの工房が初期ゴシック美術の流れに乗り出したことを印象づける。ルーヴルの《キリスト》は、13世紀初めにリモージュで制作された中でも特に見事な作品のうちに数えられる。

出典

- Nouvelles acquisitions du département des Objets d'art 1995-2002, Paris, Editions de la Réunion des Musées nationaux, 2003, p. 34-36.

- TABURET-DELAHAYE Elisabeth, Un Christ de l'abbaye de Grandmont, oeuvre de Limoges du XIIIe siècle, in Revue du Louvre, 2000, n 3, p. 16-18.

- TABURET-DELAHAYE Elisabeth, Un Christ du début du XIIIe siècle et trois Apôtres de Grandmont, in L'Objet d'art de la Saison, n 15.

作品データ

  • キリスト

    1220-1230年頃

    マニャック・ラヴァル(オート・ヴィエンヌ県)で発見

    フランス、リモージュ

  • 銅の打出し、エマイユ・シャンルヴェ(生地彫り七宝)、毛彫り、金鍍金;透明のガラスとトルコブルーのエナメル玉のカボション(半球形に研磨したもの)

    高さ35.60cm、幅25.90cm

  • 2000年ルーヴル美術館友の会より寄贈

    OA 11935

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    シュジェール
    展示室502

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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