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作品 サランの聖アナトワールの生涯の壁掛け:水の奇跡

工芸品部門 : 中世

サランの聖アナトワールの生涯の壁掛け:水の奇跡

© Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

工芸品
中世

執筆:
Marie-Hélène de Ribou

この作品は14点のタペストリーからなる壁掛けのうちの1点で、サランのサン・タナトワール参事会聖堂の注文で制作された。聖堂の身廊とトランセプト〔交差廊〕を飾るためである。前半7点には聖人の生涯が描かれ、後半7点は埋葬、遺骸の移送、聖遺物のそばで起こった奇跡を表している。今日、ルーヴル美術館が所蔵する3点以外は行方不明である。

塩水の泉への行列

サランにある「ミュイール」(塩水)の湧く泉は、食塩を取るために古代から活用されていた。最初の施設は「ミュイールの泉」と呼ばれ、水を集めるために地中深く掘られた、アーチ形天井の広大な地下室と、その水を処理する地上の建物とを基本構造としていた。地下では、この泉からの水が貯水槽に流れ込む。この水は、地上で馬が動かす水力を利用した機械で汲み上げられる。次いで水はボイラーのそばに置かれたタンクまで運ばれる。そこで水分は蒸発し、塩が残る。タペストリーには2層構造の製塩施設が描かれているが、場面は潤色してある。一般信徒を従えた参事会員たちが、聖アナトワールの頭部型聖遺物箱を手に空の貯水槽へ行進していくと、岩から水が湧き出てくる。1467年の工事の後、塩水の泉は数日間涸れてしまった。この情景が表しているのは、こうして聖アナトワールへ祈願したために水が再び湧いた、という場面である。タペストリーの下部には銘文があり、ここに描かれた奇跡が説明されている。

注文の紆余曲折

古文書から、この壁掛けの成立過程を辿ることができる。壁掛けはまず1502年2月、わざわざサランを訪れたブリュッセルの織物職人マルク・ファン・エリンゲンに注文された。この人物は制作を請負い、最初の作品は6月24日聖ヨハネの祝日に仕上がるはずだった。しかし、彼は早々に計画を放棄してしまった。3月に町から2人の代表がブリュージュに赴き、構想の実現はカタリナ・ハッセレットに委ねられた。1503年4月、最初の6点が届けられた。しかし続いてこのタペストリー職人は難題にぶつかり、いざこざがあった末、参事会員たちが最後の作品を回収できたのは3年後のことだった。
壁掛けは、四旬節を除く一年中、参事会聖堂を飾っていた。フランス革命の間に盗まれ、11点のタペストリーが武器を運ぶために使われていたようである。本作を含む2点はサランに残り、ルーヴル美術館によって収蔵されるまで市の美術館に展示されていた。残る1点は、修道院長モニエから教区の信徒たちに委ねられたが、1872年に収集家のフレデリック・スピッツァーに売却された。スピッツァー自身は、これをゴブラン美術館に遺贈している。国有調度品管理所は、3点が揃うようにとこの1点をルーヴルに寄託した。

伝統と新しさの狭間に位置する壁掛け

全体としては、このタペストリーは中世の伝統に属している。情景は空間全体を埋め尽くし、いかなる余白も残さない。人物は、語られている時代のものではなく、タペストリー制作当時の衣装をまとう。どの要素も細部にこだわって緻密に表現されている。
おそらく絵画の影響からか、統一的な遠近法が遠慮がちに試みられており、発展の兆しを見せている。使徒行伝を主題とする壁掛けのために、ラファエロのカルトン〔下絵〕がブリュッセルに到着するに至って、この発展は頂点を迎えることになる。

出典

Baudienville Marie-Paule, La Tenture de Saint-Anatoile de Salins, Mémoire pour la licence d'Histoire de l'Art, Université Lille III, 1980.

Bruges et la Tapisserie, Bruges - Mouscron, 1987, catalogue n 2, pp. 170-179. La tapisserie présentée est La levée du siège de Dôle en 1477.

作品データ

  • ヤン・デ・ヴィルデ(ジャン・ソヴァージュ)の妻カタリナ・ハッセレットの工房

    サランの聖アナトワールの生涯の壁掛け:水の奇跡

    1502-1506年

    サランのサン・タナトワール参事会聖堂(ジュラ県)

    ベルギー ブリュージュ

  • タペストリー、竪機(?)、羊毛と絹、1cmあたり5本の縦糸

    高さ4.24m、幅3.50m

  • 1914年オデウの遺贈品として収蔵したサラン市より収蔵

    OA 6705

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    アンヌ・ド・ブルターニュ
    展示室505

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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